活動紹介

京都市パートナーシップ宣誓制度が始まりました

1 レインボーカラーの持つ意味とは

虹の帯のイメージ

セクシュアルマイノリティーに関連するロゴ等にレインボーカラーが使用されている理由をご存じでしょうか?それは、性的指向(性的に惹かれる対象の性別)や性自認(自分の性別をどのように考えるか)等は多様であり、十人十色の「性」があるということを表現するためです。

2 同性カップルを取り巻く状況

性的指向について言えば、異性愛がすべてではありません。恋愛対象が同性である人もいれば、他者に対して恋愛感情を抱かない人もいます。そのすべての人が個人として尊重されなければならない、それが日本国憲法13条の理念です。

しかし、同性カップルには、社会生活上の様々な障壁があります。たとえば、パートナーと共同生活を送るためにアパートを借りようと思っても同性はダメだと貸してもらえないことがあります。職場において、異性のパートナーを持つ人であれば受けられる各種手当や福利厚生を、同性パートナーでは受けられないということがあります。法的な親族ではないからと、生命保険の受取人に指定できないことがあります。医療同意権もありませんし、相続権もありません。

お互いに、パートナーを大切に想い、家族として社会生活を送りたいという、ごく「普通」の、「当たり前」の、ささやかな願いを、日本は長らく否定してきました。

3 変化のきざし

しかし、世界でセクシュアルマイノリティーに対する差別や偏見をなくそうという声が大きくなり、同性婚を法制化する国も増えつつある中、日本でも近年、少しずつではありますが、性の多様性を尊重する動きが見られるようになりました。

それが、2015年の東京都渋谷区、世田谷区から始まった各自治体によるパートナーシップ宣誓制度であり、これまで50以上の自治体が導入していますが、2020年9月1日から、京都市でも同様の制度が開始されました。

4 京都市パートナーシップ宣誓制度

京都市の同制度は、カップルのうち一方が京都市在住であれば利用できます。戸籍上同性であることは要求されていませんので、トランスジェンダーやバイセクシャル、パンセクシュアルなど、戸籍上は「男」「女」のカップルとなっていても、同制度を利用できることになっています。

同制度により宣誓した2人には、パートナーシップ宣誓書受領証と受領証カードが交付され、市営住宅の共同入居が可能になるほか、市立病院で医療を受ける際の病状説明や手術同意等が同性パートナーであってもスムーズに進むようになるだろうと言われています。また、市の対応がモデルケースとなって、民間の不動産業者や保険会社、医療機関等で同様の運用がなされるようになることも期待されています。

5 残された課題

もっとも、同制度は宣誓した自治体でしか活用できませんし、上記対応を民間企業に義務付ける効力まではありませんので、今後は同制度の効力を事実上広げていく努力が求められます。

また、同制度によっても、同性パートナーに相続権が与えられる訳ではありませんので、やはり同性婚の法制化が必要です。

6 おわりに

当事務所には、京都弁護士会LGBT等啓発ガイドライン作成プロジェクトチームのメンバーである弁護士が複数所属しており、弁護士会の活動を通じて、日々、社会に対する啓発活動等に取り組んでいます。

また、同性カップルの遺言作成や任意後見契約締結等、2人の思い描く未来を形にするお手伝いもしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

以上