弁護士コラム

ウェザーニューズ過労自殺事件、勝利和解成立

ウェザーニューズ過労自殺事件、勝利和解成立

事件の概要

気象予報会社・ウェザーニューズに勤務していたAさんは、今から2年前の2008年10月2日、わずか25歳で自ら生命を絶ちました。月200時間を超える長時間残業が続き、上司から厳しく叱責される中で、どんどん追い詰められた結果でした。

詳細は「まきえや2010年秋号」事件報告を参照下さい。

評価できる和解内容

12月14日、ウェザーニューズとの間で、和解が成立しました。この和解成立は、原告らが求めてきたものが、すべて取り入れられた結果です。つまり、

第1に、会社は、本件が、被告会社における長時間労働等によってひきおこされたものであり、その責任が被告にあることを認め、原告等に対し深く謝罪する、としたことです。和解の席上でも、会社の副社長から謝罪の言葉が述べられました。

第2に、会社は、これまでの労働時間管理・労務管理を見直し、社員が健康で安心して働ける職場環境を整え、再び、かかる事件を発生させないよう具体的手立てを講じることを約束したことです。

第3に、事件の解決に相応しい和解金を支払うことを約束したことです。

訴訟提起からわずか2ヶ月半で、このような内容の和解に至ったことは、大変良かったと思っています。訴訟提起を受けて、市民の皆さま方が、会社の対応を非難し、原告等を励ましていただいた結果だと思っています。

何よりも、会社が、裁判所の和解という場において、責任を認め謝罪の意の表明することは、これまでの訴訟事例でも、あまり例がありません。原告らは、これが会社の総意であり誠意であると受けとめ、和解に応じました。

異常な働かせ方に終止符を

今回の件は、裁判としては終わりましたが、いのちを落とした彼は、母や兄の元には戻ってきません。私たちは、会社が、その償いを、この和解だけで尽くしたとは決して思って欲しくありません。

会社が、本当に責任を果たせるかどうかは、これからの会社のあり方にかかっていると思います。異常な働かせ方に必ず終止符を打って下さい。それは遺族の強い願いのみならず、会社で働くすべての方々とその家族の、そして、日本社会から異常な働き方を無くし、過労死・過労自殺の無い社会を目指しているすべての方々への約束だと確信しています。

[担当弁護士] 村山 晃・谷 文彰
和解後の記者会見

和解後の記者会見

2010年12月