不動産取引・建築問題
不動産登記法の改正により、権利証は廃止?
(1) 改正前の取扱い
例えば、不動産を甲から乙に移転する登記手続を行ったときに、法務局は甲から乙への所有権移転登記が完了したことの印を、司法書士が作成した売り渡し証などに押して、その書面を乙に渡してくれていたが、この書面が権利証(登記済証)である。
乙が丙に不動産を売って、丙名義に登記してもらうためには、乙の権利証を法務局に提出しなくてはならなかった。しかし、乙がこの権利証を紛失しても、丙への登記ができないわけではなく、乙は、司法書士に作成してもらった保証書によっても、丙への登記をすることができた。
丙は、登記が済んだという印を押した書面を法務局から交付を受け(新たな権利証)、それを保管しておけばよかったのである。
(2) 改正後の取扱い
登記手続をする登記所が、オンライン申請が可能な登記所として指定(オンライン指定庁)を受ければ、権利証は発行されなくなる。しかし、その場合でも、書面申請もできるから、権利証を持っていた乙は、権利証を提出して丙への登記をすることができる。その結果、登記は丙に移るが、丙に対して権利証は交付されない。その代わりに丙には「登記識別情報」が通知される。登記識別情報とは、登記所が無作為に選んだ12桁の英数字で、丙がさらに丁に登記を移転するときには、この登記識別情報を登記所に提供することになる。
乙が権利証を紛失したとき、改正前は保証書によって丙への登記をすることができたが、改正後は、オンライン指定庁であろうがなかろうが、それができなくなった。その代わりに本人確認情報(弁護士、司法書士などが本人確認をしたことを内容とする情報)を登記所に提供すれば登記ができる。なお、本人確認情報の提供ではなく、事前通知制度(登記所からの登記申請があった旨の、乙への通知に対して、登記の申請が真実であることを回答するというもの)によっても登記をすることができる。
新法施行後の手続き変化の流れ
大きな改正事項は、以下のとおり。
法改正後の登記手続は、二段階で変化する。
(1)まず、2005年3月7日の新法施行とともに全ての登記所で、次のような手続きに変更された。
「保証書制度」廃止→「事前通知制度」
「弁護士、司法書士等の資格者代理人による本人確認情報の提供制度」導入
「登記原因証書」→「登記原因証明情報」として必ず提出
(2)その後、順次、オンライン申請が可能な登記所として、法務大臣の指定を受ける(以下『オンライン指定庁』という)ごとに以下の点が変更となる。
オンライン申請の開始
「権利証」交付廃止→「登記識別情報」の通知、「登記完了証」の通知









