事件報告:京都の保育、こんなんでええの!?― 青いとり保育園問題で立ち上がる労働者たち ―
院内保育所で奮闘してきた保育士さんたち京都市立病院にある青いとり保育園は、約40年前、「子どもを産んでも看護師として働き続けたい」という労働者の要求から院内保育所として設立されました。以来、職員の皆さんは、病院関係者が子育てのことを心配せずに仕事に集中できるよう、そして何よりも子どもたちのために、やりがいと情熱をもって保育を行ってきました。勤め先に保育所があればそれだけ保護者は助かりますし、何かあってもすぐに対応できます。青いとり保育園で安定した保育環境が整備されているということは、とても大きな意義を持っていたのです。
ところが2011年4月に京都市立病院が地方独立行政法人となった際、保育園の運営は民間委託されてしまいました。この時点でまず、京都市や病院は、雇用主としての責任、それから適切な保育環境を自ら整備すべき責任を放棄してしまったのです。しかしそれでもこのときは、「職員の継続性の確保」が謳われ、職員の雇用継続を推奨するような委託契約となっていました。それによって何とか職員の雇用を守ることができたのです。
職員の雇用も保育の質も切り捨て!
しかし今回、委託期間満了に伴う新しい委託事業者の選定の際には、「職員の継続性の確保」などが契約内容から抜け落ちてしまいました。その結果、提示上限額の3分の2という普通では考えられないような条件で受託業者が選定される結果に。当然、削られるのは人件費です。業者の提示した労働条件は、ベテラン職員にとっては半額以下という劣悪なもので、事実上職員を「解雇」するものに他なりませんでした。
職員の雇用も保育の継続性も確保されないという異常な事態に。しかし病院や京都市は責任を転嫁するばかりで誰も責任を取ろうとしません。こうした不当な扱いに職員の方々は闘いを決意し、支援集会には200人前後が、街頭宣伝にも数十人がいつも駆けつけています。少子化社会の中で保育の質や経験ある職員を守っていくためにも、今回の闘いは非常に大きな意味を持っています。
弁護団としても集中して作業を行い、7月3日に提訴するに至りました。ぜひともご支援を頂ければと思います。
弁護士 谷 文彰