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特集:大阪高裁で「全員救済」の画期的勝利判決!関西建設アスベスト京都訴訟、大いに語る

特集:大阪高裁で「全員救済」の画期的勝利判決!関西建設アスベスト京都訴訟、大いに語る

  • 関西建設アスベスト京都訴訟原告団共同代表 長野 さん
  • 全京都建築労働組合(京建労)執行委員長 吉岡 さん
  • 全京都建築労働組合(京建労)書記長 酒井 さん
  • 関西建設アスベスト京都訴訟 弁護団長 弁護士 村山 晃
  • 関西建設アスベスト京都訴訟 弁護団 弁護士 谷 文彰
写真は後列左から、酒井さん、谷弁護士
前列左から、村山弁護士、長野さん、吉岡さん

谷 :2018年8月31日、大阪高裁(京都訴訟の控訴審)で全員が救済されるという全面勝利判決を勝ち取りました。いま、どのようなお気持ちでしょうか。

長野:本当に嬉しい。これも京建労と先生方のおかげ。お礼を申し上げたい。

村山:全員が救済されたというのは全国でも初めてのことです。

吉岡:なにより一人親方に対する国の責任が正面から認められました。みんなが一番何とかしてほしいと思っていたところなので、喜びもひとしおです。

酒井:地裁判決も画期的な内容でしたが、一人親方の点だけはみんな引っかかっていましたからね。

大阪高裁での課題と到達点

谷 :いまお話のあった京都地裁判決(2016年1月)では全国で初めてメーカー責任が認められました。大阪高裁での課題はどこにあったのでしょうか。

村山:メーカー責任を広く認めさせた京都判決を守り抜く。一人親方の責任も認めさせる。この2つが高裁判決に期待された課題ですね。

谷 :メーカー責任については、横浜地裁や10月の東京高裁と認める判決が続きました。

長野:10月の東京高裁判決は法廷の中で聞いたのですが、中身がすぐには分からなかったです。

村山:主文だけ聞いてもね(笑)。

長野:一人親方に対する国の責任を初めて認めた3月の東京高裁判決も聞きましたが、やっぱりすぐには分かりませんでした。でも、後から一人親方についても認められたということが分かり、みんなで万歳しました。

酒井:京建労にとって一人親方の問題は悲願でした。この流れをぜひ京都・大阪でも、と大いに盛り上がりました。

吉岡:一人親方問題はたった1年前まで一切認められてこなかった。それが立て続けに高等裁判所で勝利し、流れが大きく変わったと感じています。原告団・支援者・弁護団一体となって取り組んだ成果ではないでしょうか。

村山:メーカーの責任も、6地裁の判決が出揃った段階では1勝5敗。それがその後は4勝1敗と、完全に勝敗が逆転しました。

谷 :それぞれの論点でものすごい前進を勝ち取っていますね。

裁判所からの和解勧告を拒否した国とメーカー

谷 :京都・大阪訴訟の控訴審では、結審にあたり、裁判所から和解の動きがありました。京都訴訟の控訴審では和解の意向確認、大阪訴訟の控訴審では和解勧告。でも国もメーカーも完全に拒否しました。

長野:とにかく腹が立ちました。責任を認めず、解決を引き延ばして何人もの被害者の命を奪ってきたのに、まだ認めようとしないのかと。

村山:裁判所が和解に向けて動いたのは、原告団・弁護団が強く働きかけたということも背景にありました。世論を盛り上げるという観点でも大きな意味があったと思います。

酒井:判決後、上告せずに話し合いを国やメーカーに申し入れをしましたが、このときもすべて拒否されました。

谷 :舞台は最高裁に移りますね。

村山:いつ判決となるかは何ともいえませんが、それぞれの高裁で判断が分かれているので、統一を図る可能性はあります。高い水準で統一されるよう、もう一度気を引き締めなければなりません。

吉岡:報道からすると、国は何らかの責任を認めていると理解していいのでしょうか?

村山:「統一的な判断を得る必要がある」という大臣のコメントを見ると、そうでしょうね。

吉岡:責任があると自覚しながら解決をさらに引き延ばすのですね。本当に許せません。

団結して闘い抜いた大阪高裁

谷 :京都地裁で画期的な判決を勝ち取れたのは、運動面も大きかったと思います。ところが高等裁判所は大阪にあるので、地理的にはかなり遠い。京建労としてそういう面での難しさはありましたか?

酒井:あると思っていたのですが、意外にそうでもありませんでした。支部の幹部を中心に支えなければならないという思いで団結していましたし、原告のためにとしっかり意思統一できていました。大阪訴訟との連携もあったと思います。

長野:私は大阪の裁判にもまめに行きましたね。関西のアスベスト訴訟だから、京都と大阪が一緒になってやっていこうと。

谷 :そうした引き続いての取組みが、二つの高裁判決を引き出したのですね。

府内全自治体での意見書採択

吉岡:京都では、アスベスト被害について国に早期の救済と解決を働きかける意見書が、27全ての自治体で採択されました。全国で初めてのことです。

谷 :どのような取組みをされたのでしょうか?

酒井:実は今までは、京建労の名前がつくだけで拒否されることがありました。今回はそこにこだわらず、保守系の議員さんも含めて全員にちゃんと話をしました。

吉岡:探してみると、じつは京建労の仲間にもそれぞれの色んなつながりがあったんですね。それを生かして。

酒井:その結果、この課題であれば党派は関係ないよねとなり、京都地裁判決の後押しもあって順調にいきました。

村山:判決で勝つということの意義は、こういうところにもあるわけです。

野党合同ヒアリングの実現

谷 :もう1つの大きな動きとして、厚労省や環境省に対するアスベスト問題での野党合同ヒアリングが、10月に初めて実施されました。

長野:残念ながら体調が悪くて参加できませんでしたが…。

吉岡:合同ヒアリング実現のために尽力してくれたのが京都の参議院議員の倉林明子さんでした。

村山:そういう、がっと動いてくれるキーパーソンがいるとやりやすい。

酒井:基金制度の実現のためには、与党からもキーパーソンを見つけると大きな力になるわけですね。京都での自治体への取組みの成果も全国に発信しながら、運動を強めたいです。

二陣訴訟を勝ち抜くために

谷 :京都では二陣訴訟も進んでおり、こちらを勝ち切ることも重要な課題です。

吉岡:一陣と二陣、2つの裁判を支援するのは大変な部分もありますが、全面解決まで、引き続き取り組みます。

村山:二陣の場合は遺族原告が多いので、作業の実態が分からない部分があり、そこが課題になるかもしれません。

谷 :一陣では全員の尋問を実現させて、就労の実態を生の声で明らかにしましたからね。

酒井:京建労としても、労災申請段階からできるだけ就労実態を明らかにするようにしています。ただ、建設業は資料が残っていないことが多くて苦労しました。そういう点では、これだけ古い話を先生方がよく裁判所に認めさせたなあと思います。

村山:それは長野さんたちが、裁判所できちんと証言してくれたからですよ。

長野:そうやって通じていくものですよね、心が。

最高裁での闘いと全面解決に向けて

村山:この間の取組みで、メーカーについては「国が動けば」「大きいところが動けば」というところが増えてきました。

酒井:ニチアスや太平洋セメントなどは、1000人規模での包囲行動を実現させて対応を変えさせてきました。

村山:けれど国は10連敗でも動こうとしない。そこが最大の課題です。

吉岡:最高裁での闘いに集中すると同時に、国に対する働きかけをさらに強めるつもりです。

谷 :最高裁の闘いと政治解決とが両輪ですね。全面解決に向けて、これからもともにがんばりましょう。

「京都第一」2019年新春号