京都第一

[ダイイチNEWS 01] ダイコクドラッグ 残業代請求事件で勝訴

残業代請求が認められました

本件は、ダイコクドラッグに勤務していた労働者(原告)が、未払い残業代の支払を求めて、ダイコクドラッグ(被告)を提訴した事件です。この事件では、終業時間の認定が大きな争点になりましたが、350万円を超える請求が認められました。

記録写真で帰宅時間を認定

ダイコクドラッグでは、労働者にシフト表が毎週手渡されていました。シフト表には、9時から18時が労働時間であることを示す「9-18」等の記載がありました。

原告は、シフト表に記載された時刻よりも数十分、多いときは5時間以上残業を行っていました。しかし、ダイコクドラッグは「事前の申請・承認がないため、残業代を支払う必要はない」等と争いました。

ダイコクドラッグには、労働者の労働時間を把握するためのタイムカード等はありませんでした。そこで原告は、帰宅前に、店舗内の端末の時刻を写真に撮り、自身の帰宅時間を記録していました。その写真を証拠として、裁判所に提出しました。

裁判所は、写真は原告の勤務実態を示すと判断し、原告の主張が認められました。

手当は、時間外労働の対価ではない

原告は、基本給(時間給)のほかに、時間帯手当、管理手当、地域手当等複数の手当を受け取っていました。ダイコクドラッグは、「これらの手当は固定残業代に相当する。残業代は支払済み」と主張しました。

このダイコクドラッグの主張に対して、裁判所は、国際自動車最高裁判決(最高裁判所令和2年3月30日)を引用し、各手当がどういう場合に支払われるのか実態に注目し、「時間外労働の対価ではない」ことを理由にダイコクドラッグの主張を排斥しました。

あきらめずに、労働時間の証明を!

本件は、一審で確定しました。本判決は、①労働者が、自身の労働時間を証明するために、撮影していた写真を終業時間認定の根拠としたこと②手当の性質を踏まえて、固定残業代の主張を排斥した点でとても意義のある判決です。

今回は労働者があきらめずに、労働時間の証拠を集めたことが功を奏しました。他にも、パソコンのログアウトの記録やメールの送受信記録、交通I Cカードの記録などが、業務終了時間の推定に役立ちます。

今後も、働いた分がきちんと支払われるようがんばりたいと思います。