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「遺言作成の心得」 市民のための法律セミナー・レジュメ

賢い相続のさせ方~遺言作成の心得

大島 麻子

弁護士 大島 麻子

【1】なぜ遺言書を書くか?

  • 自分の思うとおりに財産を分けたい
  • 家族が争わないようにしたい

→ 遺言書がないと、財産は法律にしたがって相続される!

【2】法律が定める相続人(法定相続人)は誰か?

【3】いろいろな遺言書

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 緊急時遺言(緊急時、証人3人必要)

【4】自筆証書遺言の書き方例

【5】自筆証書遺言の書き方例

【6】自筆証書と公正証書、どちらがいい?

自筆証書遺言

利点
  1. 自分で簡単に作成できる。
  2. 遺言書を書いたことや内容を秘密にできる。
欠点
  1. 形式上のミスを見落としやすく、遺言が無効になる危険がある。
  2. 紛失したり、偽造されたりなど、管理が難しい。
  3. 遺言者の死後、相続人が家庭裁判所で検認の手続きをする必要がある。

公正証書遺言

利点
  1. 公証人がチェックするので、ミスを防ぐことができる。
  2. 手が震えるなど、手書きができない人でも作成できる。
  3. 公証人役場が遺言書を管理してくれる。
  4. 検認の必要がない。
欠点
  1. 公証人への手数料が必要になる。
  2. 証人を2人以上用意しなければならない。

→ 争いが予想される場合は、厳格な方式の公正証書遺言が無難

【7】遺留分に注意!

遺留分…相続財産のうち、相続人に保障されている部分

公正証書遺言の例

平成26年第1号
遺言公正証書

 

本公証人は、遺言者磯野波平の嘱託により、証人大島麻子、同佐々木保幸の立会のもとに、遺言者の口述した遺言の趣旨を筆記してこの証書を作成する。

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金全部の払戻を受け、後記する遺言執行者の報酬、葬儀費用及び入院治療費等一切の債務及び弁済に充てた残金について、遺言者の妻磯野フネに2分の1、長男花沢カツオ、二女伊佐坂ワカメに各6分の1ずつ相続させ、亡長女フグ田サザエの夫フグ田マスオに6分の1を遺贈する

第2条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地及び建物を、前記フグ田マスオに遺贈する

 (土地の表示 省略)
 (建物の表示 省略)

第3条 遺言者は、遺言者の有する動産その他の一切の財産(第1条及び第2条の財産を除く)を前記フグ田マスオに遺贈する

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、弁護士大島麻子を指定する。
 遺言執行者は、預貯金の名義書換え、解約、払戻の権限を有する。
 遺言執行者の報酬は、遺言者死亡時の遺産総額(時価)の○パーセントとする。

 

 

付言

私が、この遺言を作成した趣旨などについて述べておきます。

亡長女フグ田サザエ夫婦は、長年私たち夫婦と同居して世話をしてくれ、自宅の修理費用を出してくれるなどしてくれました。昨年、残念なことにフグ田サザエは亡くなりましたが、その夫フグ田マスオは、変わらず私たちと同居し、実の息子のように世話をしてくれています。したがって、私は、フグ田マスオに心から感謝し、自宅を贈ることにしました。私亡き後も、妻磯野フネの世話をよろしくお願いいたします。

長男花沢カツオ及び二女伊佐坂ワカメは、結婚時に相当額を贈与しており、また、それぞれ自宅を所有しておりますので、預貯金のみを相続させることにしました。

このような事情を考慮し、遺言書を作成いたしましたので、相続人の皆さんは、私の考えをよく理解して、いつまでも仲良く過ごしてください。

★公正証書遺言は通常、公証人役場で作成しますが、公証人に入院先の病院などに出張してもらって作成することもできます。

★証人は二人必要です。相続人になる予定の人などは証人になれません。

★「口述」とありますが、遺言の内容は、あらかじめ検討して決めておきます。

★葬儀費用や入院治療費などの扱いをどうするか書いておくと、相続人が迷わなくてすみます。

★法定の相続人に遺産を与える場合には「相続させる」、それ以外の者の場合には「遺贈する」という表現をすることが一般的です。

★預貯金の総額は変わる可能性があるので、金額でなく割合で指定する方法があります。

 

 

★動産その他の一切の財産を指定しておくと、相続人が困らなくてすみます。また、後日に新たな遺産が出てきたとき遺産分割協議をしなくてすみます。

 

★遺言執行者を指定しておくと、不動産の特定遺贈や、預貯金の名義書換・払戻等がスムーズにできて便利です。
 相続人の一人を遺言執行者に指定してもよいですが、相続人間でもめごとがおこりそうな場合には、弁護士を指定しておくこともできます。報酬額も予め定めておくと、相続人が困りません。

 

★必須ではありませんが、遺言者の思いを伝えるのに役立ちます。

 

 

相続税の計算の仕方

税理士法人 洛
税理士 佐々木 保幸

1.相続税ってどうやって計算する?

遺産の総額から基礎控除 を差し引いた額が税金の対象になる。

※基礎控除 「3000万円+600万円×法定相続人数」

2.土地や家の金額ってどうやって調べたらいい?

①土地

通常は路線価 という金額で計算される。国税庁がホームページで路線価図を発表していて、1平方メートル当たり1000円単位の数字で表されている。例えば「200」とあれば20万円。自分の土地の部分のこの数字を調べて、面積をかければ相続税の対象になる金額がわかる(ただし実際には道路への面し方などで評価が変わってくる)。

※路線価

主要道路に面した宅地、田、畑、山林などの土地の公的な価格指標で、相続税や贈与税の課税額を算定するために使われる。国税庁が毎年7月ごろに1月1日時点の1平方メートル当たりの価格を千円単位で公表している。公的機関が公表する地価には国土交通省の公示地価などがあり、路線価は公示地価の約8割を目安に価格が決められる。

②建物

固定資産税評価額という数字で計算されます。市区町村から毎年送られてくる固定資産税の通知書などで確認できる。

③預貯金など

原則、残高で。

④株

(1)相続があった日の終値(2)相続があった月の終値の平均額(3)前月の平均額(4)前々月の平均額――のうち、もっとも低いものを選ぶことができる。

⑤投資信託

相続発生日の手取額に相当する価額。相続発生日の基準価格を基に下記の方法により評する。

相続発生日の基準価格×口数-相続発生日に解約した場合の所得税等-信託留保金・解約手数料=投資信託の評価(=相続発生日の手取額)

3.相続税の計算の仕方は?

法定相続人は配偶者と子ども1人。

基礎控除は「3000万円+法定相続人の数×600万円」、

法定相続人が2人だと基礎控除は4200万円。

基礎控除を引いた課税遺産が1億円。

計算するときは相続税の速算表を使う。

課税遺産に税率をかけて、控除額を差し引くと相続税額になる。

※ポイントは課税遺産全体で計算しないこと。まず法定相続人が法定割合で相続したと仮定して、それぞれの相続税を計算します。それを合計して相続税の総額を出すのです。

配偶者と子1人なので法定相続割合は2分の1ずつ。つまり5000万円ずつ。

速算表で5000万円のところを見ると、20%をかけて200万円を引くので、法定相続人1人当たり800万円。

2人分なので相続税の総額は1600万円。

※相続税は金額が大きいほど税の増え方が大きくなる累進税率。間違えて課税遺産全体で計算すると高い税率が適用されることになりますので要注意。

4.実際の分け方が法定相続通りではないこともあるでしょう?

さきほどの相続税の総額を実際の配分に応じてあん分する。

例えば配偶者への配分が6割なら相続税総額の1600万円の6割で960万円、子が残りの4割の640万円になります。

配偶者の場合は、取得した遺産が1億6000万円または法定相続分のどちらか大きい方を下回れば、非課税になる特例がある。このケースの場合、1億6000万円を下回っているため、配偶者の相続税はなし。子の640万円だけ払えばよい。

5.実際の分け方はどう決める?

遺言があればそれが優先される。遺言がない場合や、遺言からもれている遺産があれば、相続人全員での遺産分割協議で決める。相続人全員の合意があれば法定相続割合に従う必要はない。その上で遺産分割協議書を作ることが一般的。


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○「贈与したつもり」だと・・・・・

税務調査で申告の誤りが発見されると、たとえ故意ではなくても、納めた税金が少なかった場合は、過少申告加算税(10%)が課される。故意に隠ぺいなどをして税金を少なくした場合には、重加算税(35%)が課される。さらにこれらの加算税とは別に延滞税もかかる。(無申告の場合、無申告加算税(15%)、重加算税(40%))

税務調査によって発見される誤りの中で多いのが、本人は生前贈与したつもりなのに実際には贈与が成立していないとして否認されるケース。親が子供や孫の名義の銀行口座に黙ってお金を入れ、そのまま自分で通帳を管理していたような場合は、贈与として認められない。

贈与を成立させるためにはポイントは、(1)贈与のたびに契約書を作る(2)贈与の実行は振り込みなど記録が残る形にする(3)もらった人が財産を管理・運用する(4)年間の贈与税基礎控除110 万円を超える場合は申告納税する――ことなどが大切。

相続税の調査では、税務署は事前にかなりの部分を調べてから来る。例えば亡くなった人だけでなく法定相続人なども含めて、預貯金の出入りを金融機関で調べてから来ることが多い。隠し立てしようとせず、正直に対応するのが基本。

(参考) 相続税早見表(上段:配偶者がいる場合 下段:配偶者がいない場合)

被相続人 故磯野波平氏に係る相続税を計算してみる

(財産)

京都市東山区の自宅(土地240 ㎡)

 土地 路線価275千円 6600万円、建物 固定資産税評価額 660万円

預貯金 4200 万円

合計1億1460 万円

(債務など)

未払の入院治療費12 万円、遺言執行費用200 万円

(葬儀などの費用)

通夜・葬儀費用168 万円、四十九日法要費用20 万円

法定相続分

 配偶者  妻 フネ 1/2

 子  長男 カツオ 1/4   次女 ワカメ 1/4

1. 課税価格の計算

①土地 6600万円引 - ※5280万円 = 1320万円

※小規模宅地の特例

納税者の負担が大きくならないよう土地の評価額を下げる仕組み。配偶者や親と同居していた子どもなどが自宅の土地を相続する場合、330 平方メートルまでは評価額を80%減らす特例

  6600万円 × 240㎡/240㎡ × 80% = 5280万円

②建物 660 万円 × 1.0 = 660万円

③預貯金 残高 4200万円

④債務控除 未払入院治療費 12万円

 ※遺言執行費用200 万円は債務控除できない。

⑤葬式費用 通夜・葬儀費用168万円

 ※四十九日法要費用20万円は含まない。

課税価格(①+②+③-④-⑤)

1320万円+660万円+4200万円-12万円―168万円=6000万円

2.課税価格から基礎控除を控除

6000万円 - ※4800万円 = 1200万円

 ※基礎控除:3000万円 + 600万円×3 =4800万円

3.2 の金額を法定相続分で按分して、相続税の速算表の税率(控除)を適用し、合算して、相続税の総額を算出

①1200万円 × 法定相続分1/2 ×10% =60万円

②1200万円 × 法定相続分1/4 ×10% =30万円

③1200万円 × 法定相続分1/4 ×10% =30万円

①+②+③ = 120万円(相続税の総額)

4.相続税の総額を取得割合で按分し、各人の負担額を算出

フネ :120万円 ×0.34 =40.8万円 →配偶者軽減により納税なし

カツオ:120万円 ×0.11 =13.2万円 (納税)

ワカメ:120万円 ×0.11 =13.2万円 (納税)

マスオ:120万円 ×0.44 =52.8万円 (納税)


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佐々木 保幸(ささき やすゆき)

税理士(近畿税理士会)、税理士法人 洛 代表

本社 京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町20-2

TEL:075-751-6767 FAX:075-771-9530
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