京都第一

旧優生保護法 高裁勝訴判決

障害をもつ人に対し、強制的に中絶や不妊手術をさせることを認めていた優生保護法。それにより手術を受けさせられた人が国に損害賠償を求めた事件。各地方裁判所で、除斥期間の経過を理由に、敗訴判決が続いていました。

しかし、2022年に入って、流れを大きく変える2つの判決が東京・大阪高等裁判所で出されました。除斥期間の適用が著しく正義・公平の理念に反するとして、除斥期間の適用を認めず、原告らの請求を認めたのです。その理由として、優生保護法による不妊手術は、理由もなく身体に強い侵襲を加えるものであり権利侵害の程度が非常に大きいことを指摘しています。優生保護法下において、国が教科書にも優生思想を正当化するような記載をしたり、優生手術に際して、身体の拘束、麻酔薬使用、欺罔の手段を用いることすらも許容する等、強行に優生施策を実行してきました。それに対して、優生保護法が改正された以降も、国が被害救済のための措置や情報提供をしてこなかったことが指摘されました。

これらの判決に対し、国は上告をしています。被害を受けた方々は、すでに高齢となられている方も多く、一刻も早い全面解決が求められます。

一方、この優生保護法の問題が表面化し、2019年4月24日に施行された一時金支給法。これは優生手術の被害を受けた方に、一時金を支給する法律です。しかし、一時金支給申請件数は、記録上手術を受けさせられたとされる人の数%程度と非常に低調です。被害の掘り起こしも重要なことであり、全国弁護団を中心に、2022 年4月20日全国一斉電話相談も実施され、全国で30件以上の新たな相談が寄せられました。それだけの方の相談に結びついたことに対しては、全国で開催された成果を感じることができましたが、被害実態からすれば、やはりまだ本当にごく一部であります。今後も活動を継続していこうと全国弁護団で協力関係を築いています。

現在の一時金支給法による一時金申請は、施行から5年間が期限です。もしかしてと思われる方やご家族に心当たりがありましたら、ご相談ください。

「京都第一」2022年夏号