あなたのために全力で 暮らしと人権を守って48年 京都最大の法律事務所(弁護士19人、事務スタッフ25人) 法律でお悩みの方はお気軽にご相談ください。0120-454-489

学生さんは消費者被害にも遭いやすい ~マルチ被害で集団提訴~

事件報告 学生さんは消費者被害にも遭いやすい ~マルチ被害で集団提訴~

弁護士 谷 文彰

若い人は悪質商法の被害にも遭いやすいんです

SEALDsなど若い人たちの街頭宣伝やデモなどの取り組み、見ていて嬉しくなりますね。これまでにない様々な行動を自分たちで考え、計画し、実行する姿、自分自身の言葉で「反対」の声をあげ続ける姿を毎日のように目にして、私も力をもらっています。いや、私自身もまだまだ若いつもりではいるんですけどね…。

でも、そうしてがんばっている若者たち、実は消費者被害のターゲットにもなりやすいんです。消費生活相談センターに寄せられる相談を年齢層別に見ると、30歳未満の人が1割以上を占めていることが分かります。確かに数字だけを見ると他の年齢層と比べて特別に多いということはないのですが、若者がターゲットとなる消費者被害にはいくつかの特徴があります。

SNSの影響は年々大きくなっているんです

まず、悪徳業者が法的知識や社会経験が乏しいところにつけ込んでくるという点、そして、フェイスブックやラインなどSNSなどを通じ軽い気持ちで巻き込まれることが多いという点です。

特にスマートフォンの普及(若い人たちは、スピーチのときにもスマホを片手に喋ってますよね。なんだか新鮮です)を背景に、SNSに関連する相談件数はこの5年で3倍近くに増えています。色の違いが分かりにくい図で申し訳ないのですが、相談のうち30歳未満の若者からの相談は4割超。このデータは「SNSに関連する」相談なので、被害のきっかけがSNSとなった被害の数と一致するわけではありませんが、若者の消費者被害に占めるSNSの影響の大きさがよく分かる数字です。

「儲かる話」「夢のある話」に弱い人もいるんです

そして、若者の被害には、「すごい話がある」「いい話がある」などと友達に呼び出され、行ってみると知らない人から「夢はあるか」「どんな夢か」「そんな小さいことでいいのか」などと煽られ、自分たちの会社の例を挙げて「こんなに成功できる」「大きなことをしてみないか」などともっともらしい夢を「熱く」語られて、結局は資産運用が重要だなどという話になってしまい、最後には契約書にサインをしてしまうというパターンが少なくないんです。高額の支払いをさせるために、サラ金などから借入れをさせることも多くなっています。

下のグラフは、学生に投資への興味を持たせ、「そのためには投資用DVDを買う必要がある」と言って数十万円のDVDを買わせるという典型的な被害の相談件数を集計したもの。このような手法は手を変え品を変えてずっと存在しているのですが、現在もなお多いということが分かります。経済的に苦しい学生さんや将来への不安を抱える若者の心理を、悪徳業者は狙ってくるんです。

「マルチ商法」や「ねずみ講」による被害も少なくないんです

このような悪質商法は、しばしば「マルチ商法」という形態を取ります。「マルチ商法」というのは、「商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法」(警視庁ホームページより)で、要するに誰かを勧誘して入会させれば報償がもらえるというものです。「連鎖販売取引」として特定商取引に関する法律により厳しく規制されていますが、よく似た商法に「ねずみ講」というものもあり、こちらは無限連鎖講の防止に関する法律によって「犯罪」として禁止されています。

この2つには違いもありますが、次々と人を勧誘していかなければならないという点では共通です。そこで悪質業者は、中学や高校の卒業アルバムを持って来させて同級生に当たらせることも多く、その結果、同じ学校の卒業生の間で被害が広まりやすい傾向があります。

「マルチ商法」や「ねずみ講」は定期的に(?)出現するんです

こうした若者の消費者被害を防止するため、「学生の街」京都でも、大学に入ったときに典型的な悪質商法を紹介して警戒を呼びかけるチラシが配られていたりしますし、消費生活センターや京都弁護士会でもチラシ・学習会・ホームページなど様々な方法で啓発に取り組んでいます。

けれど、残念ながら被害はなくなっていません。私が弁護士になった直後の2010年にもマルチ商法に関する集団訴訟が起こり、私も弁護団の一員として参加しましたが、また同じような被害が発生してしまいました。それが今回の事件です。弁護士会の有志で弁護団を結成し、ある会社の勧誘方法が法律で禁止される「マルチ商法」ないし「ねずみ講」にあたり、違法であるとして、2015年6月22日、京都や大阪の大学生ら12人が、インターネット関連会社に対して合計約1,000万円の損害賠償を求めて京都地方裁判所に提訴しました。

学生を狙った集団被害ということでマスコミにも注目され、提訴の様子がテレビで流れるなど大きく報道されています。


提訴した会社が使っていた契約書や説明資料など

被害を防ぐために、まずは誰かに相談!

悪徳業者は判断能力が必ずしも十分ではない学生を狙って繰り返し被害を発生させてきました。熱く「夢」を語ったり、儲け話を持ちかけられたりしても、決して耳を貸さず、冷静に考え、周囲に相談してください。そうすればきっと被害を防ぐことができます。

当事務所では長年消費者事件に取り組んでいます。マルチのことに限らず、「何かおかしいな?」と思われたらお気軽にご相談ください。

「まきえや」2015年秋号