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京丹波町マーケス事件 ~町長の負債を税金で返還!~

事件報告 京丹波町マーケス事件 ~町長の負債を税金で返還!~

弁護士 奥村 一彦

町が出資した施設の実態

「丹波マーケス」とは、京丹波町にあるテナント参加型の大型商業施設(いわゆる「道の駅」)の名前です。これを経営するのが「丹波地域開発株式会社」です。これは第三セクターで設立された株式会社で、町が全体の約4割、3億円を拠出しました。この会社の初代社長が現町長の寺尾町長です。また、「マーケス」に入っているテナントの最大店舗はサンダイコーというスーパーですが、この代表者も寺尾現町長でした。その他のテナントも寺尾町長一族が経営しているものが大半です。

借金を税金で返済

「丹波地域開発株式会社」は、平成9年、開業に当たり、京都府から12億円の利子なし融資を受けました。5年間は返済が猶予されていました。しかし、返済が始まるやいなや条件変更をし、計画の半額しか返済しない状態が10年間続きました。また、その間の営業状態については、寺尾町長は「経営はうまく行っている、経営資料の開示には応じられない、裁判所を通じてやれ」など、町民からの要求をことごとく退けてきました。

ところが、昨年(2014年)9月、突然、議会に上記融資の返済残額6億円あまりを補助金等で全額返済する議案が提案されました。議会では、議論が沸騰し、説明資料が不十分、町財政から特定の会社に6億円も支出するのはおかしいなどの意見が出されましたが、提案された日に採決までされてしまい、結果、8対7の賛成多数で可決され、執行もされました。

町民の怒り

しかし、町民の間に、議会に対し非難の声が上がりました。本来町民のために使うべき巨額の税金を特定の会社に支出したのではないか、町民の生活のためというなら町内全部の経営者に援助すべきだ、本当は現町長個人が府の融資12億円の連帯保証人となっているので、自分が町長になっている間に税金で返したのではないか、丹波地域開発株式会社の経営が行き詰まっているのであれば政府の方針通り清算会社にすべきだったのではないか、などの声が湧き上がりました。

監査請求を求める町民の運動が

町民は、議会で支出に反対した議員さんの監査請求をしようとの呼びかけに応じ、何度も公開の会議を開いて討論をし、京都市内からは市民ウオッチャー京都が地元に出向き、監査請求に向けて学習集会を開きました。立命館大学の森先生に税金の使い道について講演をしていただき、町民は自分たちの主張が間違っていないとの自信を深めました。そこで、監査請求人を募ったところ大きな反響があり、その声を集めて、今年(2015年)8月26日、121人が京丹波町に住民監査請求書を提出しました。

監査請求では、まともな再建計画もないまま、京都府からの借金の返済だけを目的とした、破綻会社の救済をするもので、地方財政法の財政健全化の趣旨に大きく違反する公金の支出である、したがって「公益上の必要性」の判断の裁量権の逸脱・濫用であると訴えました。

10月8日、監査委員会で意見陳述が行われ、10名の町民が口々に、経営破綻会社に対する税金投入は許されない、税金の不公平な支出ではないか、自分の連帯保証を消す目的があったのではないかなど、自分の表現で怒りの意見を陳述しました。

今後

旧態依然たる権力者による税金の歪んだ使い方はまだまだ残っています。監査請求に対して、どのような監査結果がでるのか楽しみです。なお、京丹波町の監査委員は2名ですが、うち1名は丹波地域開発株式会社の監査役であり、除籍されたとのことです。

監査結果が、仮に6億円の返還請求を認めないとするならば、町民は裁判まで徹底してやりぬくとの断固たる決意でいます。

「まきえや」2015年秋号