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雇い止め

雇い止め

雇用期間が1年、半年など一定期間に限られる雇用契約で働く労働者は、一般に「契約社員」「期間工」などと呼ばれますが、法律的には「有期雇用契約」、「期間の定めのある雇用契約」などと呼びます。

そして、有期雇用契約について、期間満了時に契約更新がなされず退職させられることを「雇い止め」と言います。これに対して、有期雇用契約でも、契約期間中に退職させられる場合は「解雇」になります。

Q.契約社員(期間工)として働いていましたが、会社の業績不良を理由に雇い止めされました。何か争う方法はありますか。
A.雇い止めが無効になる場合もあります。

有期雇用契約は、期間満了によって契約が終了するので、その後に労働者としての権利を主張することができないようにも思われます。しかし、例えば有期雇用と言いながら更新を続けて相当長期にわたって雇用されている場合や「ずっと働いて欲しい」と言われていた場合に、契約期間が終わったからと言って画一的に雇い止めを許せば、労働者の働く権利や生存権を著しく侵害することになります。

そこで、裁判所は、有期雇用の場合でも、一定の条件がある場合には、期間満了後も従前と同様の条件で雇用関係が続いているものとして、雇い止めを無効にする場合があります。雇い止めが無効なら、職場に復帰できることになります。

具体的には、(1)仕事の内容が臨時的補助的業務か基幹的なものか、(2)契約更新の回数、(3)雇用の通算期間、(4)契約更新手続が形骸化しているか、(5)雇用継続に期待を持たせる言動や制度が存在しているか、(6)労働者が継続雇用を期待することが相当といえるか、などの事情の有無を総合的に考慮して判断されます。俗に「3年を超えたらずっと職場にいられる」という場合がありますが、判例は必ずしも3年という数字にはこだわっておらず、相当長期の雇用が予定されていた場合には契約更新がされていない場合でも雇い止めを無効とした事例もあります。

また、雇い止めの時に「退職同意書」というような書類にサインすることを迫られる場合がありますが、サインする必要はありませんし、サインすると不利になる場合があります。絶対にサインしないでください。

いずれによせ、雇い止めが有効か無効かは総合的な判断ですので、一度、ご相談いただくのがよいと思います。

Q.契約社員(期間工)として働いていますが、契約期間中にいきなり解雇を言い渡されました。契約社員は立場が弱いししょうがないのでしょうか。
A.期間途中の解雇は多くの場合無効です。

有期雇用契約期間中の解雇についても、解雇や退職強要についての一般の議論が当てはまりますので、詳しくは「解雇」「退職勧奨、退職強要」の欄をご参照下さい。また、有機契約の期間途中の解雇については期間の定めのない雇用契約の場合よりも厳格な解雇規制が及ぶと解釈されます(労働契約法第17条1項、2008.1.23通達基発0123004号)。

Q.契約社員(期間工)なのですが、雇い止め(解雇)を撤回させたいのです。
A.ご相談下さい。様々な方法があります。

有期雇用の場合、立場が弱くて何も権利を主張できないと思われがちですが、実際には様々な労働者保護のルールがあります。有期雇用であるからといって、諦める必要はありません。

具体的に雇い止めや解雇を争う方法としては、労働仮処分、労働審判、訴訟、労働局のあっせん手続など様々なものがあります。雇い止めや解雇の違法性が明らかな場合は、労働仮処分の手続を取ることで、給与の仮払いを得ながらその後の交渉や訴訟を進めていくことができる場合もあります。

お困りの方は、一度、当事務所にご相談下さい。