よくある質問

交通事故事件に関するQ&A

2.意外と知らない保険の話

Question

交通事故による損害の賠償は、どこに請求したらよいのでしょうか?

Answer

加害者が任意保険に入っている場合は、その任意保険が使えます。無免許や飲酒運転の場合でも任意保険は使えますし、被害者から直接請求することもできます。

被害者やその家族が任意保険に入っている場合、被害者の立場で使える様々なタイプの保険がありますので、任意保険会社に確かめて下さい。例えば、人身傷害補償特約がついていれば、過失割合等にかかわりなく保険金額の範囲内で保険金が支払われます。搭乗者傷害特約では、加害者側から100%の支払いがあったときでも支払われます。無保険車傷害特約は、加害者側が任意保険をかけていない場合等に使えます。また、弁護士費用特約は、加害者側への請求についての弁護士費用が支払われます。

そのほか、交通事故が業務災害や通勤災害の場合は、労災保険が使えます。

Question

加害者は任意保険に加入していないようなのですが、賠償はどうなるのでしょうか?

Answer

この場合、加害者が自賠責保険に加入していれば、そこから賠償を受けることができます。この自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法によって自動車および原動機付自転車を使用する際に加入が義務づけられている損害保険で、人身傷害についての賠償がなされます。自賠責法によって支払基準が定められており、それに従って計算した上で一定の支払限度額の枠内で支払いが行われます。全国統一処理のために、自賠責保険会社は、支払基準以上の支払いを禁止されているのです。

しかし、自賠責保険の支払基準は、実際の裁判の水準よりも相当低いのが現実です。2006年3月30日の最高裁判決は、自賠責保険会社に裁判を起して裁判所の水準の支払いを求めた場合には、裁判所は自賠責の支払基準に拘束されず、一般の交通事件と同じように損害賠償額を算定して支払いを命ずることができるとしており、実際の訴訟でも自賠責保険会社に追加支払させる和解案が裁判所から示されたりしています。任意保険が使えないケースでは、訴訟を検討してみることが必要です。

また、自賠責は被害者に重過失がなければ(被害者側の過失が70%未満なら)100%の支払を行い、重過失の場合も減額率を抑えていますので、被害者側の過失があるケースでは自賠責保険への請求を先行させることが大切です。

自賠責保険からの支払基準の上限は、例えば以下のようになっています。

  • 傷害                      120万円
  • 死亡                     3000万円
  • 後遺障害              75万円~3000万円
  • 介護を要する後遺障害      3000万円~4000万円

もっとも、複数台がからむ事故で、「加害車両」が2台と判断されれば、被害者は双方の自賠責保険に請求することができます(つまり、限度額が2倍になります)。支払基準による計算額が限度額の2倍以上の場合は、限度額の2倍分(2台分)まで支払われます。

Question

自賠責保険(強制保険)には、どのように請求すればよいのでしょうか?

Answer

加害者が契約している自賠責保険会社に連絡すると、請求書類セットを郵送してもらえますので、これを自賠責保険会社に送付して請求することになります。必要書類としては、交通事故証明書、休業損害証明書、診断書、後遺障害診断書、診療報酬明細書等があります。交通事故証明書は、保険会社や警察などに「交通事故証明書申込用紙」がありますので、これに記入し、郵便局で手数料を払って手続をすると、自動車安全運転センターから郵送されてきます。休業損害証明書は所定の用紙がありますので、勤務先に記入してもらいましょう。

自賠責保険への請求は、弁護士などの代理人によって行うこともでき、その場合は、請求者の実印による委任状、請求者と代理人の印鑑登録証明書が必要になります。

なお、加害者側が任意保険に入っている場合には、多くのケースで任意保険会社が自賠責保険分も一括して被害者に支払う手続をしています(これを「一括払制度」といいます)。任意保険会社が一括処理しますので便利なように思えますが、本来支払われるべき自賠責保険金分も任意保険会社との示談などが成立しない限り支払われないとか、後遺障害の認定手続も任意保険会社にまかせてしまうなどの問題点があります。一括払制度を利用していても、途中で解除して、被害者が直接自賠責保険に請求することができますので、検討して下さい。また、任意保険会社が対応しないケース(非一括払ケース)では、積極的に自賠責保険を活用することが必要です。

Question

自賠責で足りない部分はどうしたらよいのでしょうか?

Answer

人損の場合には、加害者(運転者)だけでなく、自動車の保有(使用)者へ直接請求することができます。この場合、加害者や自動車保有者に資産があるかどうかが問題になりえます。

他方、事故発生時にあなたが勤務中(通勤中)であった場合、労災保険からの給付を受けることができます。逆に、事故発生時に加害者が勤務中であった場合、加害者の勤務先に対して請求することができます。

あなたが加入している任意保険に人身傷害特約や搭乗者傷害保険などが付随されている場合、その特約から支払を受けることができます。

Question

加害者は任意保険にも自賠責保険にも入っていないようです。何の保障も受けられないのでしょうか?

Answer

加害者が無保険であっても、ひき逃げや無保険車の場合は、政府が保障する政府保障事業を利用することで、自賠責保険の枠内で支払いを受けることができます。各保険会社が受付窓口となりますので、最寄りの保険会社で手続をして下さい。

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