京都第一

コラム:「イクメン」を考える

コラム:「イクメン」を考える

この数年で急に認知度があがった言葉のひとつに「イクメン」というのがあります。育児に積極的な男性を意味する言葉です。

私も、子どもを保育園に送り迎えしているだけで、時々「イクメンですね」とか言われたりすることがあります。けれども、保育園で顔を合わせる「父」たちは、夫婦それぞれの仕事の事情から、積極的かどうかはともかく、育児に関する分担をしているのが実際で、これは女性と同じです。もっとも育児の楽しさを味わっていることもまた間違いないと思います。

2011年の時事通信社の世論調査では、4割程度の男性が積極的に育児に関わりたいと考えています。これまでの経済的な豊かさのみを追求する時代は、意識面ではすでに大きく変化をしており、多くの人が家族と過ごす時間を大切にしたいと考える時代になってきており、「イクメン」というポップな言葉も、こうした時代の中で登場してくるわけです。しかし、たとえば男性の育児休業の取得率は昨年も2.63%という低水準に留まっています。

北欧では男性も8割程度が取得します。これは政府が父親だけが取得できる育児休暇期間を設定して、父親の権利でもあることを明確にし、8割以上の所得保障をしているためです。日本が進むべき道筋を示しています。

それから、男性が育児休暇をとっても、また労働時間を短縮しても、仕事が回るような労働環境の整備は最も重要です。男性の育児参加が増えることが、労働環境を変える力になるのではないかと思っています。

( 弁護士:藤井豊)

「京都第一」2012年夏号