弁護士コラム

違法な処分取消を求めて社会保険庁職員が提訴

違法な処分取消を求めて社会保険庁職員が提訴

本日、社会保険庁の職員2名が自らに対してなされた懲戒処分(2割減給2ヶ月)の取消を求めて、京都地方裁判所に提訴しました。2名は厚生労働省関連の労働者で組織する全厚生職員労働組合京都支部に所属しています。

この懲戒処分は、1名(Aさん)が組合の役員として勤務時間中に上司の許可を得ないで労働組合活動に専務していたいわゆる「無許可専従」「ヤミ専従」の行為者として、もう1名(Bさん)は、組合役員になることをAさんに依頼したことで「無許可専従」を「惹起」した、ということを理由にしています。

たしかにAさんは組合の役員を務めていましたが、Aさんは勤務時間中、通常の窓口業務を行っていたことはもちろん、それに加えて、上司の指示を受けて、上司と話し合いをしながら業務改革に関する素案の検討等をしており、Aさんが行っていたこれらの行為は業務そのものでした。実際、このような折衝を経て京都の年金業務の改革が進められ、より国民の立場に立った窓口業務を行うよう、改革が進められてきたのです。Aさんが「無許可専従」として処分されるいわれはありません。

まして、組合の役員は選挙で選出するものであり、Bさんが「無許可専従」を「惹起」することなどあり得ません。

さらにこの処分を理由にして、2名を、来年1月から年金業務を引き継ぐ日本年金機構から排除し、さらには社保庁解体に伴って分限免職処分(民間の解雇にあたる)にされようとしています。組合活動を中心的に行い、国民に奉仕する年金業務のあり方を実践してきた職員を、「無許可専従」の問題に無理矢理絡めて、排除、免職しようとする国の意図が見られるのです。

このような違法な処分は取り消されなければなりません。当事務所は、弁護団を先頭にして力を尽くす所存です。

2009年2月27日
(弁護団)弁護士 荒川英幸
弁護士 渡辺輝人
弁護士 藤井 豊
弁護士 水野彰子
弁護団による提訴後の記者会見

弁護団による提訴後の記者会見

2009年2月