弁護士コラム

今どき「国防軍」!?

今どき「国防軍」!?

(国防軍)
第9条の2

我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高司令官とする国防軍を保持する

これは何だと思いますか?なんと自民党の『日本国憲法改正草案』です。インターネットで「自民党改憲草案」と検索すればだれでも読むことができます。

憲法9条と言えば、「日本は武器を持たない」「戦争をしない」ことを定めたものとして誰でも一度は聞いたことがあると思います。その9条が自民党の憲法改正草案では国防軍を保持するというものに変わってしまいます。

自民党の改憲草案は、平和で安全な国を目指す憲法9条を変えて国防軍を保持するという危険な方向に向かっているのです。

憲法そのものが変わってしまう!?

変わってしまうものは、憲法9条だけではありません。憲法の考え方そのものが変わってしまいます。

今の憲法は、「立憲主義」という考え方をとっています。「立憲主義」とは、簡単に言えば、国家の権力を縛ることによって国民の自由を確保するという考え方です。自民党の改憲草案では、立憲主義とは逆に憲法が国民を縛るものに変わってしまいます。

たとえば、

(憲法尊重擁護義務)
自民党改憲草案第102条第1項

すべて国民は、この憲法を尊重しなければならない。

このように自民党改憲草案は、国民に憲法の尊重義務を課しています。日本国憲法ではこのような規定はなく、立憲主義の考え方に基づいて、天皇、国務大臣、国会議員、裁判官などに憲法の尊重義務が課されています。

(国旗及び国家)
自民党改憲草案第3条第1項

国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。

自民党憲法草案第3条第2項

日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。

自民党の改憲草案の第3条では国民に国旗及び国歌として「日の丸「君が代」を押しつけ、それを尊重することを義務付けています。

自民党の改憲草案は、このような国民を縛る危険な内容になっているのです。

参院選で改憲勢力へ打撃を!

自民党は昨年の衆議院総選挙で294議席を獲得しました。7月には参議院選挙があります。仮に参議院選挙でも自民党が国会の多数の議席を占めるようなことになれば、改憲に乗り出すことは十分に予想されます。

日本が平和の方向を目指すのか、憲法を変えて国防軍を保持する国に向かうのかが次の参議院選挙で問われると言えます。

日本が国防軍を保持する危険な国にならないためにも自民党の改憲草案の危険性を多くの人に伝えていく必要があります。