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文化パルク城陽の「セール・アンド・リースバック」は許されない

文化パルク城陽の「セール・アンド・リースバック」は許されない

弁護士 大河原 壽貴

文化パルク城陽の「セール・アンド・リースバック」

2018年2月1日、城陽市は、「文化パルク城陽」について、NTTファイナンス株式会社との間で、セール・アンド・リースバック契約を締結しました。

「セール・アンド・リースバック」と言われても、一体どういうことか分からない方も少なくないと思います。今回の場合、城陽市がNTTファイナンス社に対して、文化パルク城陽を80億円で売却し、城陽市はNTTファイナンス社から、文化パルク城陽を25年間借り受けます。その賃料は年間3億9,960万円、25年間で99億9,000万円です。そして、25年間が経過した時点で、文化パルク城陽が城陽市の所有に戻ることとなる、そんな契約です。

「文化パルク城陽」を売却することは許されない

地方自治法238条3項は、地方公共団体が所有する財産について「行政財産」と「普通財産」に分類すると定めています。そして、「行政財産」については、同法238条の4第1項において、一定の場合を除いて「貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することはできない」と定められており、売却を含めて処分することが厳しく制限され、これに反する行為は無効とされています(同条6項)。

これらの規定は、「行政財産」が、地方自治体が行政を執行するための物的な手段となるものであって、行政目的の達成のために利用されるべきものであるため、売却などの処分を認めてしまうと、財産の効用を減少させ、行政目的を達成できなくなるおそれがあるために定められているとされています。

そして、「行政財産」とは、「普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することを決定した財産」(同法238条4項)です。「公共用」に供する財産とは、住民の一般的共同利用に供することをその本来の目的とするもので、道路、病院、福祉施設、学校、公園等の敷地及び建物などがあげられます。

文化パルク城陽は、多目的コンサートホールとしてのプラムホール(大ホール・1,305席)、ふれあいホール(小ホール・324席)や、プラネタリウム(252席)、城陽市立図書館、城陽市歴史民俗資料館、会議室、売店、レストラン等を備えた施設です。

城陽市は、「城陽市文化パルク城陽の設置及び管理に関する条例」を定め、その第1条で「市民が芸術に感動し、文化を創造し、共に交歓する場を提供することにより、市民の文化活動の向上を図り、もって市民福祉の増進に寄与するため」に設置したものと定めています。そして、同条例3条では、文化パルク城陽の施設は、「(1)文化ホール(プラムホール、ふれあいホール、市民プラザ、会議室等)、(2)こども館(コスモホール及びプレイルーム)、(3)コミュニティセンター、(4)図書館、(5)歴史民俗資料館、(6)公園」をもって構成すると定められています。

文化パルク城陽は、まさに「行政財産」であって、地方自治法上、売却することは許されないはずです。それを城陽市は、市の内部手続だけで、「行政財産」から「普通財産」に切り替えて、今回のセール・アンド・リースバックを行ったのです。

住民訴訟の提起

城陽市は、文化パルク城陽を80億円で売却して、以後25年間、合計約100億円の賃料を支払うことになります。単純に考えて、自分の持ち物を他人に売り、はるかに高い賃料を支払って借り直すことに対して、市民が疑問を感じるのは当然のことです。

これが、民間企業で、当面の資金繰りに窮しつつも、数年後に大幅な増収、増益が見込める予測があるのであれば、当面の資金調達としてのセール・アンド・リースバックの手法もありうるでしょう。しかしながら、地方自治体である城陽市が同様の手法を用いることが許されるのでしょうか。市民が納めた大切な税金でNTTファイナンス社という一民間企業に利益を与える結果にしかならないのではないでしょうか。

文化パルク城陽の「セール・アンド・リースバック」に疑問をもった市民の皆さんが、城陽市に対して監査請求を行い、2018年3月16日には住民訴訟を提起しました。住民訴訟を通じて、地方自治体のあり方、税金の使われ方が問われなければなりません。

「まきえや」2018年秋号