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木津川市城山台土地購入住民訴訟

事件報告 木津川市城山台土地購入住民訴訟

弁護士 大河原 壽貴

木津川市が使い道のない土地を9,000万円あまりで購入

2016年12月、木津川市は、独立行政法人都市再生機構(UR)から木津川市城山台にある土地約4万5,000平方メートルを9,345万8,000円で購入しました。

この土地は、登記簿上は2015年の換地処分で「山林」から「宅地」に変わっていますが、現状は全くの山林で、しかも傾斜している斜面地です。加えて、この土地は排水処理施設が未整備となっており、宅地などに開発するためには、膨大な費用をかけて排水処理施設を整備しなければならない状態です。URも長年、開発に手をつけられずにいました。

木津川市は、この使いようのない土地を9,000万円あまりもの公金を費やして購入しました。この土地の購入については議会でも問題に挙げられましたが、木津川市当局は、土地購入の目的について「有効利活用の時期は現時点ではっきり何年先ということはまだいえない状況です」などと答弁しており、目的があって購入したものでないことは明らかでした。

 


城山台現地(原告)

「城山台」とは

今回問題となっている木津川市「城山台」とは、京都府南部、奈良県、大阪府にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)木津地区の一部、木津中央地区にあたります。

1984年、京都府により「関西文化学術研究都市(京都府域)建設基本計画案」が発表されましたが、その後、今回の土地を含む「城山台」全域が市街化区域に編入され、開発計画に組み入れられました。1997年には事業認可がなされ、いわゆるニュータウン整備事業として都市開発が進められ、現在では宅地分譲も行われています。しかし、その開発事業の中でも、今回の土地は、開発されることなく手つかずの状態にされ続けてきたのです。

 


城山台資料

URの事業再評価と開発中止、URによる強引な売却

2003年、国交省は、都市基盤整備公団(現UR)事業の再評価を行いました。その結果、木津地区で開発が計画されていた4地区のうち2地区(木津北地区、木津東地区)の開発は中止され、「城山台」のある木津中央地区も計画見直しとなり、本件の土地の開発は中止となりました。さらに2010年、事業見直しにより、URは、2013年度までにニュータウン整備事業の工事を完了し、2018年度までに土地を処分することとされました。その結果、本件の土地も売却の対象となったのです。まさに、国主導で行ってきた大型開発が破綻したのです。

国が、期限を区切って土地を売却する方針を出したことから、URは木津川市に対し、本件の土地の購入を強く求めてきました。URからは、「投げ売りになる。事業者の規模・レベルなどは保障できない。」、「開発困難地の開発であり、大手はエントリーしない。」などと、あたかも、木津川市が購入しなければ悪質な業者に売却するかのように言って、木津川市に対し、自ら「開発困難」と認める土地の購入を迫ってきたのです。そして、木津川市は、URが要求するまま、今回の土地購入に至ってしまったのです。

地方自治体の役割は

本件の土地は、UR自身、開発に手を付けられずにいたような土地であり、木津川市にとっても使いようのない土地です。たとえ、国がURの事業を見直して、開発を中止し、土地を売却するとの方針を出したとしても、木津川市がそれを購入する必然性は何らありません。むしろ、国が、野放図な開発計画を立てたその尻ぬぐいを、なぜ木津川市がしなければならないのでしょうか。

また、本件の土地は、開発業者といえどもそうそう手を出せるものではありません。仮に、悪質な業者が手抜きの開発を計画したとしても、木津川市が行政として介入していくことは十分に可能です。あえて木津川市が購入しなければならない理由はないのです。

地方自治体は、日本国憲法のもと、団体自治が認められ、国の下請け機関ではなく、独立した機関として、住民の要求実現をはかり、国の悪政の防波堤となるべき存在です。今回の土地購入についても、本来、住民の福祉に使われるべき公金を、このような国の開発の尻ぬぐいに回すことは許されません。住民の皆さんと一緒に、住民訴訟を通じて公金支出のあり方をただしていきたいと思います。

「まきえや」2017年秋号