取扱業務

「法定後見」とは

高齢者の財産管理

Q.「法定後見」とはどのような制度ですか?
A.民法は、対象となる人の判断能力(事理弁識能力)および保護の必要性の程度に応じて3段階の後見制度を法定しました。判断能力を常に欠く場合は「後見」、判断能力が著しく劣る場合は「保佐」、判断能力が不足している場合は「補助」という3つの制度です。

後見

「精神上の障害により事理を弁識する能力(判断能力)を常に欠く状態にあるものについて」(民法7条)、家庭裁判所は、後見開始決定をし、後見人を選任し、被後見人の保護にあたらせます。

申立は、本人、配偶者、四親等以内の親族らが行います。また、老人福祉法などにより、身寄りのない場合、あるいは親族の協力が得られない場合、市町村長による申立もできます。

後見人の事務は、財産管理と身上管理です。財産管理は、預貯金の管理・払戻、不動産その他重要な財産の処分、賃貸契約の締結・解除などです。

身上監護は、被後見人の介護に関する利用契約、介護施設の入所契約、施設や病院との医療契約を行います。後見人は、財産管理については包括的管理権・代理権を持ち(民法859条1項)、身上監護は、介護、施設の入退所、医療、教育など被後見人の全般的な後見を行います。

後見人の権限は全般にわたるので、義務も重くなります。特に被後見人の財産を後見人が私的に流用することを禁止するため、裁判所は報告をさせ、きびしくチェックします。問題があれば解任します。

保佐

保佐とは「事理弁識能力が著しく不十分である者について」家庭裁判所が保佐人を選任し、被保佐人の保護にあたらせます。判断能力が著しく不十分とは、外観は普通に見えても、例えば、自分の名前が言えない、生年月日が言えない、簡単な計算もできないなどです。

申立人は、後見と同じです。

保佐人の事務は、財産管理と身上監護ですが、財産管理については民法13条1項各号の同意権を与えられ、保佐人の同意無く被後見人本人が行った法律行為は、取消権があり取り消すことができます。また、代理権は特定の法律行為について付与されます。

補助

補助とは「事理弁識能力が不十分である者」について家庭裁判所が補助人を選任し、被補助人の保護にあたらせます。判断能力が不十分とは、自分の名前や生年月日は言え、簡単な計算もできるが、その場にいる人の言いなりになるとか、自分で考えて決断しているのではない様子がある場合です。

申立人は、後見と同じですが、本人の同意が必要です。 補助人の事務は、同意権と代理権によって行いますが、同意を得ることを要する行為は審判で決めます(民法13条1項)。代理権の範囲は、特定の法律行為について付与されます。従って、申立内容によりその範囲などは違ってきます。

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