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高裁も人種差別と初判断!~京都朝鮮学校ヘイトスピーチ事件

高裁も人種差別と初判断!~京都朝鮮学校ヘイトスピーチ事件~

弁護士 谷 文彰2014年7月15日
弁護士 谷 文彰

控訴審で日本初の画期的判決を下した大阪高裁

2014年7月8日、大阪高等裁判所第8民事部は、「在日特権を許さない市民の会」(通称、「在特会」)らによる控訴をすべて棄却する判決を下しました。この判決は、2013年、京都地方裁判所が、在特会らによるヘイトスピーチに対して日本で初めて違法性と人種差別性を認定し、高額の損害賠償と学校周辺での街宣等の禁止を命ずる判決を下した事件の控訴審判決として下されたものです。

大阪高裁は、単に在特会らの控訴を棄却しただけではありません。内容としても、「人種差別」であることを明確に認め、子どもたちのいる場所で行われたことやインターネット上に動画をアップロードしたことといった事案の特殊性を適切に評価し、さらには、学校は「教育業務として在日朝鮮人の民族教育を行う利益を有する」と認定するなど、画期的だった京都地裁判決をさらに前進させる内容となっています。

ヘイトスピーチを抑制し、人種差別を根絶し、何よりも子どもたちが安心して学ぶことのできる環境を護っていくために、今回の判決もまた、大きな意義を有していることは間違いありません。

■ 事件についての概要は、「在日コリアンに対する差別を許さない~京都朝鮮学校に対する右翼団体の違法行為に毅然とした対応を~」もご覧ください

■ 京都地方裁判所の判決について、「ヘイトスピーチは人種差別と初判断!~京都朝鮮学校差別的街宣事件~」をご覧ください

大阪高裁判決の概要

まず大阪高裁は、在特会らの言動について、「本件示威活動における発言は…人種差別撤廃条約1条1項にいう『人種差別』に該当する」と認定しました。高等裁判所レベルで、このように人種差別撤廃条約1条1項の「人種差別」に該当するとの判断がされたのは初めてのことで、非常に画期的です。

そして、「在日朝鮮人の民族教育を行う学校法人としての人格的価値を侵害され、本件学校における業務を妨害された」、「本件活動により、本件学校における教育事業が妨害され、本件学校の教育環境が損なわれただけでなく、我が国で在日朝鮮人の民族教育を行う社会環境も損なわれた」などと、民族教育を行う朝鮮学校の実情を正しく認定し、裁判所としてはおそらく初めて「教育業務として在日朝鮮人の民族教育を行う利益」を認めました。民族教育について裁判所で認めてもらうことは、学校関係者の悲願だっただけに、ここは学校関係者がもっとも高く評価した部分です。

その上で、学校の受けた被害を金銭的に評価するにあたり、インターネット上に動画をアップロードしたことによって当該映像が保存され、今後も被害が再生産されること、「本件活動は、その全体を通じ、在日朝鮮人及びその指定を教育対象とする学校に対する社会的な偏見や差別意識を助長し増幅させる悪質な行為であること」、「児童・園児には当然のことながら何らの落ち度がないにもかかわらず、その民族的出自の故だけで、控訴人らの侮蔑的、卑俗的な攻撃にさらされたものであって、人種差別という不条理な行為によって被った精神的被害の程度は多大であった」ことに触れています。正に、被害の実情を直視する、被害者に寄り添った判断といえるでしょう。

他方で、在特会らの、公益を図る目的があり、表現の自由の範囲内であって違法とはならないとの主張に対しては、「表現の自由の濫用であって、法的保護に値しない」と一蹴しました。当然のことと評価できます。

今後に向けて

京都地裁判決に続き、今回の大阪高裁判決も大きく報道されました。

学校関係者は、「希望の一歩となった」、「子どもたちの未来のために、裁判をしてよかった」、「朝鮮人として学び、朝鮮の言葉を話すということを、日本の人たちは守ってくれるのだと子どもらに伝えたい」と述べてくれました。あの日、卑劣な街宣にさらされた子どもたちも、「在日朝鮮人として誇りを持って生きていける」と話しているそうです。「日本人」によって受けた傷を「日本の」裁判所に訴えることには、周りからは想像もできないような苦悩と葛藤があったのではないでしょうか。その中で勇気を振り絞って立ち上がられたみなさんに、心から敬意を表したいと思います。今回の判決を機に、深く傷つけられた子どもたちの心が少しでも癒されることを改めて願うばかりです。

在特会側は、早々に上告する意向を示しました。裁判はまだ終わりません。子どもたちの心の傷もまだ癒えないのかもしれません。それでも、ヘイトスピーチを日本社会から根絶し、子どもたちが安心して学ぶことのできる環境を護るため、当事務所も全力を尽くしたいと思います。

最後に、みなさまのこれまでのご支援・ご協力に感謝申し上げるとともに、より一層のご支援・ご協力を改めて心よりお願い致します。

判決を受けて記者会見する学校関係者
判決を受けて記者会見する学校関係者