京都第一

吉本興業「ステマ」ツイートに100万円の税金?

吉本の芸人さんといえば、関西のお茶の間に庶民的な笑いを提供してくれる存在です。ですが、その芸人さんらを取りまとめている吉本興業という企業を見ていくと、決して、よい側面だけが見えてくるわけではありません。

2019年の夏ごろ、吉本興業に所属する若手タレントの劣悪な待遇と闇営業、そして闇営業での反社会的勢力とのつながりなどが大きく報道されました。その後には、有名タレントによる税金逃れなども問題になりました。そして何より、吉本興業が安倍政権(当時)にすり寄るような姿勢が強まっていたことも問題でした。

「市民ウォッチャー・京都」では、吉本興業のそのような姿勢や問題に着目して、私たちの足元の自治体である京都市と吉本興業との契約関係について情報公開請求を行いました。様々な問題点が指摘されている企業と自治体とが契約し、公金を支出することが妥当なのか、という問題意識からです。

情報公開請求によって開示された契約の中に、今回問題となった若手タレントのツイートに関する契約が含まれていました。その委託契約では、京都市が吉本興業に委託する事業の一つとして「20万人のSNSフォロワーを有する吉本興業所属のタレントが、『京都市の重要施策』をPRする内容をSNSで計2回発信する」と定められています。これについて吉本興業から提示された金額が単価50万円、数量2、合計100万円です。

ツイートに100万円という金額を、吉本興業の言い値で支払っていたことにも驚きましたが、そのツイートを調べていくと、「ステルスマーケティング」(ステマ)と呼ばれる手法が用いられていたのです。広告であることを示すことなく、自発的に発信している、つぶやいているように見せる広告手法は、口コミを装い、読み手を欺く手法による広告として、ステルスマーケティング(ステマ)と呼ばれて社会的にも問題になっています。「芸能人ツイート1回50万円」と報じた京都新聞の報道でも、「自治体の広報としては誤解を与える問題のある手法」、「アンフェアな広告」、「情報の受け手が『だまされた』と思う可能性のある広告は倫理的にふさわしくない」などの批判的なコメントがなされています。

 

この「ステマ」ツイートに対し、現在、公金支出の是非について住民訴訟を提起して争っています。自治体の広報や公金支出のあり方を厳しく問うていきたいと思います。

「京都第一」2021年新年号