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大学の敷地内に有害廃棄物を不法投棄された

大学の敷地内に有害廃棄物を不法投棄された!!

村井 豊明弁護士 村井 豊明
化学同人刊行、「化学」2004年9月号掲載
今月の相談大学の敷地内に有害廃棄物が不法投棄されていました。どのように対処すればよいでしょうか?

廃棄物処理法

廃棄物については、「廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)」が廃棄物の種類を区別して、その適正な処理方法を定めており、これに違反した場合には、罰則や行政による措置命令などが課せられます。

廃棄物の分類

廃棄物処理法では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に区分しています。

一般廃棄物は、産業廃棄物以外の廃棄物で、(1)ごみ、(2)粗大ごみ、(3)し尿、(4)その他に分類され、産業廃棄物は、次の19種類に分類されています。

(1)燃え殻、(2)汚泥、(3)廃油、(4)廃酸、(5)廃アルカリ、(6)廃プラスチック類、(7)紙くず、(8)木くず、(9)繊維くず、(10) 動植物性残渣、(11)ゴムくず、(12)金属くず、(13)ガラスおよび陶磁器くず、(14)鉱さい、(15)がれき類(建設廃材)、(16)動物のふん尿、(17)動物の死体、(18)ばいじん、(19)廃棄物を処分するために処理したもの。

さらに、1991年の法改正により特別管理廃棄物の制度が新設されました。特別管理廃棄物は、爆発性、毒性、感染性など人体や環境に被害を生ずるおそれのある廃棄物をいい、特別の扱いや管理が要求されています。

表1 廃棄物の分類ごとの定義
区分定義
一般廃棄物産業廃棄物以外の廃棄物
特別管理
一般廃棄物
一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境にかかる被害を生ずるおそれがある性状をもつものとして政令で定めるもの
産業廃棄物事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定めるもの
特別管理産業廃棄物産業廃棄物のうち、爆発性、感染性、その他の人の健康または生活環境にかかる被害を生ずるおそれがある性状をもつものとして政令で定めるもの

この特別管理廃棄物も「特別管理一般廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の二つに区分されており、特別管理一般廃棄物として、(1)PCBを使用した部品、(2)ばいじん、(3)感染性一般廃棄物(ガーゼなど)が指定され、特別管理産業廃棄物として、(1)廃油(揮発油類、灯油類、軽油類)、(2)廃酸(pHが2.0以下の廃酸)、(3)廃アルカリ(pHが12.5以上の廃アルカリ)、(4)感染性産業廃棄物(注射針など)、(5)特定有害産業廃棄物が指定されています。ここにでてきた「特定有害産業廃棄物」として指定されているものは、(1)廃PCBなど・PCB汚染物・PCB処理物、(2)廃石綿など、(3)その他の有害産業廃棄物など(水銀、カドミウム、鉛、ヒ素などで基準に適合しないもの)になります。

廃棄物の処理方法

一般廃棄物は、市町村が生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、処分しなければなりません(法6条の2)。

産業廃棄物は、事業者が自らの責任において適正に処理しなければなりません(法3条1項、10条1項)。また事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自ら処理するか(「自社処分」)、産業廃棄物処理業者や産業廃棄物処理センターに委託して処理しなければなりません。

このように廃棄物処理法で、前述した廃棄物の分類に応じて、それぞれ収集・運搬・処分などの技術基準が定められており、その基準に従って廃棄物を適正に処理することを義務づけています。

大学の敷地内で発見された有害廃棄物が具体的にどのような物質なのかはわかりませんが、大学管理者は、自ら処理することはできないと思いますので、産業廃棄物処理業者に委託して、その廃棄物の種別に応じて適正な処理をする必要があります。そして、その処理費用は、不法投棄をした者に請求することができます。

不法投棄をした者に対する罰則

廃棄物処理法において、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めており(法16条)、これに違反して産業廃棄物を捨てた者は3年以下の懲役または1000万円以下の罰金に、一般廃棄物を捨てた者は1年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられ、併科されることもあります。ちなみに「みだりに」とは、「正当な理由なく」という意味です。

他人の所有地や河川・公園などの公共の場所に無断で廃棄物を捨てた場合も当然ながら廃棄物の不法投棄として処罰されます。また、自己の所有地や地主の承諾があっても「みだりに」といえる状況であれば不法投棄となり、やはり処罰されます。

こうして大学の敷地内に有害廃棄物を不法投棄した者は、前述のような処罰をされます。また大学管理者は、不法投棄をした者を警察または検察に刑事告発することもできます。なお、不法投棄者を特定できない場合でも、氏名不詳で刑事告発をすることは可能です。

行政による措置命令など

不法投棄をした者が判明していれば、大学管理者としては、行政に申告して不法投棄者に対する立入検査や措置命令を発してもらうこともできます。

立入検査

都道府県知事または市町村長は、その職員に、事業者や廃棄物処理業者の土地・建物に立ち入り、必要な検査をさせることができます(法19条)。

改善命令

一般廃棄物については市町村長が、産業廃棄物については都道府県知事が、廃棄物の保管、収集、運搬、処分を行った者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の保管、収集、運搬、処分の方法の変更、そのほか必要な措置を講ずべきことを命ずることができます(法19条の3)。

措置命令

一般廃棄物については市町村長が、産業廃棄物については都道府県知事が、廃棄物の処分を行った者(処分を委託した者も含む)に対し、期限を定めて、その支障の除去または発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを命じることができます(法19条の4)。

除去などの措置

そして、廃棄物の処分を行った者が期限までに必要な措置を講じなかった場合、都道府県知事または市町村長は、自ら支障の除去などの措置を講じることができ、その措置に要した費用は処分者から徴収することができます(法19条の5)。

教職員・学生に対する注意喚起を!

大学のなかでは、さまざまな実験や研究、医療の過程で有害廃棄物が排出されていますが、それらの有害廃棄物を勝手に処分したり、大学の敷地内に投棄しないように、教職員や学生に対して注意を喚起する必要があります。もし、大学の敷地内に不法投棄された有害廃棄物が人体に影響を与えた場合は、大学当局も管理責任を問われ、損害賠償を命じられることもありますので、注意が必要です。