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事件報告:京都市営「崇仁保育所」の民営化問題

事件報告:京都市営「崇仁保育所」の民営化問題

弁護士 藤井 豊

京都市の市営保育所は全保育所の8%で、全国平均38%に比べると非常に少ない(厚労省HPから。いずれも2016年4月1日)。一方で、市営保育所は、児童福祉のセーフティーネットとして、民間保育園での受け入れが厳しい障害児や虐待児童を多く受け入れており、その役割は非常に大きい。そのため京都市の市営保育所の民営化については当初から批判が強く、京都市全体の保育行政の質の低下が懸念されてきました。

そうした懸念も意識してか、京都市では有識者の審議会での議論を通じて基本方針を策定し、民営化の対象園を決め、2015年から順次民営化を進めてきました。2017年から2019年までの計画では、毎年2園ずつ民営化する方針で、2017年4月から順次民営化が始まっていますが、このうち聚楽保育所については、保護者の反対運動も強く、現在頓挫した状態になっています。

そんな中で、2017年1月、崇仁保育所の民営化が突然発表されました。京都市立芸大の移転先となったためです。保護者にとっては寝耳に水で、以後反対運動が続いており、当職も支援をしています。崇仁保育所の民営化は、これまでとも異なり移転を伴うため子どもたちの受ける精神的負担が非常に大きなものとなります。しかも移転先の敷地面積は4割に減少します。民営化により新園舎の費用の市の負担を減らそうとするものですが、一方で京都市立芸大の移転のためには市は多額の負担をするため、財政難は理由になりません。手続的にも有識者の審議会での検討も無く、京都市全体の保育に及ぼす影響が慎重に検討されたとはいえません。

現に、2014年から2016年の2年間に京都市内の障害児数は218名増加していますが、その半数以上110名が市営保育所に入所しています。市営保育所の在園児童に占める障害児の割合は18%となり以前の2倍以上に急増し、通常保育が難しくなっているとの声も出ています。これまでの民営化に関する検証を抜きに、これ以上の民営化を進めることは、京都市の保育に禍根を残します。

2018年4月4日、崇仁保育所の保護者は民営化の中止などを勧告するよう求め、京都弁護士会に対して人権救済申立を行いました。今後も保護者の取り組みを応援していきたいと考えています。

「京都第一」2018年夏号