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「高齢者の財産管理・遺言」 – レジュメ

【担当講師】
第1章 高齢者等の財産を守るために 弁護士 奥村 一彦
第2章 遺言-あなたは誰に財産を遺しますか? 弁護士 谷 文彰

第1章 高齢者等の財産を守るために

奥村 一彦弁護士 奥村 一彦

I 社会的弱者の財産管理の必要性

高齢による財産管理不十分な能力となった場合や年齢にかかわらず精神的障害等で財産管理が不十分な能力となった場合、これを法的に援助する制度が、

  1. 任意後見制度(任意後見契約に関する法律、家事審判法など)
  2. 法定後見制度(後見・保佐・補助)(民法7条~20条、838条~876条の10、家事審判法など)

です。

II 理念

その理念は、判断不十分な本人の権利擁護を目的とし、福祉の充実の観点から、自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼイーションを重視しています。(2000年に改正法施行)

また、功罪両面ありますが、権利主体性確保として、福祉サービスの提供方式から利用者との契約に基づくサービス利用方式に転換しました。そのことにより、本人に契約能力が必要とされ、必然的に契約能力補完制度を必要としたのも事実です。

III 任意後見制度では何ができますか

(1)任意後見制度は、本人が意思能力あるうちに、「事理弁識能力不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約」(第2条)。公正証書での契約であること、任意後見監督人が家庭裁判所で選任されてはじめて活動できる。
(但し)

  • ← 本人の行為を制限するものではない
  • ← 後見契約による取消権はない。
  • → 従って、本人の行為制限、取消権を得るためには法定後見制度を検討する
    この意味では任意後見制度は万能ではない。悪徳商法などに引っ掛かった場合は、クーリングオフなど消費者保護法を駆使することになる。
任意後見人解任請求の流れ

(2)代理してもらう法律行為

  • ア 財産管理―預貯金の管理・払戻、不動産その他重要な財産の処分、賃貸契約の締結・解除
  • イ 身上監護―介護契約、入所契約、医療契約
  • ウ なお、上記に関する訴訟行為、本人が行った契約の取消・無効の主張等もできる

(3)実例(なお、将来型、移行型、即効型が考えられる)

  • 後見契約で、代理の範囲を特定する。
  • 着手金、各行為の事務手数料など細かく約束する
  • 書類の保管、郵便物の開封、財産処分の方法、○万円以上の支出、一ヶ月通算して○万円以上の支出など
  • 死後の事務委託として、葬儀、納骨、墓石建立、あるいは施設利用料の支払い、賃料の支払い、保証金の受領など

IV 法定後見制度(後見・保佐・補助)では何ができますか

(1)後見人に誰がなっているか(2007年32629件)

親(28・2%)、子(21・3%)、兄弟姉妹(18・2%)、配偶者(6%)、弁護士(5・2%)、法人もある

(2)どのような制度ですか

1.後見人
  1. 「精神上の障害により事理を弁識する能力を常に欠く状態にあるものについて、家庭裁判所は、本人、配偶者・・の請求により後見開始の審判をすることができる。」(民法7条)
  2. 後見事務
    • 財産管理 包括的管理権・代理権をもつ(民法859条1項)
    • 身上監護 介護、施設の入退所、医療、教育、異議申立、高齢者虐待防止法、老人福祉法
    • その他 取消権
2.保佐人
  1. 「・・事理弁識能力が著しく不十分である者については・・」
  2. 保佐事務
     財産管理
    • a 民法13条1項各号の同意権
      → 同意無く本人が行った場合、取り消しうる。
    • b 取消権
    • c 代理権 特定の法律行為について付与される
      財産管理・身上監護
3.補助人
  1. 「・・事理弁識能力が不十分である者については・・」
  2. 申立に本人の同意が必要
  3. 補助事務
    • 同意権 同意を得ることを要する行為を審判で決める(民13条1項限定)。従って取消権。
    • 代理権 特定の法律行為について代理権を付与
成年後見制度の概要

第2章 遺言-あなたは誰に財産を遺しますか?

谷 文彰弁護士 谷 文彰

1 遺言書はなぜ必要か?

民法上のルールは画一的で、遺言者の意思が反映されない
例えば・・・個人事業者、内縁の配偶者、子、不動産

2 遺言がない場合の民法上のルールは?

遺産をもらえる人の範囲

配偶者
 子or直系尊属or兄弟姉妹

遺産の配分の割合

相続人配偶者直系尊属兄弟姉妹
配偶者+子1/21/2
配偶者+直系尊属2/31/3
配偶者+兄弟姉妹3/41/4

遺産の分け方

遺産分割=相続人全員の話し合いによる

3 法律上有効となる遺言は?

遺言能力と意思能力が必要

満15歳以上であれば有効な遺言ができる
 成年被後見人や認知症の人が書いた遺言は?

遺言「書」であること

→書面でなければならない

4 遺留分とは?

相続人に認められる一定の権利

→遺産の帰属を遺言者が完全に自由に決めることはできない

遺留分権利者

配偶者、子、直系尊属
 →兄弟姉妹には遺留分は認められていない

5 遺言の種類

自筆証書遺言

全文、日付、氏名の自筆+押印
内容が不明確であることが多いので、効力が問題となりやすい

危急時遺言

証人3人
 緊急の場合なので・・・

公正証書遺言

証人2人
国家公務員である公証人が、内容に問題が生じないように注意して作成し、内容が正確であることを承認した公文書
原本を公証役場が保管
→安全、安心!

6 公正証書遺言にかかる費用

公証人に支払う費用の例

相続財産の価額手数料
500万円~1000万円1万7000円
1000万円~3000万円2万3000円
3000万円~5000万円2万9000円
5000万円~1億円4万3000円

弁護士費用

7 終わりに

当事務所の弁護士がサポート致しますので、お気軽にご相談下さい