京都第一

民事執行法の改正
(罰則の強化、第三者からの情報取得手続の新設等)
~債権回収等でお困りの方へ~

判決や公正証書(強制執行認諾文言付)等で支払義務があるにも関わらず、その義務が果たされない場合、債務者の財産を差し押さえて強制的に処分し、その代金から債権を回収することを、強制執行といいます。

新しい財産開示制度

従来、具体的に差し押さえるべき相手方の財産は、債権者の側で特定しなければならず、相手方の財産が判明しなければ権利を実現できないという大きな問題点がありました。この問題に対処するため、2003年から「財産開示制度」が設けられ、債務者に自身の財産に関する情報の開示義務を課しましたが、協力しなくても30万円以下の過料(行政罰)を受けるだけでしたので、実効性がありませんでした。

そこで、今般(2020年4月1日)、民事執行法が改正され、債務者自身が財産開示手続に協力しない場合、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑事罰)による制裁を科して、手続の実効性を向上させる事となりました。

さらに、債務者以外の第三者から、債務者の財産に関する情報を取得できるようになりました。例えば、①金融機関から債務者の預貯金や上場株式、国債等に関する情報が得られるようになりました。また、②2021年5月16日までには、法務局から債務者の所有する土地や建物の有無や所在に関する情報が得られるようになる予定です。さらに、③養育費や生命身体の侵害(交通事故等)による損害賠償請求権の実現のためであれば、市町村や日本年金機構等から、債務者の勤務先に関する情報も得られるようになりました。

ここに注意!

ただし、第三者からの情報取得手続で注意すべき点は、裁判所が債務者に財産情報の提供がなされたことを通知してしまう事です。これを知った債務者が財産隠しをする可能性があります。そのため、財産情報を取得するタイミング等を予め検討する必要等があります。是非、弁護士にご相談ください。

「京都第一」2021年新年号