京都第一

生存権裁判

[事件報告4]

生存権裁判

生存権裁判 この訴訟は、京都市が、生活保護における老齢加算、母子加算を削減したことに対する取消しを求める訴訟です。

本来、人間が人間らしく生きていくには、物質的に満たされていればそれでいいというものではなく、精神的にも満たされていなければなりません。ただ「生存」しているというだけではなく、外に出て社会に参加したりなど、人間として「尊厳のある」生活が営めなければならないのです。憲法25条が保障しているのは、この日本にいる誰もが、そういう生き方ができる社会なのです。

ところが、国は財政支出抑制のため、老齢加算を段階的に削減(現在全部廃止)し、母子加算も削減しました(現在一部廃止)。生活保護制度は、国民生活の最後の砦です。加算の削減を放置すると、他の国民の生活までもが同じように切り捨てられる可能性が高いのです。すでに、介護保険法改悪、障害者自立支援法の応益負担の導入などの福祉削減がなされています。他にも、最低賃金の切り下げ、消費税増税などが考えられ、ひいては国民全体の生活が切り捨てられかねません。

原告の方々はただ、「健康」で「文化的」な「最低限度」のささやかな生活がしたいだけです。しかし、このささやかな生活を守ろうとする原告の方々の闘いは、広く社会保障制度改悪の攻撃に立ち向かう、国民全体の生活の切り捨てを防ぐという意味を持つ闘いなのです。

私たちは、この人間の尊厳をかけた裁判を、原告の方々とともに最後まで闘います。

「京都第一」2007年新春号