よくある質問

交通事故事件に関するQ&A

5.この損害、請求できる?できない?

Question

交通事故でけがをした場合、どのような損害を賠償してもらえるのでしょうか?

Answer

交通事故でけがをした場合、一般的には、次のような損害が賠償してもらえます。
(1) 治療に関する費用
 病院へ支払った治療費、通院のための交通費、入院雑費、付添人費用、装具代などがこれに含まれます。
 Q 治療のための費用は全額支払ってもらえるんですよね? を参照して下さい。
(2) 休業損害
 仕事を休まざるを得なかったことに対する補償です。
 Q 事故による傷害の治療のため、仕事を休まざるを得ませんでした。どのような賠償が受けられますか? を参照して下さい。
(3) 逸失利益
 後遺障害がなければ将来得られたであろう将来の収入(これを「後遺障害による逸失利益」といいます)に対する補償です。
 Q 後遺症が残ってしまい、事故前と同じように働くことは難しい状態です。何とかならないでしょうか? を参照して下さい。
(4) 慰謝料
 精神的な苦痛への補償です。
 Q 交通事故のケガのせいで入通院を強いられ、精神的にも大きな苦痛を味わいました。慰謝料はどうなるのでしょうか? を参照して下さい。
(5) 裁判に必要な費用の一部
 Q 裁判を起こす場合、そのための弁護士費用は自分で負担しなければならないのですか? を参照して下さい。

Question

交通事故で死亡してしまった場合はどうですか?

Answer

被害者が亡くなったケースでは、相続人に対し、葬祭費(130万円~170万円程度)、死亡しなければ得られたであろう将来の収入(これを「死亡による逸失利益」といいます)、死亡による慰謝料(近親者の慰謝料を含みます)、裁判に関する費用が賠償されます。

死亡するまでの間に病院で治療を受けている場合、当然この治療費も請求することができます。

Question

治療のための費用は全額支払ってもらえるんですよね?

Answer

治療のためにかかった費用にもいろいろあり、代表的なものについては以下のようになっています。

  • 治療費
    原則として全額が認められます。
    ただし、症状に比べて治療期間が長くなってしまった場合には、途中のある時点で「症状固定」と扱われ、それ以後の治療費の賠償を受けられない場合もあります。
  • 通院のための交通費
    公共交通機関の交通費は問題なく賠償してもらえます。
    タクシー代については、通院にタクシーを利用せざるを得なかったと認められれば、賠償してもらえることになります。
  • 入院雑費
    入院した場合は、一日あたり1400円から1600円程度の諸雑費(日用雑貨品や消耗品の代金など)も損害として認められます。
  • 付添人費用
    入院や通院に付添人を必要とする場合、職業的付添人に支払った額は実費全額が認められます。家族が付き添ったときは、入院付添1日5500~7000円、通院付添(幼児・老人などの場合)1日3000~4000円が基準になります。
    いずれも医師の証明が必要ですが、被害者の年齢や症状などによっては、付添いの必要性があるとして賠償が認められることもあります。
  • 装具代
    症状や診断結果によっては、松葉杖など装具の費用の賠償が認められる場合もあります。
  • 文書料
    交通事故証明書や診断書の取得に必要な費用も、賠償してもらえます。

Question

事故による傷害の治療のため、仕事を休まざるを得ませんでした。どのような賠償が受けられますか?

Answer

治療のため仕事を休んだ場合は、休業した日数分の休業損害が認められます。有給休暇を利用した場合も、賠償の対象に含まれます。

休業損害の額は、原則として、給与所得者の場合は事故前の3か月の平均賃金額を、自営業者の場合は前年の収入を基準として計算します。専業主婦であっても賃金センサスをもとに休業損害が認められ、無職者の場合であっても休業損害が認められることがあります。

手続きとしては、勤務先から「休業損害証明書」の発行を受けて、源泉徴収票や所得証明書とともに保険会社に提出することになります。自営業者の場合は、確定申告書を提出するのが通常です。

Question

後遺症が残ってしまい、事故前と同じように働くことは難しい状態です。何とかならないでしょうか?

Answer

後遺障害が残存した場合、労働能力が一定程度失われる結果、後遺障害がなければ将来得られるはずであった収入が減るものと扱われ、その減収分を損害として請求することができます。実際に労働能力が喪失し、減収が生じていることは必ずしも必要ありませんが、仕事の面において実際上大きな影響が出ているのであれば、そのような事情は、賠償額を決めるに当たって考慮されることが多いと言えます。

失われる労働能力の割合は後遺障害の各等級に応じて定められており、この労働能力喪失率と、被害者の事故前の収入を考慮し、原則として67歳まで就労したとした場合の逸失利益について賠償が認められることになります。

また、重篤な後遺障害が残り、将来の介護が必要な場合は、将来の介護費用の賠償も認められる場合があります。

Question

交通事故のケガのせいで入通院を強いられ、精神的にも大きな苦痛を味わいました。慰謝料はどうなるのでしょうか?

Answer

交通事故の場合、傷害の治療のための通院・入院の期間、後遺障害の程度等に応じて、精神的な苦痛を賠償するための慰謝料も認められます。
例えば、入院1ヵ月+通院3ヵ月であれば73~136万円、入院3ヵ月+通院5ヵ月であれば136~252万円などのように定められています。

Question

裁判を起こす場合、そのための弁護士費用は自分で負担しなければならないのですか?

Answer

裁判となった場合は、相手方に対し、損害額の1割程度の弁護士費用を請求することが認められていますので、その分については加害者から賠償を受けることができます。

また、裁判で請求する場合は、通常、交通事故当日からの遅延損害金も請求できます。

Question

交通事故で被害者となった場合は、もちろん加害者から損害全部を賠償してもらえるのですよね?

Answer

被害者も、必ずしも全額の賠償を受けられるわけではありません。
例えば、出合い頭の車同士の事故、横断歩道外を横断中の事故など、被害者にも過失が認められる場合があります。その場合、双方の過失の割合によって、加害者から被害者へ支払う損害賠償金の減額が行われるのです(これを「過失相殺」といいます)。具体的な過失の割合は、事故の態様、事故現場の状況、被害者の年齢などを考慮して決められますが、実務では東京地裁が作成した認定基準などが使われています。

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