京都第一

北陸新幹線の延伸はリスク度外視の大規模開発 〜府政の転換で見直しを〜

北陸新幹線を京都まで延ばすための工事計画が2023年着工予定で進められているのをご存じでしょうか。実はいま、この延伸計画は重大な局面を迎えています。

敦賀・新大阪間の140kmのうち8割はトンネルであるとされており、地下水資源への影響、残土処理の問題、工事車両による公害など、様々な自然・生活環境破壊が危惧されています。

もともと北陸新幹線建設は、東京と大阪を北陸回りで結ぶ計画として進められ、現在金沢・敦賀間の建設工事が行われています。敦賀・大阪間の新幹線のルートについては、2015年の与党PTの発足を契機に、その翌年には小浜と京都を通って新大阪までつなぐ小浜・京都ルートが正式に採用されました。その採用過程はブラックボックスです。

現在、小浜・京都ルートを前提にした、環境影響評価(環境アセスメント)の手続が行われています。この手続は、事業者自身が、事業の実施に伴い生じる環境への影響について、事前に調査・予測・評価し、環境への適正な配慮を行うための仕組みです。ただし、事業の実施自体を見直すことは想定されておらず、その点は、制度の不十分なところです。

アセス手続のうち、現在は「準備書」作成前の本調査が行われています。2020年11月から12月にかけて、準備書の前段階として「方法書」が公表されました。しかし、その方法書では新幹線ルートや事業による環境への影響について、具体的なことはほとんど明らかにされておらず、市民はおろか専門家も「これでは意見の出しようがない」と言うほどです。

なかでも最も懸念されるのは大量に発生する残土問題です。その残土の処理先や処理方法次第では、2021年7月、熱海で発生した盛り土の崩落事故を再発させかねません。地下にヒ素などの有害物質を大量に含む地域があることも確認されています。

京都府政を転換し、府としてこのような大規模開発に反対の意思を明確に示すことが必要です。

緑豊かなこの地域(美山町)に突如現れる新幹線を想像できますか?

「京都第一」2022年新年号