弁護士コラム

「無料求人広告」にご用心!

1 実は有料掲載に自動的に移行する内容となっている「無料求人広告」

 インターネット上での無料求人広告をめぐるトラブルの相談が増えており,当事務所でも事業者の方からご相談を頂いています。

 人手の確保が難しくなってきている社会情勢を反映してだと思いますが,「無料でインターネットの求人広告を出せますよ」といった勧誘が事業者に対して行われ,「無料で出せるのであれば」と契約をしてしまうパターンです。しかし実際には無料掲載期間が経過すると自動的に有料掲載に移行する旨が契約書や利用規約で謳われており,これらを根拠として広告掲載料を請求されます。無料期間で掲載を終了したいのであればその旨の通知等の手続きが必要なのに,それをしていないから自動更新で料金を支払う義務があるというのです。

 多くの場合,勧誘にあたっては無料という点が強調され,有料掲載に自動的に移行することや契約終了のための手続きについての説明はきちんとされていないようです。そのため,請求書が届いて初めてそのことを認識して驚くわけです。仮に一応の説明があっても無料掲載期間が短い場合,あっという間に有料掲載期間に移行してしまいます。

 化粧品や健康食品などに多い「お試し商法」の事業者版といったところです。

 

2 厚労省も注意喚起・法的対応を

 大きな問題は,消費者であれば消費者契約法などが適用されるためクーリング・オフその他の方策を取れる場合があるのですが,ターゲットとなっているのが事業者であるためそれができないという点です。そのため法律上は錯誤(民法95条)や詐欺(96条)などの規定を使うことになります。

 厚生労働省・ハローワークも注意喚起をしており,支払義務はない旨の判決もいくつか出ていますが,一番よいのは契約をしないこと,契約をする場合には細かな点まできちんと確認することです。

 

 ・ 「求人広告掲載時のトラブルについて(無料掲載後の高額請求など)」

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/news/invitation_caution.html

 ・ 「求人掲載時の営業電話のトラブルにご注意ください」

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kyuujinkoukokutoraburu.pdf

 

3 専門家にご相談ください

 契約をしてしまい,業者から請求が届いた場合,専門的な対応が必要となります。当事務所にご相談を頂いた事案では,弁護士が介入することで多くは請求をストップさせることができています。早めにご相談ください。