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小学校教員のうつ病、再審査請求で公務災害(労災)と逆転認定

小学校教員のうつ病、再審査請求で公務災害(労災)と逆転認定!

岩橋 多恵
2012年2月20日
弁護士 岩橋 多恵

2012年2月20日、公務災害補償基金本部審査会(再審査請求)で、うつ病と公務の因果関係が認められました。

事件の内容

S先生は、育成学級の担任として、2005年4月から、京都市の小学校に勤務していました。S先生は、公務中に生徒に2005年に2度、次の年にも2度の暴力を振るわれ、暴力によるケガについては、3回は、すべて公務災害と認定されました。ところが、S先生は、4回目の暴力を受けた直後から、体調を一気に崩し、うつ病と診断されることとなりました。

精神疾患を公務災害として認定申請

S先生は、自分が精神疾患に罹患したのは、育成学級の生徒に対する指導をしている中で受けた連続した暴力が原因であり、その環境の改善方や児童に対する指導について、上司や校長に対して、改善方を申し入れても取り上げられなかったこと、そこにパワハラがあったことを指摘して、公務災害であると主張しました。

S先生の精神疾患は、当初「公務外」とされたため、地方公務災害補償基金京都支部に不服申立しました。しかしながら、2011年3月、基金支部も、S先生の抱えていた別の病気があることを理由に不服申立を棄却しました。それでもSさんも私たち弁護団も基金支部の結論には納得できませんでした。暴力は、1回でも、その程度によっては精神疾患の労災基準(「心理的負荷表」)においては強度Ⅲとされ、精神疾患を発症すれば因果関係を認められるものだからです。

Sさんは、基金本部への再審査請求手続きをとることにしました。

再審査請求で逆転勝利

再審査請求手続きでも口頭審理を求め、2011年11月、育成学級と同様の現場を知る現役教員の方にも、口頭意見陳述を行ってもらい、S先生が担当していた生徒の障害の特性では、十分な周りの支援体制が必要不可欠であることを訴えました。また、弁護団は、4つの暴力の連続性を総合的に判断する必要性などを強調しました。

そして、2012年2月20日、再審査請求は認められました。

この再審査請求の「裁決」では、学校現場での困難な課題を抱える場面では、学校全体の支援の必要性も指摘しています。

公務災害、労災認定、諦めずに

S先生は、2006年にうつ病が発症し、最終的に労災と認められるまで5年近い歳月を要しました。しかし、S先生は、決して諦めずに、頑張りました。

精神疾患を公務災害、労災と判断するための基準が従来に比べ、この間、急速に明確化されてきており、精神疾患のこれらの認定を迅速に進めていく動きが進んでいます。

長時間労働のみならず、パワハラやセクハラ含めて、仕事によって精神疾患に罹患したと思われる方は、諦めずに、労働組合や弁護士に相談をしましょう。

(本件弁護団 糸瀬美保、藤井豊、岩橋多恵)
2012年2月