まきえや

日弁連の副会長をつとめることになりました

日弁連の副会長をつとめることになりました

私は、この4月より日本弁護士連合会の副会長に就任することとなりました。事務所は不在がちになりますが、皆さま方からの仕事は続けていきますので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

この機会に、日弁連と私の役割について少しご説明をさせていただきます。

日弁連について

日本の弁護士数は、現在約2万5千人です。ちなみに、半数が東京に集中し、京都弁護士会は428人です。

十数年前、新規弁護士は、年間300人あまりでしたが、今は2000人を超えるようになりました。10年後に5万人にするというのが、政府の計画なのです。弁護士が激増するなかでいろんな問題が起こっており、日弁連の内外で激しい議論が起こっていることはご承知のことと思います。

日弁連は、全国の弁護士会の連合会であるとともに、一人ひとりの弁護士からなるひとつの統一した組織です。強制加入制なので、ここに入らないと、弁護士の仕事は一切できません。

日弁連が、どんな役割を果たしているかは、本当に広く、とても語りつくせません。一番重要なことが、「弁護士自治」です。国の監督を受けず、弁護士に関する事柄は、すべて自前で自主的に処理します。それをこころよしとしない勢力からは、常に攻撃を受けてきました。日本中のすべての弁護士を監督する、この自治に関する仕事は、日弁連の中で、大きな位置を占めています。

日弁連が、今、やろうとしている課題の一部を列挙してみました。

裁判員裁判の実施に向けて

来年春、いよいよ国民注視の裁判員裁判が始まります。多くの方々には不安が残っているのは事実ですが、今から80年前にも、日本で陪審裁判が実施され、多くの国民が大きな役割を発揮していますので、できないことは絶対にありません。もしも皆さん方や周りの方に、裁判所から招請状がきたら、またとない機会ですから、是非とも裁判所に足を運ぶよう心からお願いします。心配は無用です。

被疑者国選制度の開始と捜査の可視化

すべての被疑者(逮捕された後裁判にかかるまでの人をこう呼びます)の人たちに弁護人をつける制度も始まります。弁護士にとっては、一番大変な課題です。私たちは、今、捜査の可視化を求める取り組みを強化しています。これは、密室で行われている警察の取り調べを、全部録画して、問題のある取り調べを法廷で追及できるようにしようというシステムです。警察・検察は必死で抵抗していますが、少しずつ風穴が開きつつあります。

利用しやすい裁判所にするための改革

先日も、京都弁護士会で京都府南部地域に裁判所の支部を作ろうというシンポを開きました。裁判官の数も少なく、まだまだ使いやすい制度になっていません。

扶助制度の拡大

経済的弱者を保護するための諸制度は重要な課題です。国がもっと予算を使い、司法を困っている人の強い味方にするために、扶助予算の拡充が望まれています。

人権擁護活動の推進

弁護士会の最大の使命は、人権の擁護にあることはいうまでもありません。今年の人権擁護大会のテーマは、憲法9条の平和の理念をどう守っていくのかということと、日本の貧困の根底にある労働問題を、どう解決していくのかということが予定されています。日々生起する人権問題に機敏に取り組んでいけるよう微力を尽くしたいと思っています。

消費者行政を充実させる、地球温暖化対策を強める、高齢者・障がい者・子どもなど社会的弱者の権利擁護制度の拡充をはかる、教育法制「改正」への対応、生活保護の切り下げや水際作戦への対応、などなど日弁連は全力で取り組んでいます。

業務推進と後進の養成

日弁連は、弁護士業務の推進・拡大にも努力しなければなりません。特に、大幅に弁護士人口が増える中で、この課題は大きな位置を占めています。同時に、年間2,500人の新規法曹を作り出す作業は大変なことで、弁護士がその中心を担う必要があります。

私の役割

執行部は、会長と13人の副会長、事務総長と6人の事務次長で構成されます。副会長は、北海道から九州までのブロックから選ばれてきた人たちです。私は、近畿ブロックからの選出です。

決議機関は、全国各地から選出された約70名の理事(大半が各地の弁護士会の会長です)と執行部メンバーからなる理事会です。

どれだけ会議があるかですが、正副会長会が週1回丸1日終日。理事会が月1回丸2日間終日。担当する委員会(私の場合、人権擁護委員会や高齢者・障害者委員会など7つあります)の会議(だいたい一ヶ月1回程度あります)への出席。それと、私は、法曹人口問題の特別担当があり、これが結構多忙になります。

今は、立法を求めたり、阻止したりする課題が多く、政党・政治家・法務省・官僚・最高裁などとの接点が無数にあり、緊急の出動が必要となります。

日弁連の副会長は、国会や議員会館、各政党本部などにフリーパスで出入りできるほどつながりが深くなっているとのことです。

私たちのメッセージを確実に伝えなくてはなりません。

与えられた任期は、一年間ですが、これまでの私なりの蓄積を生かして、日弁連で、人権の擁護・伸長と平和で民主的な社会変革のためにおおいに努力をしたいと思っています。

何か御意見があればお寄せ下さい。折に触れて通信をさせていただきますので、よろしくお願いします。

村山弁護士を励ますつどいより

村山弁護士を励ますつどいより

「まきえや」2008年春号