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再雇用後の雇い止め事案で 勝訴的和解!!!

再雇用後の雇い止め事案で勝訴的和解!!!

弁護士 尾﨑 彰俊

【1】3回目の更新で大幅不利益変更

本件の原告は、会社(被告)を定年退職後、1年ごとの有期雇用契約で、再雇用され、総務部(部長職)に勤務されていた方です。再雇用後、2回目の契約更新以降も、原告は、嘱託として、総務(労務、庶務)全般を担当していました。ところが、3回目の契約更新手続にともない、会社は、原告に対して総務部(嘱託)から倉庫業務(嘱託)への異動及び給与の約49%カットという著しい不利益変更を言い渡しました。

原告は、書面で①総務部を外された理由、②原告が、腰部椎間板ヘルニアを抱えているにもかかわらず、移動先が重い荷物を運ぶ倉庫業務である理由③基本給が49%減額となる理由等について質問し、書面での回答を会社に求めました。しかし、会社から、納得のいく回答は得られないまま時間だけが過ぎていき、3回目の契約更新手続日を迎えました。

原告は、3回目の契約更新手続日において、会社担当者に対して、著しい条件変更を拒否し、従前の契約内容での更新を求めましたが、会社担当者は、原告の要求を拒否するとともに、原告の契約更新を拒絶(雇止め)したのです。

【2】被告会社の「追い出し」目的

会社が、原告に提示した条件は、到底受け入れることが出来ない内容です。裁判において、原告は、会社が、このような、条件を原告に提示した背景には、「原告を会社から追い出したい」という目的があると主張しました。原告の主張の要旨は、次のような内容です。原告は、1回目契約更新後、部長職として、当時、会社内で問題となっていたハラスメント対策の一環として、管理職に対し、2回に分けてコミュニケーション・スキルアップ研修を行ったり、ハラスメントに関する従業員へのアンケートを行ったりしました。このようなハラスメント対策を行う原告を疎ましく感じた会社側は、2回目の契約更新の際に、原告を部長職から外しました。

原告は、総務部長職から外れたことから、従業員会の一員となり、会社から提案のあった就業規則改定に関して、アンケートを行い、就業規則改定につき賛成できない旨及び改定内容について意見をまとめ、これらについて従業員への丁寧な説明会開催を求める内容の意見書を会社に提出するなど従業員会で主体的な役割を果たしました。

このような、原告の行動を疎ましく感じた会社が、原告を会社から追い出す目的で、到底合意できない著しい不利益変更をつきつけたのです。

【3】裁判での雇止め無効の判断!

残念ながら、裁判では、「追い出し目的」は認定されませんでしたが、結論としては、雇い止めの無効を勝ち取る事が出来ました。本件の争点は、追い出し目的の有無以外にも多岐にわたりますが、裁判所が、雇い止め無効の判断をする上で特に重視した点は、49%の賃金カットです。裁判所は、本件賃金減額について、「同じ嘱託という立場であり、勤務時間の変更もなく、総務業務のうち特殊な事項についてのサポートも行うという業務内容にもかかわらず、ほぼ半減する内容であった。」と評価し、「被告の給与の提案は、それ自体で合理性を欠くと言わざるを得ない」と判断しました。さらに裁判所は、「本件雇止めは客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとはいえない。」として、原告と会社の間に、雇止め前の雇用契約と同一の労働条件での雇用契約が成立していることとなると判断しました。

この京都地方裁判所の判断に対して、会社側は、控訴しました。地裁の提訴から2年以上の闘いでしたが、大阪高等裁判所において、地裁の判断が、重視され、勝訴的和解を勝ち取ることが出来ました。今後も、労働者の権利を守るため、頑張っていきたいと思います。

「まきえや」2018年秋号