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水害から市民の命と財産を守ろう!

事件報告 水害から市民の命と財産を守ろう!
亀岡駅北開発&都市計画公園(京都スタジアム)事業認可の取消訴訟はじまる

弁護士 高木 野衣

1.今、亀岡で起きていること

2010年、亀岡駅北にサッカー専用スタジアム(仮称「京都スタジアム」)を建設する話が浮上し、亀岡市は「京都・亀岡保津川公園」という総合公園を作る名目で、その開発面積13.9haの大半をサッカー専用スタジアムが占める都市計画公園事業を認可しました。また、これと並行して、亀岡駅からスタジアムへ向かう亀岡駅北を開発する区画整理事業も認可しました。亀岡駅北の土地に盛土を行い、地面を締め固めて、市街地にするというのです。

2.何が問題なのか

亀岡駅北は、過去一度も開発されたことがありません。これは、亀岡駅北が淀川水系の三大支川である桂川とその支流に挟まれた場所で、洪水の際、水没することにより遊水地として機能し、周辺地域を水害から守ってきた場所だからです。2013年9月の台風による洪水で、亀岡駅周辺を中心に甚大な浸水被害が発生したことは記憶に新しいところです。遊水地を盛土して地面を締め固めると、そこで受け止められていたはずの水が周辺地域へ流れ込み、その水害を拡大させることは目に見えています。

また、スタジアム建設予定地は国の天然記念物アユモドキの生息地です。アユモドキは、環境省のレッドリスト(2013)でごく近い将来に絶滅の危険が極めて高い野生生物に、京都府レッドデータブックで絶滅寸前種に区分され、特に保全を図る必要があるとされており、国際自然保護連合による国際保護動物にも指定されています。


(「京都府レッドデータブック」野生生物種・淡水魚類「アユモドキ」より)

 

京都府レッドデータブックによれば、「護岸のコンクリート化による成魚の生息域の減少、水田地帯の圃場整備による産卵場へのアクセスの遮断、水路の水供給停止による断片的な生息場所の消失」がアユモドキの生存を脅かすとされています。

亀岡市は、公園内に「共生ゾーン」を設けてアユモドキの生息・生育を保全すると述べています。しかし、スタジアム建設予定地でアユモドキがどのように生息しているのか、調査は完了していません。アユモドキの保全対策が万全であるとは言えないのです。


図2 公園区域図(素案)

 


図3 ゾーニング図(素案)

 

(「京都・亀岡保津川公園」都市計画素案より引用)

3.水害対策やアユモドキの保全をせずに計画を進めていることは違法です!

今回の開発に対しては、専門家から水害拡大の危険性が指摘されていましたが、亀岡市の計画に、周辺住民の生命や財産を水害から守る配慮は一切ありません。また、アユモドキについても専門家から絶滅を危惧する声が上がっていましたが、亀岡市は公園の一角に「共生ゾーン」を作れば絶滅は回避できると、何の根拠もなく言っています。

都市区画整理法や都市計画法は、開発にあたって災害を防止するために必要な措置がとられなければ事業認可できないと定めています。よって、亀岡駅周辺住民に対する安全措置を検討せずに事業認可したことは違法です。また、都市計画事業は基本となる都市計画に適合しなければなりませんが、アユモドキの生存を脅かすスタジアム建設計画は、生物多様性の保全を謳う亀岡市環境基本計画に適合せず違法です。

4.生命と財産、そしてアユモドキを守るために

そこで、100名を超える亀岡駅周辺住民が、亀岡市に対し、2014年12月4日に亀岡駅北開発の区画整理事業認可取消しを、2015年1月13日に京都スタジアム建設の都市計画公園事業認可取消しを求め、京都地裁へ提訴しました。

水害から市民の生命と財産、そしてアユモドキと共生する豊かな未来を守る闘いが始まりました。ぜひ裁判傍聴に来てください。

当事務所では、飯田弁護士と筆者が担当しています。

「まきえや」2015年春号