大山崎町の府営水道料金問題
大山崎町が、京都府相手に、府営水道料金の引き下げを求めて訴訟を提起しました。町が府を訴えるという異例の事態であり、時期的にも、国交省近畿整備局による専門家委員会を無視したダム建設計画案が公表され、ダム建設と利水問題がクローズアップされる中で、全国からも注目される訴訟となりました。
府営水道は、日吉ダムから引いています。このダム建設と、府営水道事業計画はセットで進められました。1980年代前半からは、府が主導で関係自治体の水需要予測がなされ、これに基づき水道事業計画が具体化されていきました。各市町からは、この需要予測に基づき府に対して要望書等が提出されたりしましたが、残念ながら、各自治体で正確で慎重な対応がなされたとは言い難い経緯となりました。
また、府営水道の料金体系は、実際に使用する水道量に応じて決まる分と、固定的に決められる分に分かれています。この固定的に決められる料金が高めに設定されるならば、ダムや水道施設建設費用を安易に関係自治体に押しつけることが可能となり、無駄な公共工事が横行する要因となります。
大山崎町の住民は、長い間おいしい地下水を誇りとして来ました。ところが2000年10月から、府営水道を導入し、その誇りは傷つけられました。また、それまで水道事業会計は黒字であったものが、導入後は大幅な赤字に転じ、この間水道料金の値上げなどの努力を重ねたものの、07年度末では累積赤字は7億円を超えるに至りました。町の財政規模は、一般財政が6億円の赤字となれば、財政再建団体に陥る程です。
現町長は06年秋の選挙で、水道料金を引き下げることを公約として、多数の有権者の支持を得て当選しました。
町と住民にとっては、誇りと自治権の回復を求めて本訴の提起に至ったものです。