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新人弁護士紹介 働くひとの権利を守る弁護士をめざして

新人弁護士紹介 働くひとの権利を守る弁護士をめざして

大島 麻子弁護士 大島 麻子

はじめまして、10月から弁護士の仲間入りをいたします大島麻子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私が弁護士になろうと決めて受験勉強をはじめたのは、92年の10月のことでした。

既に社会人として働き、結婚もした後のことで、いざ弁護士をめざしてはみたものの勉強は一向にはかどらず、結局10年もかかってようやく弁護士となることができました。

弁護士になる人は、大学の法学部を出ているのが普通ですが、私は大学では社会学部で学びました。大学進学に際しては、地元の大学の法学部へ進学するか、上京して社会学部へ進学するかという二つの選択肢がありました。当時の私は弁護士になろうとは夢にも考えたことはなく、というよりそもそも将来について何も考えないまま、社会学部の方がいろんなことをやれておもしろそうという理由で進学を決めたのです。

法学部ではなく、社会学部で社会問題についていろいろと考え、権利というものは与えられるものではなく闘いとっていくものだと学んだことが、結果として弁護士をめざす動機となりました。弁護士という職業をはじめて意識したのも大学在学中のことで、先輩から弁護士になることを勧められたときでした。ただ、その時は、法学部出身ではないし、これからまた何年も受験勉強するより、早く社会に出て働きたいという気持ちの方が強かったので、本当に弁護士になろうとは思いませんでした。女性が働いていくのは大変だという認識はあったのですが、大学ではそれなりに勉強したんだし、女性だってまじめに働けば一生働き続けられるだろうと思い、大学卒業後、生活協同組合に就職することにしました。

ところが、実際に働いてみると、当たり前のことですが、現実はそれほど単純なものではありませんでした。人事制度上は男女差別はないのですが、実際には女性の管理職などほとんどいませんし、そもそも結婚や出産を経て働き続けている女性自体が少ないのです。また、生協などの小売業では、パート労働という安い労働力に対する依存が大きく、同じ女性労働者の中でも大きな分断があり、職場環境は複雑でした。理不尽だと思うことがあっても、辞令一つで吹っ飛んでしまうような危うい労働者の立場では、そうそう声をあげることもできず、黙ってやりすごし、妥協するしかないのです。これでいいのかと悶々と悩むうち、自分の権利はもちろん、他の人の権利を守ることのできる仕事に就きたいと思ようになりました。

当初は、とにかく何か突破口を見つけられればという気持ちだったのですが、だんだんと積極的に弁護士になりたい、ぜひなろうと思うようになったのです。

結局、弁護士をめざすまで、さらに現実に弁護士になるまでにずいぶん長い時間がかかってしまいましたが、その分、納得して弁護士という仕事に取り組める気がします。まだまだスタートラインに立ったばかりで何も分からないという状態ですが、一つひとつの仕事を大切にして、あせらず、じっくりやっていきたいです。私自身もそうでしたが、普通の人にとって、自分の権利を守るために声をあげて裁判を起こすというのは非常に勇気のいることだと思います。そういった人たちに誠実に応えていけるような弁護士になりたいと思います。

「まきえや」2002年秋号