京都第一

京都第一法律事務所●座談会
参議院で奮闘中 倉林明子さんとともに「市民の声を政治に届ける」

日本共産党所属の参議院議員、倉林明子さん。看護師としての経験を持ち、福祉や医療の現場の声を国政に届けています。2013年の初当選以来、ジェンダー平等や労働者の権利、子育て支援に力を入れてきました。糸瀬、谷、森田の3人がインタビューをしました。

国会議員として、託された願いを届けたい

糸瀬 本日は、倉林明子参議院議員にお越し頂きました。2013年7月に当選されて、もう12年になりますね。
倉林 最初は、落選したら田舎の母の面倒を見ようかと思ってたんですけどね(笑)。当選して12年、あっという間でした。本当にみなさんのご支援のおかげだと思っています。だからこそ、みなさんの声を国会に届けるための議席なんだと自分に言い聞かせています。
 倉林さんが参議院議員を務められてきたのは、ちょうど安倍政権が戦争法や特定秘密保護法などを強行し、憲法と逆行するような動きを露骨にしていた時期でした。
倉林 憲法破壊のとんでもない動き。その中でみなさんから託していただいた日本共産党の私の議席。託された願いっていうのをどうやって届けきるのかとずっと考えてきました。
森田 二期目はコロナが蔓延した時期ですが、倉林さんの看護師としてのご経験なんかも実感として示されたのではないですか。
倉林 ええ。現場感といいますか、こういうことが起こったら、現場でどういうことが起こるだろうかと、どんな苦難困難が発生するだろうかっていうのが、命の問題として実感・共感できるベースがあったと思います。本当にギリギリの中で必死になって奮闘してる看護師や保健師や現場の思いをくみ取って国会に届けることができたかなと思いますね。
 この間、大きな災害が各地で起きている中で、どんな取り組みをされていますか?
倉林 原発で言えば、第七次のエネルギー基本計画が決定され、原発回帰へと大きく舵を切りました。まるで福島の事故がなかったかのような政府の姿勢は許せません。能登の地震でも示されているように、地震大国日本で原発との共存っていうのはあり得ないということを言い続ける必要があります。
 倉林さんのご出身は原発事故の起きた福島県ですね。
倉林 忘れられないのは、ある酪農家の男性が、その牛舎に原発事故さえなければと遺言を書いて自死されたことです。どんな思いだっただろうか、自らの命を絶った人たちがどれだけいただろうかと思うと胸が張り裂けそうです。事故から14年経った今でもふるさとも生業も取り戻せていません。原発事故は被災者の人生を奪い続けているのです。そのことを私たちは絶対忘れるわけにいかないなと思っています。
 当事務所も原発差止訴訟、避難者訴訟にも携わっておりますので、一緒に闘っていきたいと思います。

「払えないなら死になさい」は、許せない

糸瀬 いま、命に関わるお話がありました。高額療養費の引き上げが大きな問題になっています。
倉林 本当にひどい話です。病人に「あなたお金払えなければ死になさい」って国が言ってるのと同じですから。世論のうねりでいったんは凍結させることができましたが、秋には見直しの方針を決めたいと言っています。本当に許せません。
糸瀬 秋ということは、選挙の後でということでしょうか?
倉林 そうです。その魂胆が見え見えなので、国会論戦でも追求していきたいと思っています。
糸瀬 世論のうねりということですが、衆院選挙で過半数割れに追い込んだこともあるのでしょうか。
倉林 ええ、少数与党になったということは大きいです。世論が国会を動かしているんです。参院でも過半数割れに追い込む闘いにしていくっていうことが、市民の願いを実現させる新しい政治の未来を作ることにつながっていきます。

ジェンダー問題に、かつてない気運

糸瀬 私が個人的に力を入れている分野としてはジェンダー問題があります。倉林さんは共産党のジェンダー平等委員会の責任者で、3月5日には内閣府の方に、第六次男女共同参画基本計画策定に関する申し入れもされていますが、政府の姿勢は国際的に恥ずかしいレベルですね。
倉林 ええ、トランプさんの真似をしてるのかって感じですよね。私たちも皆さんの運動や到達点に学びながら、どう政治を変えていくのか、どうやってジェンダー平等の日本を実現していくのかっていうことを考えています。
糸瀬 選択的夫婦別姓の問題では国連の女性差別撤廃条約委員会から繰り返し繰り返し勧告を受けていますが、いまどのような状況でしょうか。
倉林 気運はかつてないほど高まっています。他党とも一致点を拡げていて、大きな勢力になりつつあります。今度の衆議院総選挙で当選してきた人たちの中では多数派なんですよね。参議院ではまだ与党が多数なので抵抗はまだありますが、ようやく法案を審議できるかも、というところまで来ています。
 同性婚の関係では、裁判所で違憲判決もいくつか出ていますが、そういった裁判所での闘いをどう見ておられますか。
倉林 とても大きいですよね。裁判所でそういう判決がでると、やっぱり運動の勢いが加速するんですね。それもあって選択的夫婦別姓、同性婚、性同一性障害特例法の改正があと少しというところまで来ています。足を引っ張っているのは参議院、これをどう変えていくかという段階です。
糸瀬 やっぱり選挙が大事ですね。
倉林 衆議院がここまで変わるんだっていうことを毎日のように目の当たりにしていると、選挙の大切さを本当に実感します。
糸瀬 法律が変わればたくさんの人の人生が全く違うものになりますよね。
倉林 本当にそのとおりです。
糸瀬 多くの人の幸せにつながる法律をぜひ実現して下さい。
倉林 ええ、一緒にぜひ。

京都のまちを守るためには規制が必要

森田 次に、京都のまちづくりの関係です。選挙でも大きな争点となるのが北陸新幹線です。京都を通って新大阪まで伸ばすという計画ですが、地下深くまで前例のない大規模な工事をすると言われていますね。
倉林 その延伸計画は暗礁に乗り上げているなと思います。実は全国の新幹線計画は、工事費の膨張などで予定通りにいっていないんですが、当初から一番儲けが薄いと見込まれていたのが北陸新幹線の敦賀から新大阪までの延伸計画でした。
森田 もともと費用対効果(b/c)はギリギリ1を超える1.1でしたね。
倉林 そこから工事費も工事期間もどんどん増えて、いまや5兆円を超える規模、いつ完成かも見通せません。費用対効果なんてとても見込めないでしょう。しかも地下工事の無理筋ぶりも浮き彫りになってきていて、いかにリスクが高いかっていうことが本当に顕在化してるんですよ。だからこそ仏教会が千年の愚行と指摘し、署名活動も始められているんです。
森田 そうですね。とても大きな動きだと思います。
倉林 反対の世論がどんどん大きく広がっていて、自民党の中でさえも「もうもたない」という声が上がるほどなんです。私たちは計画が発表されて以来、中止するしかないと言い続けてきたんですけれども、自民党の西田昌司さんは何としても強行したいっていう人なので、そういう意味でも今度の参議院選挙での審判っていうのが中止させる大きなインパクトを持つことになると思っています。
森田 それと、京都では大規模なホテルやマンションの建設などまちこわしの問題がずっとあります。
倉林 まちこわしとの闘いの歴史ですね。住民と一緒になって闘い、成果も随分上げてきたなっていう思いがあるんですよ。市民が運動の中心になって声を上げて、それを受け止めて一緒に共産党も頑張るんです。京都の共産党の歴史と伝統ですね。
森田 アリーナについては北山での計画は断念させることができましたが、今度は向日市でかなりのスピードで進められています。
倉林 北山エリアではもともと植物園を守れっていう運動があって、住民運動でアリーナ計画を断念させました。そうすると、住民に反対されたら潰されるっていう教訓を得た京都府が、今度は手続きをすっ飛ばして市民に知らせないままに作ってしまおうと向日市で画策しているんです。でも実態が住民に分かれば向日市民は黙ってへんと思いますから、そうすれば撤回に繋げられると思いますけどね。
森田 京都ではオーバーツーリズムが大きな問題になっています。けれど、京都の観光政策はその点について根本的な対策や政策を取ろうとしていません。
倉林 前衆議院議員のこくた恵二さんが言っていたのは、住んでよし、訪れてよし、そういう観光政策でなければならないということで、本当にそのとおりだと思います。コロナ前の民泊騒ぎの時には路地の裏まで買い上げられて町内会が維持できない、地価がいっぺんに上がってしまって住民が住み続けることも大変だということがありました。そこをきちんと規制しないといけません。
森田 住民がそこに住み続けられるような観光政策でないといけませんね。
倉林 ええ、そうでないと続かないんですよ。その土地の文化、生業、暮らし、そういうものを実感したり、体感したり、共感するっていうことが、本当に値打ちのある観光になるんだと思います。住民と共存する観光、そのためのルールや規制っていうのを作っていかなくてはならないんです。

危機感をもって参院選に臨む

糸瀬 最後に、参院選に向けた決意をお願いします。
倉林 いま、本当に歴史的な岐路だと思っています。戦後、戦争の準備っていうのがここまで進んだ時代はありません。京都でも祝園の弾薬庫や舞鶴での実践的なイージス艦の配備が進んでいます。他方で社会保障の方は、高額療養費の引き上げの問題に見られるように、憲法に逆行するような権利侵害が進んでいます。こういう動きを止めなければなりません。いや、止めるだけではなく転換させないといけないんです。最初に当選させて頂いたとき以上の危機感を持っています。憲法9条や25条、人権を守れという声を届けられる議席が京都に絶対に必要です。全力で頑張ります。皆さん、ぜひよろしくお願いします。
弁護士一同 当事務所としましても心から応援しています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

プロフィール
倉林 明子(くらばやしあきこ)
◆厚生労働委員会 委員 ◆行政監視委員会 理事
2013年7月参議院京都選挙区初当選
2019年7月再選、2期目
党副委員長・ジェンダー平等委員会責任者
1960年福島県西会津生まれ。看護師11年。

糸瀬 美保 弁護士(写真左)
2002年弁護士登録。女性の権利、特に女性労働の分野に注力して活動。ハラスメント相談や大学、学校、団体のハラスメント調査や講演にも取り組んでいる。
森田 浩輔 弁護士(写真中央)
2017年に弁護士登録。環境問題に積極的に取り組み、京都府下のまちづくり運動や裁判だけでなく、他府県における環境事件にも参加。
谷 文彰 弁護士(写真右)
2009年の弁護士登録後、労働問題や高齢者・障害者の問題、消費者問題などに取り組む。アスベスト裁判や大飯原発差止訴訟にも参加。