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「先物取引」被害に気をつけましょう

「先物取引」被害に気をつけましょう

弁護士 奥村 一彦

1. 先物取引は投機です

「先物取引」とは、工業製品や農産物について売り買いする取引の一種ですが、実際の商品を現実に売り買いするものではありません。「先物」といって、商品の将来の価格の変動を予想して、例えば、その間に価格が上がると予想すれば「買」(かい)を建て、予想通り価格が上がったら後で「売」(うり)で仕切って、その差額を利益とするものです。このように、その商品を実際に購入するのが目的ではなく、価格変動による売買の差額の利益を目的にしているものです。価格は、「先物市場」という市場で売り数と買い数の需給関係で決まり、常時変動しています。また「売り」や「買い」のことを「玉(ぎょく)を建(た)てる」と呼んでいます。決済のことを「仕切る(しきる)」と呼んでいます。

2. 危険な罠の1 ~予想の困難性

価格予想はもともとプロでも失敗するほど困難であり、まして素人には到底無理です。そうなると取引員の指示に従うしかなく、いいなりになっていきます。契約前に予想が困難であるとは説明をしてくれません。その結果全財産を失うことになる可能性があるなどとは説明員が言うはずもありません。

3. 危険な罠の2 ~信用取引の仕組み(追証について)

さらに問題は、取引は信用取引といって、実際の取引に使う証拠金額の10倍から30倍の取引をします。例えば「金(きん)」は、1枚 (購入単位を枚数で呼びます。1キロです。)が12万円前後の証拠金で取引しますが、実際には1キロは約300万円(金1グラムを3000円として)の取引をしています。

市場では1グラムの変動だけを報道しますが、例えば、3000円から2800円に200円下落した場合、取引上は20万円のマイナスになりますので、証拠金12万円では足りず、追加で証拠金を支払うことになります。この場合最低8万円を追加で支払います。これを「追証(おいしょう)」といいます。

業者は、後で値が上がりさえすれば価格は元に戻るので、最初の証拠金も追証も戻ってきますと安心させる説明をしますが、うまく価格が変動することはありません。さらに下がるとまた追証となりますし、「限月(げんげつ)」といって仕切る最後の日が決められており、その時までに仕切らないと商品を購入することになりかねません。もし、購入するとなると、その時は全額を支払います。金1枚を12万円の証拠金とすると、残り288万円を追加で支払って購入しなければなりません。実際には、先物取引は現物を購入するのが目的ではありませんので、その前に損がいくら出ていようとも仕切らなければならないのが決まりです。価格が戻るという説明は大ウソです。

4. 危険な罠の3 ~両建て

「両建て」というのは、同じ商品について、一時期に売り枚数と買い枚数を同数に建てることです。これは法が禁止していますので、これをするときは必ず「両建てに同意します」という書面を差し入れるよう求められます。

売り数と買い数を同一にすると何故危険なのでしょうか。まず取引が倍になります。その分証拠金と手数料が増えます。次に、両建てをすると、価格が上がっても下がっても、一方に利益が発生し、他方に損が発生します。利益が出ている玉を仕切れば、利益が出たように見えますが、その裏で損が拡大しているのです。仕切ると必ず追証が必要になります。そこですぐに利益が出る玉を建てなければ追証の連続になるので、次々と建玉をしてしまいます。この繰り返しにより蟻地獄のように取引から抜け出せなくなるのです。これを「客殺し」の手口といいます。有り金を全部つぎ込むことになりかねません。

5. 手数料の負担

手数料の負担は、バカになりません。損を上回ることもしばしばあります。また、全体としては利益があるのに、手数料額で結局マイナスというケースもあります。「両建て」は手数料が倍になりますし、頻繁な取引を続けると、損害額の半分以上は手数料だったということがあります。

6. 被害は素人に集中しています

先物取引では「予想」が重要な要素ですが、「予想」は専門家や業者の経験による知識の集積がないと不可能です。まして素人が予想して利益を上げることなどできません。

日本弁護士連合会の被害調査では10人中7人から8人が損で終わっています。損をした人はほとんど全員が素人です。これには理由があり、専門業者が儲かるためには、素人に参入してもらわないと市場が成り立たないのです。結局素人をカモにしている商法なのです。

7. 裁判で取り戻せます

弁護士は、先物被害の相談があった場合、切っ掛け(電話があったかどうか)、どのような説明を受けたかなどを精査し、人だましのトークの中身を追及します。

説明員が本当に先物のリスクを説明したなら、それでも取引をしようと思う人はいません。従って、どこかに虚偽があるのです。契約後については、違法な建玉をしていないか調べたりします。

最近の裁判で、違法行為が認定され、約7割が返還されました。困ったと思ったらまず弁護士にご相談ください。

「まきえや」2015年春号