交通事故
損害賠償の基準
裁判所は損害賠償について一定の基準を設け、これで画一的に処理しようという方針をとってきている。基準があると簡便な面もあるが、低額に抑えられる傾向も出てくる。こうした問題点は改善していかなければならないが、判例等で示された基準は示談の際に一応の目やすとなると思われるので次に掲げる。
1.治療費
原則として実費全額
2.付添費
付添人を必要とする場合に、職業的付添人に支払った額は実費全額。家族が付添ったときは、入院付添1日5500~7000円程度。通院付添(幼児・老人などの場合)1日3000~4000円(いずれも医者の証明が必要)。
| 別表3 年齢別平均給与額(平均月額) |
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3.入院諸雑費
入院1日あたり1400~1600円
4.交通費
原則として実費。但し病状によりタクシー・公共交通手段の別を判断。
5.休業補償
事故前の収入に休業期間日数をかけて算出。
- サラリーマンの場合
(事故前3カ月の平均賃金総額)×1/90×休業日数 - 自営業者の場合
(事故の前年の純利益)×1/365×休業日数 - 主婦など、所得証明があがらない場合
平均賃金(賃金センサスによる)×1/365×休業日数
1996年の平均賃金は別表3のとおり
6.葬祭費
130~170万円
被害者が死亡した場合、その人が生きていれば今後得られたであろう収入が失われる。また、事故で後遺症が残った場合は、事故前のような収入を上げることができなくなる。このように事故によって失われる将来の収入を逸失利益という。
7.死亡による逸失利益
- 基礎となる収入は5の休業補償の(1)、(2)、(3)の場合と同じ。
但し昇給が確実で額が客観化されて計算できる場合は、年々の昇給を認める。 - 生活費の控除
死亡事故の場合、将来の収入を失う反面、将来の生活費の支出もなくなるので、生活費相当額を控除する必要がある。
一家の支柱や主婦-30%~40% 幼児や独身者-50%を基礎となる収入から控除する。 - 中間利息の控除
将来の収入は、死亡した人の就労可能な年限(原則として67歳)まで発生し続けるはずであった。したがって、これを一括して請求すると将来発生する分を受けとることになって利息分を得する結果になるから利息分の調整が必要で、これを中間利息の控除という。
具体的には、死亡時の年齢に対応する就労可能年数に対応する係数(新ホフマン式とライプニッツ式がある)を用いる。別表4はライプニッツ式によるものである。京都地域はライプニッツ式によっている。別表4 就労可能年数とライプニッツ係数表 
※画像をクリックすると拡大します - <具体的計算例>
〔年収500万円の35歳のサラリーマン(妻子あり)が死亡した場合の逸失利益〕
500万×*1(1-0.3)×*215.803=5531万5000円
*1 生活費控除
*2 中間利息控除のライプニッツ係数(35歳)
8.後遺症残存による逸失利益
事故前と後で収入減が、はっきり算出できるときは、実額によるが、そうでないときは、自賠責の後遺障害等級に対応した、 別表5(労働能力喪失率表)をもとに、中間利息控除のライプニッツ係数をかけて算出する。
労働能力低下の継続期間については、必ずしも67歳までと考えられるわけでなく、後遺症の回復可能性や、職種等を考慮して決める。
例えば四肢切断等の器質障害については喪失状態が67歳まで継続すると考えられるが、ムチウチ等、神経障害については、継続期間を等級に応じて2年から5年で打ち切る場合が多い。
<具体的計算例
〔年収500万円の35歳のサラリーマンが片足足首を切断した場合(後遺障害等級5級)の逸失利益〕
500万×*10.79×*215.803=6242万1850円
*1 喪失率
*2 ライプニッツ係数
| 別表5 労働能力喪失率表 |
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9.慰謝料
慰謝料は、(1)傷害の慰謝料、(2)後遺症残存の場合の慰謝料、(3)死亡による慰謝料、の3つがある。
(1)については、別表6が一応の基準として使われている。
例えば、入院2カ月、通院4カ月の場合、199~108万円程度ということである。
10.後遺症慰謝料
後遺症の等級による。
| 後遺症慰謝料 |
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11.死亡による慰謝料
- 一家の支柱の場合 2,600万円~3,000万円
- 一家の支柱に準ずる場合 2,300万円~2,600万円
(例えば共働きで家計を支え家計の中心をなす主婦、養育を必要とする子を持つ母親、独身者であっても高齢な父母や幼い兄弟姉妹を扶養しあるいはこれらの者に仕送りをしている者など)。 - その他の場合 2,000~2,400万円
12.弁護士費用
損害賠償の請求が、裁判に持ち込まれた場合、認定額の1割を目安として、損害に加え、加害者に負担させる。
13.過失相殺
出合い頭の車同士の事故、横断歩道外の横断で事故にあった場合等、被害者の損害額が、過失の割合によって減額される。それが何割になるかは、事故の態様等が考慮されて決まる。
14.損益相殺
また、被害者やその遺族が自賠責保険や、加害者から内払いとして金を受け取っている場合には、損益相殺といって、その額を最終的に受け取るべき賠償額から差し引かれるが、生命保険や京都市交通災害共済給付金は、損益相殺と関係がない。
15.時効
損害賠償請求を加害者にするときの時効は、事故発生時(正確には損害と加害者を知ったとき)、または加害者から内払いがあるときは、その最終内払い日から3年である(後遺症についての請求は、症状固定時から3年)。従って、この間に示談をするか、裁判を起こすかの必要がある。但し、内容証明郵便で請求しておけば1回に限り時効を6カ月のみ延ばすことができる(6ヵ月以内に裁判や調停などの手続を申し立てれば、請求したことの時効の中断結果が維持される)。
自賠責保険へ請求するときの時効は2年である。
16.裁判外の紛争処理手続
加害者側と損害賠償金額の算定につき合意ができない場合、 弁護士会へ斡旋手続の申立をすることができる。
また、自賠責保険の金額の算定に不服がある場合は、自賠責保険紛争処理機構(大阪支部)に紛争処理手続の申請をすることができる。
| 別表6 入・通院慰謝料表 |
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