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教えて法律家! 高校生の子どもが無料エステ体験後、高額なコースを40万円で契約してきました。解約は簡単にできるのでしょうか?

Q 高校生の子どもが無料エステ体験後、高額なコースを40万円で契約してきました。解約は簡単にできるのでしょうか?

背景
民法が改正されて、成人年齢が18歳に引き下げられました

明治9年に20歳と定められて長年変わらなかった成人年齢。それが、今般変更となったのは、選挙権の年齢を引き下げる議論がきっかけでした。独立した個人として社会に参加する年齢であるとして、選挙権と合わせて、民法においても成人年齢を引き下げることとなりました。

A お子さんが18歳になっているかどうかで解約の難しさは変わります!!

2022年4月より、民法が改正となり、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成人年齢引き下げにより、18歳以上であれば、一人で契約を結ぶことができるようになったということが、重要な変更点です。

知識の不十分さ等から、契約を結んでよいか適切に判断することが難しい未成年者を守るために、未成年者が、親権者の同意を得ずに行った契約は、原則取り消すことができます。民法が改正される前は、20歳になるまでが「未成年者」として扱われ、この保護を受けていました。

しかし、今回の民法改正により、18歳に達した人は、成人として扱われることとなります。そのため、契約の時点で18歳以上となっている場合には、「未成年者」による契約であるとして、親権者・本人が契約を取り消すということができなくなります。なお、18歳に達していなければ、原則親権者が契約を取り消すことができるという点は変わりありません。

では、18歳以上でこのような契約をしてしまった場合はどうしたらよいでしょうか。このような場合でも、大人と同様、別の法律で守られる場合もあります。例えば、よく耳にするクーリングオフ制度の利用や勧誘の際に虚偽の説明を受けた場合などです。一定期間以上のサービスを受ける高額なエステ契約であれば、特定商取引法における「特定継続的役務」に該当し、クーリングオフができる可能性があります。ただし、定められた期間を過ぎるとクーリングオフができなくなってしまうため注意が必要です。

ポイント①
18歳以上になればできることが増えた!

18歳以上であれば民法上は『大人』として扱われることになりました。そのため、18歳になれば、一人でスマートフォンの契約や部屋を借りる契約を結ぶこともできるようになります。今までは、親権者が一緒でなければ、携帯ショップに行っても手続ができなかったということも多かったのではないでしょうか。それが、18歳になると、本人が一人で手続きをすることができるようになります。

その他にも、公認会計士や司法書士、医師免許が、18歳になれば取得することができるようになります。

ポイント②
その分危険も増えていく……未熟な人を守るには

逆に言えば、複雑な契約でも一人で結ぶことができてしまいます。ローンを組んだり、クレジットカードを作ったり、連帯保証人になることも可能です。

民法上は、『大人』として扱われたとしても、18歳という年齢は、取引や契約に関する知識や経験が不十分です。そのため、高額の契約を安易に交わしてしまう等トラブルになってしまう危険性が高いのも事実です。

分割払いやローンは借金と同じであることや、リボ払いの危険性など、社会でのルールや注意すべき知識について、早い段階から、学校や家庭で、話をする機会を増やすことが重要です。

ポイント③
成人年齢引き下げとなっても変わらないコト

18歳成人に関連してよく聞かれることとして、18歳は大人だからタバコやお酒もOKになるの?ということがあります。しかし、これはNOです。馬券の購入もできません。これらは、青少年の健康や安全を守るため、今までどおり20歳からということになっています。

また、成人年齢が18歳となったからといって、養育費を受け取れる年齢が必ずしも18歳までというものではありません。養育費は、経済的に未成熟な人を扶養する性質のものですので、大学進学など置かれた状況によって終期は変わります。

「ダイイチ」2023年新春号