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「上手に活用!後見人制度」 市民のための法律セミナー・レジュメ

こんな相談が寄せられています!

藤井 豊

弁護士 藤井 豊

Case1

母が3年前に亡くなり、実家の京都で1人暮らしをしている父が心配です。父には自宅の他、かなりの預貯金がありますが、最近かなり認知症が進んでいて、悪徳商法に引っかかりかねません。

私は一人息子ですが、関東に仕事と家庭があるので、京都で生活することはできません。父の介護は、将来施設にお願いしようかと思っていますが、財産管理はどうしたらよいのでしょうか。

Case2

叔父が亡くなり、子どももいなかった叔母は、京都で一人暮らしをしていましたが、認知症が進んできたので、老人ホームに入所させました。施設費の支払いは、叔母の預貯金から私が行っています。

しかし最近、叔父の弟から、叔母の収支がどうなっているのか詳細な報告書を要求されたり、家計簿に対して文句をつけられることが増えました。どうやら、叔父の弟は、多額の借金を抱えているようです。叔母の財産を守るには、どうしたらよいのでしょうか。

財産をきちんと管理することは、とても大切です

日々生活する中で、預貯金の出し入れや福祉サービスを受けるための契約手続、遺産分けの話合い、土地建物の売り買いなどをする必要が出てくることもあります。

しかし、高齢により、あるいは病気や障がいにより、本人の判断能力が十分でない場合、これらの意思決定を本人だけで行うと、本人にとって不利益な結果になるおそれがあります(たとえば、高額な契約を結ばされたり、十分な遺産を受け取れなかったり)。財産管理が不十分で、経済的に困窮してしまったら、必要な医療サービスや介護サービスも受けられなくなってしまうかもしれません。

きちんと財産を管理するということは、本人の生命・身体・財産などの権利を守るということにつながるのです。

本人の意思決定を支えるのが後見制度です

判断能力が十分でない人のために、援助者をつけて、その人が本人を代理して必要な契約を結んだり、財産を管理したり、あるいは本人が行った本人にとって不利益な契約等を取り消したりすることによって、本人の保護を図るのが、後見制度です。

後見制度には、いくつかの種類があります。

1)任意後見制度

将来、判断能力が不十分になった場合には、療養看護と財産管理に関する事務処理を第三者に委託し、代理権を与えるということを、前もって契約で決めておくことです。

ただし、任意後見人は、「任意後見監督人」が家庭裁判所で選任されてはじめて、その代理権を行使して、本人のために活動することができるようになります。

また、後で述べる法定後見と違って、本人の行為を制限するものではありません。したがって、本人が悪徳商法などに引っかかってしまった場合は、クーリングオフなどの消費者保護法で解決することになります。

2)法定後見制度

①後見人(本人に判断能力がない場合)
  • 本人の行為は原則として取り消すことができます。
  • 後見人は、本人の財産行為につき全般的に代理権を持ちます。
    療養看護の方針も決定します。
②保佐人(本人の判断能力がかなり不十分である場合)
  • 本人の重要な財産行為に同意できます。
  • 本人が保佐人の同意を得ずにした重要な財産行為は、取り消すことができます。
  • 代理権は、審判で認められた範囲しか持っていません。
    代理権をつけるには、本人の申立または同意が必要です。
    代理権を付与されても、本人の能力は制限されません。
③補助人(本人の判断能力が不十分である場合)
  • 本人の同意がないと補助人はつけられません。
  • 補助人は、審判で認められた特定の重要な財産行為に同意することができ、本人が補助人の同意を得ずにした重要な財産行為は取り消すことができます。
  • 代理権についても、審判で認められた範囲しか持ちません。
  • 同意権や代理権の付与には、本人の申立または同意が必要。

後見人等の選任手続は、本人や配偶者、四親等内の親族等の申立によってスタートします。

後見人等は、親族や弁護士などの中から裁判所によって選ばれ、療養看護と財産管理の面で、本人の利益が最大限になるよう、意思決定を支えます。

裁判所は、後見人等の事務処理が本人の利益のために適切であるかということを、定期的にチェックすることになっています。

法定後見人等が選ばれるまでの流れ

高木 野衣

弁護士 高木 野衣

  1. 申立に必要な資料等の準備
    ・・・戸籍、登記されていないことの証明書、診断書、収支に関する資料等。
  2. 必要書類の作成
    ・・・申立書、本人に関する照会書、候補者に関する照会書等。
  3. 申立
    ・・・申立書等、必要書類と資料を家庭裁判所に提出。事情聴取日の予約。
  4. 事情聴取
    ・・・申立の内容について、申立人や候補者から事情を聴取します(1~2時間)。
  5. 調査
    ・・・本人調査、親族照会、鑑定等。
  6. 審理、審判
    →事情聴取後、1か月~2か月で審判が出ます。審判書を受け取った後、誰からも異議が出なければ2週間後に確定します。

後見人等の役割~療養看護と財産管理とは~

療養看護に関して、後見人等は次のような事務を行います。

  • 本人を代理して、介護契約や施設入所契約、医療契約を結ぶこと
  • 本人の生活に必要な費用を、本人の財産から計画的に支出すること

財産管理に関して、後見人等は次のような事務を行います。

  • 本人の財産を調べて、財産目録を作り、裁判所に提出すること
  • 本人の収支を金銭出納帳に記録して領収書類を保管し、必要に応じて税務申告。
  • 財産と収支をきちんと把握して、赤字にならないよう管理すること(たとえば、預貯金の管理・払戻、不動産の管理・処分などなど)

弁護士の役割

弁護士が、後見制度と関わるケースとして、2つ考えられます。

①弁護士が申立を代理で行うケース

いざ後見申立をしようと思っても、戸籍や登記されていないことの証明書など、慣れない申請手続に苦戦される方はたくさんいます。また、申立書や本人に関する照会書などの作成は、経験したことのない方がほとんどですから、皆さん作成に手間取ります。

そこで、弁護士に後見申立を依頼すれば、申立に必要な資料等の申請手続はもちろん、申立書や照会書等の必要書類の作成も、全て弁護士が行います。

②弁護士が後見人等を務めるケース

親族の中に本人の財産を管理する能力を有する人がいなかったり、本人の財産や権利関係について紛争がある場合、候補者を含めた親族間に争いがある場合、本人の財産額が大きい場合などでは、専門家である弁護士が後見人に選ばれる可能性が高くなってきます。

 

以上