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旧茶のしずく石けん被害事件で全国初の判決が出ました

旧茶のしずく石けん被害事件で全国初の判決が出ました

2018年2月26日
弁護士 谷 文彰

1 全国初の判決で製造業者の責任を認める

かつて株式会社悠香が販売していた旧「茶のしずく石けん」を使用して小麦アレルギーになってしまった方が各地で裁判を起こしている事件で、2018年2月20日、全国初の判決がありました。

京都地方裁判所は、石けんの製造会社の責任を認め、被害者17名に対して小麦アレルギーによる損害を賠償するように命じたのです。

2 大きく広がった被害-石けんを使っただけで小麦アレルギーに!?-

旧茶のしずく石けんは、美容によいと大々的に宣伝され、4600万個以上もの売り上げを記録した製品です。しかし、実は、その石けんに含まれていた成分は、使用した人に小麦アレルギーを発症させる危険性のあるものでした。こうして、石けんを使っただけなのに小麦の入った製品が食べられなくなったり、顔にじんましんが出るなどして腫れあがったり、呼吸困難となって病院に救急搬送されるはどの被害を受けた方々が全国各地で起こしたのが、今回の裁判です。

石けんを販売した株式会社悠香のほか、石けんを製造した会社と原因物質を製造した会社とを被告とし、はっきりした症状が出て通院するなどした約2000人のうち約1300人が原告となって、全国28の裁判所に裁判を起こしました。その後悠香などとの間で和解をした方もいますが、なお200人以上が賠償と謝罪を求めて裁判を続けています。

3 判決の評価と問題点

今回の判決では、被害者の小麦アレルギーの原因が茶のしずく石けんであること、石けんを製造販売した会社には法的な責任があることが明確にされました。「発症したのは石けんを使用した人のうちごくわずかにすぎない」との会社側の主張が明確に排斥された形です。小麦アレルギーというこれまでに類を見ない特殊な形態の被害について、製品を製造販売した会社の責任がきちんと認められたことは、当然のこととはいえ、大きな意義があると思います。

けれど判決には不十分な点もたくさんあります。被害に対する賠償額が低いこと、原因物質を製造した会社の責任を認めなかったことなどです。私たちが口にする飲食品の多くには小麦が含まれています。パン、うどん、パスタなどはもちろんのこと、実は醤油などにも小麦成分が含まれているものがあり、それらを口にすることでアレルギー症状が現れるため、日常生活に対する制限は非常に大きなものがあります。その点が判決では正当に評価されませんでした。また、今回の被害を引き起こした原因物質を製造した会社も相応の責任を負うべきですが、裁判所は、石けん製造会社の作り方に問題があったという趣旨の理由を述べて責任を認めませんでした。しかし、これでは危険性のある物質を製造しても、完成品の製造者でないからという理由で多くの場合に責任が問えないこととなってしまい、被害者の救済が後退してしまいます。

4 控訴審に向けて

こういった観点から、私たちは高等裁判所に控訴し、正当な判決を求める予定です。たくさんのモノを消費して生活する今の社会、いつどこで自分も被害者になるか分かりません。被害がきちんと救済されるよう、これからもがんばりたいと思います。