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「不動産をめぐるトラブル」市民のための法律セミナー・レジュメ

不動産取引のときに気をつけておきたいこと

大河原 壽貴

弁護士 大河原 壽貴

0 はじめに

市民と不動産取引との接点

1.新築住宅購入の際に注意すること

取引の相手の善し悪しをどのように見極めるのか?

住宅品質確保促進法と住宅瑕疵担保履行法

住宅ローン利用の場合

2.中古・リフォーム住宅購入の際に注意すること

中古建物と瑕疵担保責任

敷地の問題

リフォーム住宅と建築基準法上の規制

《閑話休題1》不動産取引時の素朴な疑問

3.マンション購入の際に注意すること

新築マンションの購入

マンションは「共同住宅」

中古マンション購入の場合は?

《閑話休題2》秋深し隣は何をする人ぞ(芭蕉)

4.借家や借地の買い上げの際に注意すること

5.不動産を売却する場合に注意すること

以上



賃貸借トラブル防止のための基礎知識

糸瀬 美保

弁護士 糸瀬 美保

第1.賃貸借契約の基本知識

 

1.敷金・保証金・礼金(権利金)・更新料とは

[1]敷金・保証金

賃貸借契約において、借主が賃料の支払いその他の債務(建物を傷つけたり、建具を壊したりしたときの損害賠償債務など)を保証(担保)するため、予め貸主に差し入れておく金銭 →賃貸借契約終了の際、上記のような賃料未払いや損害賠償債務が発生していなければ、原則として全額が賃借人に返還されるべき性格のもの

[2]権利金(礼金)

賃貸借契約締結の際、借主から貸主に対して渡す一時金で、賃借権設定の対価、賃料の先払い、場所的利益の対価など、いろいろな性格を持っている。貸主は原則として返還義務を負わない。

[3]更新料

賃貸借の契約期間の満了後、合意によって契約を更新する場合に、借主から貸主に支払われる金銭
*自動(法定)更新が原則(借地借家法6条・28条)
・期間満了1年前から6ヶ月前までに更新しない旨を通知すること+正当事由が必要。
・通知があった場合でも、期間満了後賃借人が使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合は更新とみなされる。

[4]敷引特約・更新料特約と消費者契約法

・H23.3.24最高裁判決・・・敷引特約有効
 敷引金の額が高額に過ぎる場合には、敷引特約は無効になる。
 (事案)
 賃料月額 9万6000円
 賃貸期間 2年間
 更新料 9万6000円
 礼金一時金なし
 保証金 40万円
 敷引特約 1年未満 18万 以降1年ごとに+3万円
 5年以上 34万円(賃料の3.5倍強)

・H23.7.12最高裁判決・・・・敷引特約有効
 (事案)
 賃料 17万5000円(更新後17万円)
 賃貸期間 2年間
 更新料 1ヶ月分
 礼金一時金なし
 保証金 100万円
 敷引特約 60万円

・H23.7.15最高裁判決・・・更新料条項有効
 (事案)
 賃料 3万8000円
 定額補修分担金 12万円
 更新料 1年経過ごとに2ヶ月分

2.借地、借家の存続期間

A.借地

(1)借地法が適用される契約(1992年7月31日以前の契約)の場合

[1]契約期間の定めがない場合 木造30年、堅固建物(鉄筋など)60年 [2]契約期間の定めがある場合 木造20年以上、堅固建物30年以上

(2)借地借家法が適用される契約の場合

[1]30年、但し、合意で30年以上の期間を定めることOK [2]更新する場合 1回目の更新は、20年保障 2回目の更新からは10年保障(これを超える合意OK)

B.借家

(1) 期間の定めがある場合

[1]最長期間に制限なしー従来は20年(民法604条) [2]最短1年(借地借家法29条)

(2)期間の定めのない場合

[1]貸主の解約申し入れから6ヶ月で終了(借地借家法27条)

[2]借主の解約申し入れから3ヶ月で終了(民法617条1項2号)、契約で短縮することはOK(ex.1ヶ月前)

C.定期借地権の場合

[1]定期借地権(存続期間50年以上で定めれば,更新なし)

[2]事業用借地権(存続期間10年以上20年以内でなければならない)

[3]建物譲渡特約付借地権(存続期間30年以上でなければならない)

D.定期借家権

[1]期間制限なし

[2]中途解約は原則不可

[3]貸主の契約終了通知

ア.契約期間が1年以上の場合―1年前から6ヵ月前までの間

イ.通知期間経過後―通知後6ヵ月経過後終了

3.賃貸借契約の終了

Q1.生活が苦しくて、賃料の支払いを1ヶ月分遅れてしまいました。賃貸マンションを追い出されてしいますか!?

Q2.退去した後、高額のハウスクリーニング代を請求されました。支払わなければならないのですか?

Q3.古くなったアパートを建て替えるために、賃貸借期間が満了したら立ち退くよう言われました。契約は当然に終了しますか?

(1)終了(解除)事由

・賃料不払い:

[1]相当の期間を定めた催告

[2]期間内に支払わないこと ・無断増築・改築・改造等をしたとき ・無断転貸・譲渡(民法612条) ・用法違反・特約違反 ・期間満了+更新拒絶+正当事由

(2)信頼関係の破壊が必要

・賃料不払いの場合、3ヶ月程度が目安 ・借地より借家の方が厳しい

(3)更新拒絶の正当事由:

[1]賃貸人及び賃借人が建物使用を必要とする事情、

[2]従前の経過(権利金等の授受の有無、賃借人の債務不履行etc)、

[3]建物の利用状況、

[4]建物の現況、

[5]立退料の提供の有無、但し[5]だけで正当事由が認められることはない。

*立退料はどうやって算定するのか?

[1]移転費用(引越費用、移転先取得に要する費用など)

[2]立ち退きで消滅する借家権の補償(借家権価格) 割合法・取引事例法・賃料差額還元法など

[3]営業権ないし営業上の利益の補償

[4]借主の精神的負担の補償

[5]開発利益の借家人への配分(建替え・再開発等の場合など)

(4)原状回復義務(民法616・598条)とは

・賃借人が設置したものを取り除くこと(原状に復する)で足り、古くなったものを新品に交換する義務はない。

・経年変化、自然の劣化・損耗による目的物の価格減少分は賃料でカバーされている。

*原状回復特約

第2.賃貸借契約にまつわるトラブルあれこれ

Q4.賃貸人が家賃の増額を要求してきており,これまでの金額では家賃を受け取ってくれません。どうすればよいですか?

Q5.台風で借家の屋根が壊れてしまいましたが、私が修繕しなければならないのでしょうか?

Q6.借家が売られて持ち主が替わったようです。このまま住み続けることはできますか?

Q7.先日夫が死亡しました。長年夫と生活してきた借家に住み続けることはできるでしょうか?

以上


欠陥住宅の救済手段

飯田 昭

弁護士 飯田 昭

第1.Q&A

Q1.請負契約で建築した住宅が欠陥建築でした。どのような法的手段がありますか?

A1.建築工事に欠陥(これを「瑕疵」かしといいます)がある場合、注文者は請負業者に対し次の法的手段をとることができます。この業者の責任を「瑕疵担保責任」といいます。

(1)修補請求 業者に相当の期限を定めて瑕疵を補修させることができます。

(2)損害賠償請求 業者に補修をさせずに、補修費を損害として請求することもできます。 建物の瑕疵が重大で、個々の補修では根本的な欠陥を除去できず、建て替えざるを得ない場合は、建物の建て替えに要する費用相当額を損害として賠償請求できます(第2-1判例)。

(3) 請負代金の支払い拒否、相殺 請負代金をまだ支払っていなかった場合は、代金の支払いを拒否し、あるいは(2)の損害金と相殺することができます。

Q2.欠陥(瑕疵)の有無はどのように判断するのですか?

A2.第1に、請負契約の内容=設計書の内容を満たしていなければ、欠陥(瑕疵)があることになります(主観的瑕疵 第2-2判例)。

第2に、建築基準法等法令の技術基準を満たしていない場合は、例え建物が現に堅固に建っていたとしても、欠陥(瑕疵)ありとされます(客観的瑕疵)。 典型例としては、木造3階建建物の(1)壁量不足、(2)ホールダウン金物や筋かいプレートの欠如、(3)床が剛床でないなどの原因による建物の耐震性の欠如や揺れ、傾きなどです。また、軟弱な地盤であるにもかかわらず、(4)擁壁の地耐力不足、(5)ベタ基礎でなく布基礎などが原因の不同(等)沈下もよく見られる欠陥現象です。

Q3.業者の責任は、いつまで追及することができますか?

A3.欠陥(瑕疵)の責任追及には期限があり、木造建物の場合は引き渡しを受けた時から5年、鉄骨造りやコンクリート造りのときは引き渡しを受けた時から10年です。ただし、住宅の品質確保促進法により、2000年4月1日以降に建てられた建物については、次のような「構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵担保責任の存続期間は一律10年になります。 このような法律の定めよりも注文者に不利な特約は無効とされます。他方、20年以内で期間を延長することは可能です。

(1)住宅の構造上主要な部分 住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版または横架材(はり、けたその他これらに類するもの)であり、かつ、当該住宅の自重もしくは積載荷重、積雪、風圧、土圧もしくは水圧または地震その他の震動もしくは衝撃を支えるもの

(2)雨水の浸入を防止する部分 ・住宅の屋根もしくは外壁またはこれらの開口部に設ける戸、枠その他の建具 ・雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

Q4.売買契約で購入した建売住宅の場合も欠陥建築の責任を追及できますか?

A4.建売住宅の場合でも、売主に対し欠陥(瑕疵)について損害賠償を請求することができ、欠陥(瑕疵)が重大で建て替えざるを得ない場合は、建て替え費用も請求できます。

ただし、この請求は欠陥(瑕疵)の存在を知ってから1年以内に請求しなければならないので、欠陥を知ったときは放置せず、まず内容証明郵便で通知しておくことが必要です。

建売住宅の売買の場合にも、2000年4月1日以降の新築物件には住宅の品質確保促進法の適用があり、「構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分」に瑕疵がある建売住宅を買った場合は、引き渡しを受けたときから10年間、瑕疵担保責任を追及できます。

1年の期間が過ぎてしまった場合でも、建築基準法の基準を満たしていないような建物を売買した場合、そのことにつき「故意または過失」がある建築業者、売主あるいは仲介業者に対し、不法行為としての責任を追及できます。この場合の時効は、損害を知ったときから3年または建築から20年のいずれか短い方です。

Q5.欠陥(瑕疵)の責任を追及したい建築(販売)業者が倒産。何か方法はないでしょうか?

A5.2009年10月以降に引き渡される新築住宅については、住宅瑕疵担保責任履行法に基づき、資力確保の義務づけがなされました。具体的には、業者は一定金額の供託か、住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務づけられました。

保険に加入している場合、注文者または買主は、保険業者に対して、最高2000万円の限度で、保険契約で定める補修に必要な材料費、労務費、その他の直接費用、調査費用、仮住居・移転費用などの請求ができることになりました。 宅地建物取引業者から建物を買った場合には、業者がつくる保証協会*1の弁済業務保証金から弁済を受けられる可能性があります。弁済を受けられる権利は先に順位を保全した方が優先します。早急に業者が所属していた保証協会に届出をする必要があります。

*1 宅地建物取引業者は、全国宅地建物取引業協会または全日本不動産業協会がそれぞれに構成する保証協会のいずれかに所属しています。

第2.最近の欠陥住宅をめぐる重要な最高裁判決を紹介します

1.最高裁判決 2002年9月24日 請負契約においても建て替え費用相当額の損害賠償を認めた

以前は、売買契約(Q4)の場合と異なり、請負契約(Q1)の場合には、建修理費用はともかく、建て替え費用までは認められないのではないかという論点がありましたが、この判決によって、建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は請負人に対して建物の建て替え費用相当額の損害賠償を求めることができることが、判例上も確定したのです。

2.同 2003年10月10日 主観的瑕疵を認めた

建築基準法等法令の規準を満たしている場合でも、当事者間で耐震性を高め、より安全な建物にするために通常より大きな鉄筋の使用が約定されており、これが契約の重要な内容になっていた場合には、この約定に反して施工された工事には瑕疵があるとされました。

3.同2003年11月14日 名義貸し建築士の責任を認めた

建築士が名義だけを貸していた場合でも、欠陥住宅についての不法行為責任を免れるものではない。

4.同2010年6月17日 居住利益控除論、耐用年数伸長論を否定

欠陥住宅事件においては、業者側は、損害賠償額から居住費用を控除すべき(居住利益控除論)とか、建物を建て替えて耐用年数の伸長した新築建物を取得するという利益を控除すべき(耐用年数伸長論)という主張をしてくることがありますが、建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときは、これらを控除すべきではないとしました。

5.同2011年7月21日 別府マンション事件再上告審判決

施主が直接の契約関係にはない施工業者及び建築事務所の不法行為責任を追及した事例において、「建物の基本的な安全性を損なう瑕疵」があれば不法行為責任が認められる(最高裁2007年7月6日判決)が、その規準は、「居住者の生命、身体又は財産に現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体、財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」としました。

第3.当事務所で獲得した多くの勝訴判決や和解例のうち、いくつかを紹介します

1.伏見区久我御旅町事件(一戸建て)

欠陥住宅+不適切排水路工事 ~業者と京都市の連帯責任を認める。

伏見区の田圃を造成して建築・販売(2002年1月~3月)された住宅の住民11世帯が、業者(信和住宅)と、住宅に隣接して排水路工事(2003年3月~5月)を行った京都市の双方を被告として総額3億3600万円の損害賠償を求めていた裁判で、京都地裁は2007年10月18日、原告全員について業者の責任を認めるとともに、9世帯については京都市の連帯責任を認め、総額8200万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

業者は軟弱な地盤の改良を十分に行わないまま住宅を建設、販売しており、販売直後から不具合が生じ始めていました。そこへ、京都市が隣接して排水路工事を行ったため、工事が行われた側(田圃側)への擁壁及び住宅の傾き、ひび割れが激しくなり、工事終了後も進行していました。

そこで、住民は業者に対して欠陥住宅問題として瑕疵担保ないし不法行為責任の追及をするとともに、京都市に対しては軟弱な地盤であるにもかかわらず、十分な対策を行うことを怠ったまま工事を行ったとして、連帯して不法行為責任を追及しました。これに対し、業者は「工事が問題で京都市のみに責任がある」と主張し、京都市は「欠陥住宅なのだから業者のみに責任がある」と主張しました。

裁判は土木・建築の専門家(タウン測量設計・幸陶一氏)と協力・共同して進め、判決では、「信和住宅が軟弱な地盤の状態を把握しないまま各建物を建築したため、不同沈下を起こし、損傷を受けていたところ、更に京都市がウオータージェット工法により近接して排水路改良工事を施工したため、各建物の損傷が拡大した」として、信和に対しては全世帯に対し不法行為責任を認めました。そして、うち9世帯については、軟弱地盤であるにもかかわらず、採用したウオータージェット工法は不適切であったとして、京都市の連帯責任を認めました。

被害の回復方法については、ジャッキアップによる薬液注入の方法による補修額相当の損害や慰謝料(10戸につき各150万、1戸のみ50万)、修復中の住居費用(各30万)、専門家調査費用、弁護士費用は認められましたが、建替による地盤改良までは認められませんでした。

一審判決に対しては、住民側、信和住宅、京都市がそれぞれが控訴し、専門家の意見書を提出しました。

大阪高裁2009年12月17日判決は、業者と信和の連帯責任を認めた原審を維持したうえ、競売になった一戸を除く10名のうち9名に各約190万円、1名に約290万円の追加支払い(総額約1990万円の増額)を命じました。

原審を損害額において増額した最大の理由は、ジャッキアップとこれにともなう基礎の補修費用として、各戸あたり原審の倍額の約532万円を認容したことです。他方、信和住宅の主張するJOG工法は表層部より下の地盤は改良されないことから不適切であると退けました。

2.マンションの非常階段の瑕疵(マンション)

上京区のAマンションは築15年ですが、非常階段の損傷がひどく、このままでは危険なため、管理組合は1500万円をかけて、全面改修しました。改修前に、どうしてこんなに早く非常階段が損傷したのか、専門家に調査してもらった結果、階段の鉄部の塩分が異常に多く、施工材質に瑕疵があったことが判明しました。マンションの販売業者は既に倒産していたため、工事施工者を相手に当初調停を申し立てましたが、決裂。そこで、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を京都地裁に提訴しました。

裁判では、非常階段の瑕疵が、第2-5判例の「建物の基本的な安全性を損なう瑕疵」にあたるか否かが最大の争点となりましたが、最終的に裁判所が和解を勧告し、相当額の支払いを受ける和解が成立しました。

3.接道義務違反(一戸建て)

~自宅の前の道が「道路」でないと言われたら

建物を建てるために法令上の様々な規制をクリアしなければなりませんが、その規制の一つに、「建築物の敷地は、道路・・・に2メートル以上接しなければならない。」という接道義務の規定があります(建築基準法43条)。ここでいう「道路」に該当するためには(原則4メートル以上の幅員があることといった)一定の要件を充たさなければならず、例え敷地の前にアスファルトなどで整備された道があったとしても、その要件を充たしていなければ法律にいう「道路」にはあたりません。当該敷地は、「建築物の敷地」ではないということになるのです。

接道義務を充たさない土地上の建築物は違法建築物であるため売買の対象とすることができませんし、建物を建て直そうとしても、「道路」に接していないため建築許可を得ることができません。 接道義務を充たさないこのような不動産を購入させられ、再建築もできず、売ることもできずに困難を抱えてしまったBさん、Cさん。

(Bさん)

Bさんは、平成9年、市街化調整区域内の新築住宅を3400万円で購入しました。平成21年にこの建物を売却しようとしたところ、建物が建築確認を受けていない違法建築物であること、土地が市街化調整区域内にあり、かつ、接道義務を充たしていないことから、そもそも建物を建築することができない土地であるため、売却が難しいことを初めて知りました。

一審の京都地裁は、Bさんの訴えを退けましたが、大阪高裁は、「敷地は4メートル幅の私道に接し、間口が2メートル以上接している」という重要事項説明書の記載について、あたかも接道要件を満たしているとの誤解を生じかねないような記載であると認定しました。そして、仲介業者らは本件土地が接道条件を充たしていないことや建築確認を得ていないことを十分に説明していないとして、不法行為責任を認めました。

(Cさん)

Cさんは、平成5年、約2,800万円でマイホームを購入しました。重要事項説明の際、「この敷地は接道義務を充たしています」という趣旨の説明を受けていたことなどから、適法な建物であると信じて長年暮らしてきましたが、平成22年、接道義務を充たさない違法建築物であることが初めて判明しました。その原因は、販売業者が、建築確認の申請を行うときに、実際に建築する予定のものとは違う建物を記載した虚偽の申請書を役所に提出していたためでした。

不動産の販売業者と仲介業者に対して損害賠償を求める裁判を起こしました。その結果、裁判所は両業者の説明義務違反を明確に認め、Cさんに対する損害賠償を命ずる判決を下したのです。さらに、「Cさんは当該建物でずっと暮らしてきたのだから、そのことによる利益を損害賠償額から控除すべきである」との業者の主張を、義務違反の重大性などを指摘して排斥しました。この「居住利益の控除」の問題については、最高裁が、平成22年6月に、重大な物理的欠陥がある場合には、控除を認めて賠償額を減額することは妥当でないと判断していますが(第2-4)、本件のように、物理的な欠陥ではなく権利の欠陥がある場合について「居住利益の控除」を否定した判決は、全国でも例がないと考えられます。

第4.おわりに

この種事件では、建築士や土木・地盤の専門家との連携が重要です。→当事務所では、連携しながら対応できる体制があります。まずは、ご相談ください。

以上