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保険外交員らが搾取された賃金を取り戻せ!

保険外交員らが搾取された賃金を取り戻せ!

弁護士 高木 野衣

【1】知っていますか?保険外交員の働き方

今、全国各地で、保険外交員が保険代理店を相手に集団訴訟を提起しています。ご存じでしょうか。

多くの保険外交員は、保険代理店から委託を受けた「個人事業主」という扱いで保険募集をしており、報酬は「委託契約」の中で「顧客からの保険料収入の8割を代理店、2割を保険外交員」といった形で定められていました。

しかし、保険代理店が主催する会議に出席し、日々の業務日報を提出しなければならず、予定が空いていようものなら見込み客の元へ出向くよう指示され、断れば「辞めれば?」と言われる等、保険代理店からの指揮命令下で労働者同然の働き方をしている一方、報酬からは「事務所維持費」や「パソコン代」、「見込客紹介料」等、様々な名目で諸経費が控除されており、むしろマイナスとなって保険代理店にお金を払っている保険外交員も珍しくありませんでした。保険代理店は、保険外交員を抱えれば抱えるほど儲かるという経済的搾取の構造が構築されていたのです。

かかる構造的搾取は著しく不公正であるということで、保険外交員らにも労働法の保護を与えるべきだとして、金融庁は2014年から委託契約を禁止し、雇用契約に移行しました。

【2】雇用化以降も続く違法な賃金控除

しかし、雇用契約を締結し、会社の指揮命令下で働く「労働者」については、保険代理店が社会保険料の一部を支払わなければなりませんし、時間外労働には残業代を支払わなければなりません。保険募集に必要な経費を労働者の負担としてはならず、歩合給から当該経費を控除したうえで給与を支給することは労基法違反で、刑事罰も科されます。

そのようなコスト増を嫌った保険代理店側は、委託契約時代の報酬と同程度の賃金になるよう、雇用契約という形をとりながら、「基礎控除」や「見込客紹介料」、「パソコンリース料」、「席料」、「事務所維持費」等、様々な名目で歩合給から賃金控除を行います。その結果、人によっては月額80万円も控除され、最低賃金以下の歩合給しかもらえない、あるいはマイナス給与となって保険代理店への「負債」としてお金を送金していた方もいます。しかし、退職しようとすれば「負債」の返済を一括で求められ、あるいは金融庁の登録移管に協力しない等と妨害され、搾取の構造に身を置くことを強いられています。

【3】立ち上がった保険外交員たち

かかる搾取の構造は、保険業界全体で横行しており、全国各地で多数の被害者から弁護士に相談がくるようになりました。そこで、労働事件に力を入れてきた全国の弁護士らで「保険外交員搾取被害弁護団」を結成し、この問題に取り組むことになりました。当事務所からも、複数の弁護士がこの弁護団に参加しています。

そして、実際に当事務所にも数名の方が相談に来られ、違法に控除された賃金については未払賃金請求ないし不法行為に基づく損害賠償請求を行い、「負債」として会社に支払わされた経費は不当利得に基づく返還請求を行うこととしています。一緒に闘う仲間を募集中ですので、関心のある方は是非お問合せください。

(当事務所の弁護団:糸瀬美保、渡辺輝人、高木野衣、高橋良太)

「まきえや」2019年秋号