京都第一

弁護士ファイル/建築

弁護士ファイル/建築

森川明
弁護士:Morikawa Akira

請負代金の回収

大企業は「派遣切り」等の効果で黒字に転換したところが多くなりましたが、地域の実体経済は一層疲弊していっています。このため、注文者の経営破綻などで、建築業者が請負代金を回収できないという事例が改めて増えています。建築業者は、日常的に仕事確保に苦しい状況にあり、このため、とにかく仕事を請けるために、契約の締結に向けて無理をする傾向にあります。しかし、わずかな工夫をすれば、権利の主張と代金の回収が遥かに容易になるのに、と残念に思われる事例が多くあります。中でも、着工前に、まずは見積書を送信しておく、ということは大事です。また、契約時や、工事に変更があった時には、何らかの図面を作成、送付しておくことです。業者の皆さん方には、困難な状況の中、何とか工夫しながら頑張り抜いて頂きたい。

飯田昭
弁護士:Iida Akira

欠陥住宅の被害救済

住宅(マンションを含む)は、市民にとっては「一生の買物」であり、金額的にも人生で最高額の「商品」です。また、住宅は「衣・食・住」の一つとして生活の基盤をなすものであり、その中で最も多くの時間を過ごす「商品」でもあります。

ところが、その住宅に(1)地盤の不同沈下、(2)基礎の不備、(3)耐力壁の不足、(4)筋交いの不足、(5)雑な手抜き工事、等の「欠陥」があれば、居住者の受ける経済的・精神的被害は極めて重大です。

私はこれまで、建築や地盤の専門家と連携しながら、多くの欠陥住宅・欠陥マンションに関わる事件を取り扱ってきました。この間、判例や制度は徐々に消費者救済の方向に前進してきていますが、被害の「根絶」までには、まだまだ「道半ば」といったところです。

「京都第一」2010年夏号