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交通事故における適切な賠償をめざして

交通事故における適切な賠償をめざして
~いかにして上位の後遺障害認定を獲得するか~

弁護士 荒川 英幸

交通事故で傷害を負った場合、治療を続けても残念ながら事故前の体には回復できず、後遺障害が残る被害者の方々がおられます。

その場合には、その後遺障害の内容や程度に見合った適切な賠償が必要です。

まずは、自賠責保険に対して後遺障害の認定申請を行うことになりますが、極めて不当な結論が出される例が後を絶ちません。毎年度100億円程度積立金を取り崩さなければ事業費がまかなえないという自賠責保険の財政問題が影響しているのかもしれませんが、他方では積立金の中から6,000億円も国の一般会計に貸し付けたまま(1月29日産経新聞)なのですから、交通事故被害者が国の返済滞納のまきぞえにされてはなりません。

自賠責保険が不当な結論を出した場合には、異議申立や加害者に対する訴訟(裁判所は自賠責保険の判断に拘束されません)によって、適切な後遺障害認定をめざす必要があります。

当事務所では、高度な資格と臨床経験を有する協力医と連携して充分な医学的根拠を示し、これまでの認定実績にもとづく説得的な主張を行うことによって、成果を積み重ねています。

Aさんのケース

車を運転して停止中に脇見運転の車に追突されましたが、加害者が意識を失うほどの激しい事故でした。事故後、頚、頭、背中、右肩の痛みと手のしびれが続き、特に右肩の痛みは激しく、次第に右肩が動かなくなっていきました。診断名は、頚椎捻挫、外傷性右肩関節周囲炎、右肩関節拘縮で、頚のMRI検査や末梢神経伝導速度検査でも異常が認められていました。

ところが、自賠責保険の認定は最低の14級9号(局部の神経症状)のみで、右肩の痛みと右肩関節機能障害は後遺障害に該当しないという呆れ果てるものでした。

主治医の協力も得て異議申立を行いましたが、強調したのは①強い衝撃の事故であった事実、②初診時から頑固な痛みと日常生活動作も困難な可動域制限が一貫して継続しているだけでなく、一部の運動は更に悪化している事実、③自賠責保険は、MRI検査などで器質的損傷や神経損傷などを認めないことを理由にしていますが、同じ症状と言える凍結肩(五十肩)の場合はMRI検査などで他の異常がないことが診断の前提であること(自賠責保険の理屈では凍結肩(五十肩)の診断も治療も出来ないことになります)です。

異議申立の結果は、併合10級(右肩の後遺障害は、上肢の「1関節の機能に著しい障害を残すもの」該当)となり、一気に4級繰り上がりました。

しかしながら、頚椎捻挫に伴う後遺障害が12級13号(局部の頑固な神経症状)に該当することは認めなかったので、訴訟を提起して各種検査における異常を主張しました。その結果、裁判所はこの主張も認めて全体で併合9級とする和解案を提示し、和解が成立しました。最終的に5級の繰上げとなりました。

後遺障害による損害は、逸失利益と慰謝料で構成されますが、14級のままだった場合と比較して次の賠償額増額となりました。

逸失利益 約1,450万円 (14級の場合、労働能力喪失率5%、喪失期間5年間として計算。なお、逸失利益は、同じ後遺障害等級でも被害者の方の事故前年収額などによって差が生じます)

慰謝料 560万円 (14級の場合、裁判所基準の110万円で計算)

最後まで諦めずに闘い続けたことによって、2,000万円もの増額賠償を勝ち取ることが出来ましたし、当初の自賠責保険の結論がいかに不当であったかが示されました。

Bさんのケース

重大な事故で多発骨折を負い、10週間にもわたってベッド上不動化(身動きできない状態)を強いられる苦痛が続きました。自賠責保険でさえ6種類の後遺障害を認定して併合10級としましたが、上記の不動化などのために腰が通常の人の3分の1しか曲がらない障害が残ったにもかかわらず、これを非該当としました。

異議申立は時間の無駄と考えて、訴訟を提起し、Bさんの関節拘縮や筋拘縮が引き起こされたメカニズムを判りやすく解説してもらった協力医の意見書を提出しました。更に私が強調したのはAさんとの比較です。入院はしていないAさんが右肩のみの関節機能障害について10級が認められるのに、長期入院かつ10週間にもわたって身動きできなかったBさんのたった1つしかない脊椎の運動障害について、10級はおろか何らの後遺障害に該当しないという結果がもたらされるのであれば、同じ交通事故の被害者でありながら著しい不公平と不条理が生ずることになり、そのような不正義は、司法において許容され得ないと主張しました。Aさんのケースを実際に担当してきたからこそ、確信をもって主張することが出来たのです。

裁判所は、Bさんの主張を認め、胸腰椎の運動障害を8級と認定し、全体として併合7級とする和解案を提示し、和解が成立しました。訴訟をしたことにより3級の繰上げが獲得できました。

後遺障害の損害認定額としては、次の増額になりました。

逸失利益 約880万円 (10級の場合、労働能力喪失率27%、喪失期間は和解案と同じで計算)

慰謝料 500万円 (10級の場合、裁判所基準の530万円で計算)

「まきえや」2014年春号