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JMITU畑鉄工所事件〜不当配転を跳ね返し職場復帰を勝ち取る!〜

事件報告 JMITU畑鉄工所事件〜不当配転を跳ね返し職場復帰を勝ち取る!〜

弁護士 奥村 一彦

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2017年7月6日、大阪高等裁判所において、FさんとMさんを本来の設計課に再配転する形での職場復帰が合意され、勝利的和解が成立しました。2014年1月の京都府労働委員会への不当労働行為救済申立から3年半の闘いでした。職場の仲間や2人を支援するJMITU(日本金属製造情報通信労働組合)、全力で支援した京都総評の働く仲間から励まされ、2人はついに会社による不当な配転を跳ね返したのです。

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Fさんは、長年、機械の設計を専門として勤務してきました。主力は粉末状の薬品を錠剤に整形する打錠機という機械の設計です。Fさんはこれらの機械の設計をすること30年の超ベテランです。仲間の信頼も厚く、機械設計に関しては社内で技術教育を任される実力を持っています。Mさんも、会社では若手になりますが、意欲と熱意をもって仕事に取り組んでいました。

その中で、2012年10月に新部署への配転を命ぜられました。

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ところが営業と技術の橋渡しをするという名目で設置されたその新部署は、FさんとMさんのわずか2人だけの所属員で、上司から仕事の指示が全くなく、設計に関するサーバーにさえ接続できない劣悪な職場環境でした。与えられた部屋は他の従業員から丸見え状態、その後も仕事はほとんど与えられず、必要な図面等の入手すら妨げられるほどでした。正に「追い出し部屋」のような状態です。

なぜFさんとMさんだけが新部署に配転されたのか。実は、新部署に配転される直前、2人はJMITUに相談して労働組合を結成したばかりだったのです。

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新部署に配転させられたのは2人だけで、しかも分会長と書記長という立場でしたので、会社の組合対策処遇であることは濃厚でした。2人はそのような不当な処遇に屈することなく、JMITUや京都総評の支援も受けながら粘り強く職場環境の改善を要求し続け、一歩一歩前進させました。

一方、会社の不誠実団交を京都府労働委員会に訴え、2015年5月20日、申立は棄却されましたが、委員会は「会社はいまだ必要な説明を尽くしたとは言い難い」「今後組合から団体交渉の申入れがあった場合には、会社もこれに応じる必要がある」と異例の付言を述べ、会社に対し誠実な団交をするよう申し渡しました。

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さらに、Fさんらは、2014年、そもそも不当な配転ではないかと京都地方裁判所に訴え出ました。裁判では、仕事がないこと、やっている仕事もFさんらが申し出て行っているものであること、サーバー接続が制限され十分な仕事をする環境にないことを主張・立証し、会社側の証人に対する尋問の中でも、会社が原告らを元の職場に戻さない理由に挙げていた「原告のミス」や「元の部署の人員が反対している」ことについていずれも具体的事実が認められないこと、なにより、2人にほとんど業務を与えていないことが明らかになりました。

そして2017年2月20日、2人への配転命令を違法・無効とする勝訴判決を勝ち取ったのです。「余りにも業務が過小であった」、「被告において、その担当業務について想定するものをほとんど用意していなかったと見るほかない」と、2人の主張を取り入れた内容でした。

その後会社は控訴しましたが、前述の通り、大阪高等裁判所で裁判所の和解勧告があり元の職場に復帰する形で合意が成立し、FさんとMさんは、和解で約束された9月16日付けで無事設計課に戻りました。

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不当配転を跳ね返して勝ち取ったこの勝利的和解はとても大きな成果です。当事者である2人のがんばりはもちろんですが、JMITUや京都総評などの労働組合・働く仲間が裁判や争議の支援に駆けつけて全力で支援し、そこに弁護士の力が加わったことでより大きな力となりました。

でも、これは労働者としての勝利の第一歩に過ぎません。まだまだこれからも改善しなければならない問題が山積みしています。2人はこれからもJMITUや京都総評の力も借りながら、職場の仲間を増やし、大きな組合となって、職場の労働条件の改善する運動に引き続き取り組む決意をしています。

もちろん、弁護士としてもいつも応援していく所存です。

(当事務所弁護団:奥村、高木、谷、寺本)

 

「まきえや」2017年秋号