京都第一

特集:座談会「みんなで政治を変えよう!」

特集:座談会「みんなで政治を変えよう!」

安倍政権が強引に進めようとしている政策について、吉岡徹さん(京都地方労働組合総評議会議長)、中根葉月さん(日本民主青年同盟京都府委員会委員長)をお迎えし、それぞれの立場から大いに語ってもらいました。

糸瀬  司会の糸瀬です。2016年夏の参議院選挙に当事務所の大河原壽貴弁護士が立候補することになりました。大河原弁護士には立候補した決意などを語ってもらいたいと思います。

戦後日本のあり方を根本から変える戦争法案

糸瀬  さて、さっそくですが、最近の安倍政権の暴走はひどいですね。

大河原  今、戦争法案の国会審議が行われています。自衛隊の海外派兵や武器使用を大幅に拡大し、日本が武力攻撃を受けなくても自衛隊による武力行使が可能になるという中身で、まさに日本を戦争する国にするものです。

糸瀬  実際に戦争にかり出されるのは若者と言われていますが、若い人たちの受け止めはどうでしょうか。

中根  リアルに自衛隊が海外で武力行使できるようになるということで、若者の間に危機感は広がっています。東京でも京都でも集会やデモが行われています。

糸瀬  戦争法案は決して自衛隊だけの問題ではなく、私たちの生活にも関わってくると思うのですが、労働者の立場からはどうでしょうか。

吉岡  京都総評でも、戦争法案の労働者への影響を大きく訴えています。武器の開発では大学の研究者やIT企業の社員が、武器弾薬の貯蔵庫の建設には建設業者が、輸送は輸送業者が協力させられます。労働者は会社から業務命令をうけ、協力しないと首を切られるので、むりやり戦争に荷担させられるとの危機感を持っています。

糸瀬  戦争法案の先にある憲法改悪の問題は、来年の参議院選挙の一大争点です。これまでも憲法改悪の動きはあったと思いますが、今の状況はどうでしょうか。

大河原  第一次安倍政権のときは、9条そのものを改憲しようとしたのに対して、全国で「9条の会」が次々と発足し、反対の声が拡がりました。第二次安倍政権になり、96条の改憲が言い出され、これが非難を浴びると、解釈改憲や、部分的に改憲する「お試し改憲論」などが言い出されている状況ですね。

中根  友人や民青の仲間のなかで話していても、憲法が生活のなかにどう関わってくるのかピンとこない。でも、みんなで自民党の改憲案を学んだら、「それ嫌やな」という素直な感想が出されます。憲法はそもそも国家権力を縛るためのものだということを知らない人がとても多いです。

吉岡  戦争法案の閣議決定の後、街頭宣伝で憲法手帳を配りましたが、街頭の反応が変わったと思います。
 多くの学者の皆さんも戦争法案が憲法違反であると声をあげており、安倍政権としては、「明文改憲が必要だ、9条を変えないと」となってくる。参議院選挙までのあと1年ほどの闘いが重要だと思っています。

大河原  私も来年の参議院選挙の予定候補として、明文改憲を許さない闘いを進めていくことがとても重要だと思っています。

改悪が狙われる労働法制

糸瀬  今国会にはこれまで2度廃案になった派遣法改悪案が上程されました。正社員の仕事が派遣社員に置き換えられ、正社員がいなくなってしまうのではないかと危惧しています。

大河原  2012年の派遣法改正による「労働契約申込み見なし制度」が今年の10月に施行されるため、それまでに派遣法を改悪して、その制度を骨抜きにしたいとの財界の強い意向があります。
 さらに、残業代ゼロ法案もあります。当初は適用範囲を限定していても、財界の思惑としては、将来的に年収400万円程度の労働者にまで拡大するつもりと言われています。

吉岡  労働法制改悪について街頭宣伝していると、初めてスーツを着たサラリーマンがチラシを受け取ってくれるようになりました。この間、労働者全体の実質賃金は下がっているにもかかわらず、企業の内部留保はどんどん増えています。
 そして、京都では非正規雇用が4割を超えています。特に20歳から30歳は6割と極めて高い水準で、正規雇用で勤められないから奨学金を返せない、そこに「自衛隊なら正規雇用で借金も返せますよ」とやって来る。そういう流れができつつあります。
 もっと若者が声をあげないと!

糸瀬  若者の働き方では、ブラックバイトという言葉も広がっています。民青同盟でも調査をしたと聞いていますが、どのような取り組みをされていますか。

中根  「あなたのバイトはホワイトですか?」と街頭で尋ね、シールを貼ってもらう調査や、アンケートをとりました。
 自分のところはホワイトだと答えた人に、よくよく話を聞くと、結局は7割が違法なブラックバイトと気づかず働いていたという実態がありました。若者は、働くルールを学ぶ機会もあまりないので、違法な働かされ方をしても気づかない。1分単位で残業代が出ることなど、ほとんどの人が知りません。

大河原  高校で労働法の講義をしたとき、高校生が一番驚いていたのは、パートやアルバイトでも一定の条件を満たせば、誰でも有給が取れるということでした。

中根  働く権利を知る機会をもっと与えてほしいと京都労働局や、京都府・市にも要請しましたが、職員数も少なく現状はきびしいものがあると言われました。非正規で働いている若者からすると、生活にいっぱいいっぱいで、声をあげることもできない。分断されている労働者とどうつながるか、私たちの大きな課題です。

糸瀬  まさに法律を作る国会の役割は大きいですね。

大河原  前回の参議院選挙で日本共産党が法案提出権を獲得し、ブラック企業対策法案を提出したことは大きな影響がありました。実際に厚労省を動かしましたしね。

中根  参議院議員の吉良さんがブラックバイトについて国会で質問されていましたが、私も同様の経験がありました。吉良さんの質問で救われた人は多いと思います。そういう議員の人が増えたらいいと思います。

問題の根本にあるものは… 国民無視の政治から、声が届く政治へ

糸瀬  アスベスト訴訟のことについてもお聞きしたいのですが。

大河原  京都訴訟は6月1日に結審し、2016年の1月29日に判決が予定されています。全国の建設アスベスト訴訟では、建材メーカーの責任がまだ認められていません。さらに一人親方の問題もあります。建材メーカーの責任を認めさせ、一人親方の救済を勝ち取りたいと思っています。

吉岡  この間、署名を積み重ねていくことの重要さを感じています。九州では40万筆を集めて、国に対して勝訴することができました。京都では、現在58万筆ほどが集まっています。判決日まで、さらに積み上げていくことが大切です。  何としても裁判で勝たなければいけませんし、国会でも救済制度を作っていかなければなりません。

大河原  アスベストの問題では、原告だけが被害者ではありません。発症まで数十年の潜伏期間があるので、まだまだ被害者は増える可能性があります。また、今後アスベストが使用されている建物の解体のなかで、業者や周りの住民に被害がおよぶかもしれません。裁判所で建材メーカーに対する法的責任を認めさせなければいけませんし、その上で、国会で法整備をしないといけないと思っています。

吉岡  憲法改正、労働法制改悪、アスベスト…バラバラなようですが、政治が国民を無視しているという点で共通しています。政治を変えたいという思いは一つだと思うので、次世代の皆さんにもその力を発揮してほしいと思っています。

中根  3・11からの4年間で若者のなかで変化はものすごくあると思っています。そうは言っても、自分の生活に余裕がなく、外の問題に目を向けることが少ない。そんな中でも、働き方の問題は、誰でも関わっています。これを切り口に、今の政治の国民無視の流れを理解してもらうようにしていきたいと思います。

大河原  今国会には、戦争法案や労働法制の改悪など、重大な法案が多数かかっています。これらの悪法を阻止する先に参議院選挙があり、まさに国政を動かす大切な選挙だと思っています。 全力でがんばりますので、よろしくお願いします!

2016年夏の参議院選挙に立候補します!

 1976年雪深い山形県川西町に生まれました。野球、剣道に熱中するスポーツ大好き少年。
 大学卒業後、京都第一法律事務所に入所し、弁護士活動を行うなかで、政治を変えなければならないと実感しました。

平和憲法を守り、戦争する国づくりを許さない!労働法制改悪を阻止し、働く人たちの権利を守りたい!政治の舞台にたって、国民の生活を守るために力を尽くしたい!決意を胸にがんばります!
「京都第一」2015年夏号