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「男と女が争うとき」 – レジュメ

【担当講師】
第1部 男と女が争うときの法律問題
第2部 男女のトラブルを巡るお金のあれこれ 弁護士 糸瀬 美保

第1部 男と女が争うときの法律問題

第1 家庭における男女の平等

憲法14条第1項

法の下の平等の原則

憲法24条第1項

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第2 婚約

1 婚約についての規定

婚約については何の規定もない。しかし判例や学説(通説)はある。

2 婚約の成立

当事者間に将来婚姻することの合意があれば足り、特別の方式は必要ない。
(ただし立証の問題はある。)

3 婚約の不当破棄

婚約の効果として、当事者双方は婚姻を成立させる義務を負う。ただし法律の力で無理矢理結婚させることはできない。ただし損害賠償請求はできる。

結納は原則返還、ただし結納を送った側の一方的な責任で婚姻が不成立になった場合は返さなくてよい。

4 結婚詐欺

結婚するという口実でだまされて性的交渉をさせられた場合

第3 婚姻

1 婚姻の成立

  1. 当事者間に婚姻しようという意思の合致があること。
  2. 民法の禁止している事項にあたらないこと。(婚姻適齢・重婚・待婚期間・近親婚・未成年者)
  3. 届出をすること。

2 婚姻の効力

  1. 夫婦同一氏強制制
  2. 同居・協力・扶助義務と例外としてのDV防止法
  3. 夫婦の一方が貞操義務に違反したときは(不貞行為)、裁判上の離婚原因となる。
  4. 夫婦の財産関係
特有財産
夫婦の一方が婚姻前から有する財産
共有財産
夫婦の一方が婚姻中に自己の名で得た財産は共有財産(原則)
ただし夫婦の共同生活によって得たとはいえない財物(相続など)は特有財産

日常家事債務の連帯責任

3 内縁関係

内縁とは・・・内縁とは婚姻届を出していないが、事実上夫婦として共同生活をしている男女の関係をいう。実際には挙式、住民票上の同一世帯、健康保険等で扶養家族の届出、相当年月の共同生活などで立証する。財産分与等一定の保護が与えられるが、相続等で法律上の夫婦との扱いが大きく異なる。重婚的内縁(戸籍上の妻が別にいる)場合はさらに困難がある。

第4 離婚をめぐる諸問題

1 別居の考え方

別居は損か特か。
同居義務との関係、共有財産の持ち出し、住民票や郵便物はどうするか。当面の生活費に困ったとき→婚姻費用の申立。

2 婚姻の解消

死亡と離婚によって婚姻は解消する。
離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚がある。

3 協議離婚

離婚の意思が一致すれば、理由は何でも良い。証人が二人必要。
未成年者がいる場合は、父または母のどちらを親権者とするか決めなければ離婚届は受理されない。
離婚の不受理申出制度・・・一度届ければずっと有効。

4 調停離婚(調停前置主義)

訴訟の前には原則調停(第三者が入った話し合い)が必要。原則として相手方の住所地に申し立てる。
離婚調停と並行して婚姻費用を申し立てることも多い。
調停では離婚にまつわるすべてのことを決めるのが原則(親権者・養育費・財産分与・慰謝料・年金分割など)。

5 訴訟(家庭裁判所で行う)

(1)訴訟上の和解離婚・認諾離婚
(2)判決離婚

裁判で離婚を請求するためには「離婚原因」が必要(民法770条1項)
不貞行為
悪意の遺棄→別居が「悪意の遺棄」とされるとき
3年以上生死不明
強度の精神病
その他婚姻を継続しがたい重大な事由(いろいろな事情の塊による破綻)・・例えば、暴行や虐待・重大な病気や障害・宗教活動・勤労意欲の欠如・犯罪行為や服役・性交不能・親族との不和・性格の不一致などだが、実質的に判断される

「有責主義」から「破綻主義」への変化と有責配偶者からの離婚請求

6 離婚をめぐる子どもの問題

(1)親権者・監護権者・父母の役割
(2)子どもの氏の決め方

離婚をしても子どもの氏は変わらない(元の戸籍のまま)
子の氏の変更の申立

(3)子どもの養育費の決め方

養育費の請求の仕方と決定基準

(4)面接交渉権

第2部 男女のトラブルを巡るお金のあれこれ

糸瀬 美保弁護士 糸瀬 美保

第1 離婚(離婚・内縁解消)における財産給付

1 種類

(1)離婚成立までの婚姻費用分担

婚姻費用:その資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用であり、夫婦が互いに分担するもの

(2)養育費

養育費:義務者・権利者双方の実際の収入金額を基礎とし、子が義務者と生活していると仮定すれば、子のために費消されていたはずの生活費がいくらであるのかを計算し、これを義務者・権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払う。

(3)慰謝料(離婚慰謝料・不貞、暴力など等婚姻中の不法行為に対する慰謝料)
(4)財産分与
  • 精算的財産分与
    当事者双方が結婚生活の間に相互の努力で形成維持した財産(共有財産)について、財産形成についての貢献度・寄与度を考慮して公平に分配すること
    原則:2分の1ずつ 例外:医者や会社経営者など個人の特殊な能力や努力によって高額の資産形成がなされた場合
  • 扶養的財産分与
    請求者が高齢や病気のために働けないなど要扶養性がある場合
  • 慰謝料的財産分与

2 精算的財産分与

(1)対象となる財産~共有財産

cf.「特有財産」:婚姻前から有する財産や婚姻後に取得した財産でも相続や第三者からの贈与により取得した財産

  • 現金
  • 預貯金
  • 生命保険・学資保険 ~解約返戻金
  • 有価証券・会員権
  • 住宅土地などの不動産 ~住宅ローン控除・オーバーローンの場合は価値がゼロ
  • 自動車・家財道具
  • 負債~共同生活の中で生じたもの・負債の方が多い場合に債務者でない者に債務・負担を負わせることができるか。
  • 退職金~支給金額に寄与期間(同居期間)割合を乗じて

→将来分について

  • ア 別居時(離婚時)に自己都合退職したと仮定した退職金額から婚姻前の労働分を差し引いたものを退職時に支払う
  • イ 定年退職時受給予定退職金から婚姻前労働分と別居後労働分を差し引き、中間利息を控除して、離婚時に支払う。
  • ウ 定年退職時の退職金から婚姻前労働分と別居後労働分を差し引き、中間利息を控除せず、退職時に支払う。
(2)基準時

別居時か、離婚時か
*実務では協力関係がなくなったとき、すなわち、別居時とするのが一般的

3 給付水準

(1)婚姻費用の早見表(PDFファイル)・養育費の早見表(PDFファイル)

*子の「生活費」:最低生活費(生活保護基準)に教育費を加算

自営の場合:
課税される所得金額に、青色申告控除・支払いがされていない専従者給与など現実に支出されていない費用などを加える cf.売上金額とは異なることに注意
給与者の場合:
源泉徴収票の支払総額
無職の場合:
平均賃金(賃金センサス)などを基準に潜在的稼働能力を推計する
(2)慰謝料
(3)財産分与(金銭分について)

4 消滅時効要

(1)財産分与~離婚の時から2年
(2)慰謝料~不法行為時から3年

第2 離婚時の厚生年金(共済年金も同様)の分割制度 2007年4月1日施行

1 内容

離婚当事者は、婚姻期間中厚生年金保険料納付記録離婚時に限り、当事者間で分割することができる

2 ポイント

  1. 2007年4月1日以降に成立した離婚であること
  2. 分割の対象は、婚姻期間(対象期間)中の厚生年金の保険料納付記録(施行日以前を含む)
    *老齢基礎年金は対象外、報酬比例部分の額にのみ影響する
  3. 年金加入記録や保険料納付記録が変更・改定される
  4. 厚生年金に加入していない専業主婦でも、婚姻期間中、厚生年金に加入していたものとみなされる(離婚時みなし被保険者期間)。
  5. 但し、分割された厚生年金加入期間は、老齢年金を受給するための受給資格期間(原則25年以上)に算入されるわけではない。年金未加入や未納によって、受給資格を満たさない場合、分割を受けても年金を受け取ることはできない
  6. 分割された記録に基づき、標準報酬が改定される
    年金額が分割される訳ではない。
  7. 改定後の標準報酬は、標準報酬の改定請求をした日以後、将来に向かってのみ効力がある。
  8. 離婚後2年以内に分割(保険料納付記録の変更・改定)を請求しなければならない。
    *当事者双方が請求することができる
  9. 事実婚の解消は対象外
  10. 分割割合は、当事者双方の保険料納付記録の合計の2分の1が上限 ←実際は2分の1が原則
  11. 当事者の合意または家庭裁判所で決定する
  12. 家庭裁判所は、対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与その他一切の事情を考慮して、具体的な分割割合を定める。・・・破綻別居期間など
  13. 各々の標準報総額や被保険者期間など分割請求のために必要な情報提供を、厚生労働大臣(年金事務所)に対して請求することができる。
  14. 年金を受け取るのは、自身(分割を受けた者)が受給資格を得てから
  15. 分割後に相手が死亡しても厚生年金の受給に影響はない

第3 第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度 2008年4月1日施行

1 内容

離婚当事者の一方が婚姻中に第3号被保険者であった期間を有する場合の分割方法について定める。

2 ポイント

  1. 法改正後の第3号被保険者期間については、夫婦がともに保険料を負担したと擬制する。cf.財産分与
  2. 対象は、第3号被保険者であった期間のうち施行日以降に限定
  3. 施行日前については、離婚時分割の方法による
  4. 分割割合は、2分の1
  5. 分割請求は、被扶養配偶者から行うものに限られる。
  6. 請求時期は決まっていない
  7. 離婚時分割請求がなされた場合、第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度による分割請求があったものと扱われ、第3号被保険者期間については2分の1となる
  8. 事実婚の解消も対象となる

第4 男女間のトラブルにおける慰謝料問題

1 慰謝料

不法行為(債務不履行)による精神的被害の賠償請求権

どんな場合に請求出来るのか・相場はあるか?

→裁判例(H1~13)「千葉県弁護士会編 慰謝料査定の実務」

  1. 離婚・内縁関係の破棄~婚姻生活が破綻した経緯、有責行為(不貞・DV含む)の態様・程度・期間、関係修復への努力の有無、婚姻生活に対する誠実さ、協力度、年齢、性別、職業、経済状態、婚外子や認知の有無、再婚可能性、生活費不払い、離婚後の状況・経済的不利益等の要素から算定
     →低額で固定(200万円が一番多く、平均370万円)
  2. 婚約不履行
  3. 婚姻中の不貞行為
     妻が夫に、夫が妻に、夫婦の一方当事者が不倫相手に
  4. セクハラ:相手方の意に反する性的言動・強制わいせつ・強姦
  5. ストーカー:主に妄想的な恋愛感情から特定の人につきまとったり、手紙や電話を頻繁に繰り返したりする ←ストーカー規制法