まきえや

「憲法を守る狂言と講演の集い」のご案内

「憲法を守る狂言と講演の集い」のご案内

自公政権がついに終焉

2009年8月に行われた総選挙において、民主党は300を超える議席を得て圧勝し、民主・社民・国民新党の3党による連立政権が誕生しました。自民党と公明党は大きく議席を後退させ、自公政権はついに終焉を迎えました。

劇的な政権交代を生んだ原動力は、自公政権が進めてきた構造改革政治に対する国民的な怒りです。小泉政権のもとで強行された「痛みを伴う改革」のもと、雇用と社会保障を破壊する様々な策動が進められました。これに対しては、「年越し派遣村」や「反貧困ネット」などの新しい運動が次々と立ち上がり、改革によってもたらされた格差と貧困の実態が明るみになりました。自民・公明の歴史的敗退は、それぞれの分野での社会運動の成果といえます。新政権の誕生は、日本の政治にとって大きな前向きの一歩となるでしょう。

民主党の危険な本質

しかし、憲法と平和の問題については、民主党政権が誕生したからといって安心してはいられません。民主党のマニフェストをよく読むと、「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを提案していきます」と明記されています。実は、民主党は本質的には改憲を志向する政党なのです。

では、民主党は憲法のどこを「改める」というのでしょうか。その一端を伺い知るには、鳩山由紀夫首相が4年前に発表した著書が参考になります。『新憲法試案』と題されたこの本において、鳩山氏は、「自衛軍の保持」を憲法に盛り込むことを提唱しています。さらに、「国際協調主義」の観点から「自衛軍」が「集団的自衛権」を行使することを容認すべきであるとも主張しています。国際的な軍事紛争に日本が巻き込まれかねない極めて危険な「改憲試案」になっています。

しかし、今回の選挙で国民が望んだのは政権交代であって、9条改憲を支持したわけではありません。国民が求めたのは、充実した社会保障と福祉をという憲法 25条の実現です。9条改悪を阻み、25条を実現させることが今求められています。

気鋭の若手論客が憲法を語る

当事務所では、平和憲法と市民の暮らしを守る立場から、定期的に市民の皆様に向けて憲法の集いを行って参りました。上に書いた情勢を受け、本年は、「憲法を守る狂言と講演の集い」と題し、10月22日(木)午後6時30分より、ハートピア京都にて開催する運びとなりました。

メインの講演には、気鋭の若手論客である浅尾大輔さんをお招きし、「若者たちが日本国憲法を手にして生きるとき」をテーマに、「ワーキングプア」と呼ばれる若者たちが置かれている労働現場の実情と、そこで彼らがどのように憲法を生かそうとしているのかを語っていただきます。

浅尾さんは1970年生まれ。名古屋大学を卒業後、新聞赤旗記者を経て、小説「家畜の朝」で新潮新人賞を受賞。その後、都内の労働組合にて非常勤職員の組合づくりに身を投じ、現在は「超左翼マガジン『ロスジェネ』」の編集長を務めるという異色の経歴の持ち主です。90年代の就職氷河期に社会に送り出され、今なお過酷な労働条件に追い込まれている「ロストジェネレーション」(失われた世代)の格差と貧困の実態をお話しいただくにふさわしい方ですので、ぜひご参加下さい。

文化企画は狂言「長光」

文化企画では、茂山一門をお招きし、狂言「長光」を演じていただきます。茂山家は、大蔵流狂言の名家。今回の演目である「長光」は、太刀を盗んだ泥棒と間に入った仲裁人のやり取りが笑いを誘うユニークなお話しです。ぜひ皆様に、茂山一門による「笑い」の世界をお楽しみいただきたいと思います。

「まきえや」2009年秋号