京都第一

特集:新人弁護士が聞く 女性弁護士のお仕事

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子どもを社会的に支える仕組み

高木 入所して半年、既に女性側の離婚事件を3件担当していますが、みなさんは?

一同 数えられない!

大島 常時10件はもっていますね。

岩橋 結婚期間の年金を分け合う年金分割制度ができたけど、退職金も分けるよう裁判で認めさせたりもしたよ。

高木 退職金も夫婦の財産として認められることがあるんですね。
 私、DV事件をまだやったことがなくて、ちょっと不安なんですが。

藤澤 依頼者とその家族をどう守るかが重要ね。

糸瀬 うちは人数が多いので、男性弁護士も入れて複数で対応しているよ。

高木 あと、やっと離婚できた!って、ひと安心していたら、約束していた養育費が支払われなかったり、色々と問題が出てきて…。

大島 名字の変更手続きとか、子どもと元夫との面会交流とか、離婚後のフォローも大事ですからね。
 依頼者とは長いつきあいになります。

岩橋 事件が終わってから、「離婚後、子どもを育てるために勉強し、国家試験に合格しました。今の私があるのは先生のおかげです。」っていう手紙を貰ったこともあるよ。
 弁護士やっててよかったと思いますね。

藤澤 同じ女性だからこそ依頼者が幸せになるのは自分のことのように嬉しいよね。

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糸瀬 女性は労働の場面でも弱い立場に置かれがち。経済的にも大変なんだよね。

高木 うちは残業代事件や解雇事件、過労死事件等の労働事件も多いですけど、セクハラの事件ってありますか?

岩橋 私が弁護士になった頃に比べて、かなり増えてるね。
 それでも、勇気を出して相談に来ているのは、被害者の内の一握りだと思う。

糸瀬 非公開の手続きの労働審判で解決したり、精神的に追い詰められたケースでは労災が認められる事例もあるんだけどな。

大島 実は、裁判をためらうのは加害者も一緒で、意外と話合いで解決することも多いんですけどね。

高木 近頃よく耳にするようになったマタニティハラスメントは経験ありますか?

大島 法律があるのに、セクハラ以上にマタハラも泣き寝入りが多いよね。

糸瀬 でも、最近、育児休暇を取ったら職場復帰を拒まれた事件で、一審勝訴、二審で勝利的和解を勝ち取ったよ。

藤澤 後から闘おうと思っても証拠がないと難しくなっちゃうから、証拠確保のアドバイスもしたいし、とにかく一人で悩まずに早めに相談してほしいね。

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高木 相談を受けていて、女性弁護士は相談しやすいと感じてくれている気がします。
 顔を見るなり、「よかったぁ!」と言われることもしばしば。(笑)

大島 私自身が子育て中ということもあって、事件に直接関係のない子どもの話で依頼者と盛り上がることもある。(笑)

糸瀬 一緒に来た赤ちゃんと遊んだり。(笑)

藤澤 それに、同性じゃないと被害の深刻さが分からない部分ってあるよね。

高木 カネボウ美白化粧水の被害者救済弁護団に入ってるんですけど、男性弁護士には分かりづらい女性の気持ちってあります!

岩橋 美白のための化粧水を使ったら、白斑ができてしまったという事件ね。

藤澤 交通事故で顔や体に傷を負った女性の事件とか、性犯罪の被害者とか…。
 そういう被害者にも、親身になって寄り添っていきたいですね。

高木 本当にそうですね。
 事件を進める中で、女性というだけで何故こんな目に遭うんだろうと、理不尽な思いをすることがあります。

大島 事件活動だけでなく、社会の在り方そのものを変える活動も必須ですね。

糸瀬 私は、弁護士になってからずっと、性差別のない社会を目指す両性の平等委員会に所属していて、ここ数年は日弁連の委員をしているよ。

高木  私も、色んな活動に取り組みたいです。そして、「高木さんと巡り合えてよかった!」って言っていただけるような仕事ができるよう頑張ります。今後ともアドバイスお願いします!

大島 困ったことがあったら、集団で討議できるのが、第一法律のよさ。

一同 しっかりがんばって!

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「京都第一」2014年夏号