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「生涯ハケン、正社員ゼロ法」~派遣法改悪を許すな!~

「生涯ハケン、正社員ゼロ法」~派遣法改悪を許すな!~

弁護士 岩橋 多恵

派遣法改悪を許さない取り組みを!

[1] 派遣法改悪の動きとねらい

今国会に、労働者派遣法「改正」案が提出されています。派遣労働者を直接雇用・正社員化する方向を強めるのではなく、逆に、派遣法の「正社員の常用代替防止の考え方」を根本から変えて労働者の大半を正社員から派遣労働者に置き換えてしまい、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」にしてしまうことが目論まれています。

派遣労働者の雇用を安定させるには、派遣法そのものを廃止し、労働者の間接雇用を認めないという直接雇用の原則に戻すことこそ重要です。しかし、政府は、派遣法制定以来、労働者派遣の対象業務を一貫して拡大してきました(これまでも、専門業務に限定されていたのを、製造業に拡大するなどしてきました)。今も、多くの派遣切り裁判が全国で闘われていますが、裁判所は、派遣法違反の実態があっても直接雇用をなかなか認めようとしません。2008年の「年越し派遣村」を二度と繰り返すなとの思いから、2012年派遣法改正で、不十分ながらも「直接雇用を擬制するしくみ」が成立しました。しかし、その改正がいまだ施行されていないにも関わらず、派遣法の根本理念さえ奪う改悪が強行されようとしています。

[2] 改悪派遣法案の内容

① これまでは、専門業種とされる26業種以外の業務については、派遣期間は3年間に制限されていました。ところが、今回の改悪では、派遣元会社に期限の定めなく雇われている無期雇用の派遣労働者については、業種を問わず、派遣期間の制限がなくなってしまいます。一見、派遣元に無期雇用されていれば、身分が安定しているように錯覚しそうです。しかし、派遣元に無期雇用されたからといって、派遣先と派遣元の契約が解約された場合など、派遣元が派遣先会社を確保できなければ、派遣労働者は派遣元会社からの整理解雇におびえる日々を送らなければならず、不安定な立場に立たされます。また、均等待遇の確保策の導入もないまま、無期雇用の派遣労働者について、派遣可能期間を撤廃すれば、派遣先の直接雇用労働者が「企業にとって都合のよい、労働条件の悪い派遣労働者」に置き換えられ、正規労働者はほとんどいなくなってしまうでしょう。

② 次に、派遣元会社で有期雇用されている派遣労働者についても、これまで、業務ごとに派遣労働者の受け入れ上限期間を3年間と制限していたものを、大きく緩和しようとしています。これまでは、派遣先事業所において「同じ仕事」で派遣労働者を3年間使用した場合、その「仕事」は恒常的な「仕事」とされて、それ以上派遣労働者は使えないとされていました。つまり、常用代替防止の観点から派遣先での「仕事」(業務)そのものに派遣労働者の受け入れ期間の制限を設けていたのです。

今回の改悪案では、このように派遣期間の計算を業務単位とされていたものを、個々の派遣労働者ごとの「人」単位に変えようとしています。しかも、今回の改悪では、過半数労働組合か労働者の過半数代表から意見聴取を行えば、3年間を超えて継続して派遣労働者を受け入れることが可能になってしまいます。意見聴取の制度についても、労働組合等が反対しても意見聴取さえすれば延長は可能となっています。

このように当該の派遣労働者個人について派遣期間が3年を超えなければよくなり、上述した労働組合等への意見聴取がなされれば、同じ事業所で同じ業務であっても、3年ごとに派遣労働者を入れ替えさえすれば、派遣労働者を使い続けることができるようになってしまいます。

今回の改悪案により、派遣法の常用代替防止という原則はなくなってしまい、本来、長期に存在する仕事(一般的・恒常的業務)を派遣の業務に切り替えていき、いずれは、正規労働者の仕事を奪い、正規労働者は不要(常用代替されていくこと)とすることができるわけです。今、正規労働者が担当している仕事もすべて派遣労働者に切り替えられかねないのです。労働者はどこの職場でも派遣でしか働けない「生涯ハケン」の状態におかれてしまいます。

[3]

この労働者派遣法改悪には、日弁連も京都弁護士会も反対しています。私も、京都弁護士会労働と社会保障に関する委員会の委員として議員要請など頑張っています。皆さん「生涯ハケン」「正社員ゼロ」を許す労働者派遣法改悪案の国会での成立を阻止する取り組みを強めましょう。

「まきえや」2014年春号